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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第5章】バグ賢者、世界の境界を越える
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第十八話

「……で、その“境界の塔”ってのは、何なんだ?」


俺は、馬車の振動に揺られながら隣のリーネに尋ねた。


王都を出て二日目。

行き先は“ミドレ山脈”の東端――《境界の塔》と呼ばれる、未踏の領域だ。


「あたしも見たことないけど……王国の記録によれば、世界の“果て”に立つ遺構。

古代の魔導文明が残した“観測拠点”って言われてるよ」


「観測……って、何を?」


「“この世界そのもの”らしいよ。空の動きとか、大地の構造とか。なんか、すごく大きなスケールでさ」


ふむ、と俺は唸る。


(観測……仮想世界なら、“監視のための塔”って可能性もあるな)


前巻でわかったこと――この世界は“完璧な物理法則”のようで、実際はコード構造を持つ世界系。

そして俺はそのコードを“書き換える”力、《ゼロ・コード》と《コード展開式魔法》を得た存在。


今なら、その“塔”の構造にアクセスできるかもしれない。


(バグとして生まれた俺にしか見えない、何かがある)


「おーい、おふたりさーん! 着いたよー!」


軽やかな声が飛んできた。


御者台から振り返ったのは、小柄な女の子――


銀髪をツインテールに結い、ゴーグルを額にかけた機械少女。

腰には工具箱、背中には折り畳まれた金属のアームパーツ。


「ようこそ、境界の塔へっ! ……って言っても、ここからが本番だけどね!」


「……君が、王都から紹介されてた“案内人”?」


「そうそう。自己紹介するね。わたしはノア=ブライトン。

ジョブは魔導機工師! 錬金系と技術系を組み合わせたハイブリッド職! あなたの“バグ”にも興味津々!」


いきなり笑顔でぐいっと俺の顔を覗き込んでくる。


「へぇ~、なるほど。人間なのにスキャンが通らない。“定義漏れ”ってやつだね。いや~実物が見られるとは思わなかった!」


「……あのさ。初対面で“定義漏れ”って言われたの、人生で初めてなんだけど」


「わたしにとっては最大級の褒め言葉よ?」


ノアはにっこり笑って指を鳴らすと、背中から金属アームを展開し、塔の扉に向き直った。


「さあて、境界の塔、入ってみようか。

この中には、世界の秘密が詰まってるって、噂だよ」

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