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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第5章】バグ賢者、世界の境界を越える
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第十七話

冷えた空気が、岩盤の裂け目を通って不気味な音を立てる。


ここは“死線のデッドライン”――

魔王軍の中でも、最上級幹部だけが足を踏み入れることを許された謁見の間である。


闇色の玉座。その前にひざまずくのは、黒衣の剣士。


冥刃めいじんのヴァリウス、参上いたしました」


男の顔には仮面。額には角のような魔力結晶。

背に背負うのは、黒鉄と生体素材が融合した双刃の大剣。


「……世界の異常値、確認済み。対象コード:“神城カケル”」


抑揚のない声が玉座に響く。


上位幹部である彼には、人間らしい感情が希薄だった。

かつて人間だった頃の記憶すら、今の彼にはもうない。


その代わりに与えられたのは、命令と戦闘機能、そして――“バグ収束機構”。


「ヤツのステータスは“未定義”。転生者のくせに、勇者の因子を持たず、世界法則から逸脱している。

……我らの敵にして、存在そのものが“欠陥”だ」


玉座に座る影が、重々しくうなずく。


「ゆえに、排除せよ。バグは増殖する前に修正されるべきだ」


「……御意」


ヴァリウスは立ち上がり、ゆっくりと背を向けた。


その背から吹き出す瘴気は、魔王軍幹部であることの証。


彼は“神城カケル”という存在に、異様なほどの執着を抱いていた。

それはプログラムが定めた敵対関係か、それとも過去のなにかか――


「バグが、世界を変える? ……なら、その世界ごと、斬り捨てよう」


黒い剣が、空気を裂いた。


こうして、“バグ賢者”と“冥刃の魔王騎士”の因縁が幕を開けた。

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