番外編2 ましゅまろ対談:魔霧ティア
「はぁい。ましゅまろ交換対談第一回ですぅ」
気の抜けたコールから始まるコラボ配信。
共演相手はまもなく紹介された。
「それでは早速ゲストさんに登場してもらいましょうかぁ。どうぞぉ」
「こんばんわ。歌うカマキリ、魔霧ティア、です」
《こんばんわー》
《トップバッターはティアちゃんか》
「あ、その……へへっ。ティアさん今日も可愛いですねぇ……あ、麦茶飲みますぅ?」
「ありがと。麦茶いらない。なんで、挙動不審?」
「いやぁその……誘われることはあったけどぉ、自分から誘うことってなかったんでぇ……今初めて家に友達呼んだ気分ですぅ」
《あ、なんかわかる……》
《歓迎したいのに大したモテナシできないときのやつ。お母さんお茶菓子買っといてって言ったでしょ!》
《にしたって言葉選びw女児に話しかけるキモいおっさん過ぎるw》
「ティアが初めて? 嬉しい。ツムリ好き」
「んぐぅっ……!? ぐ……尊すぎて苦しい……麦茶飲んできますぅ……」
《お前が飲むんかいw》
《おいおい気をつけな? 簡単に好きとか言っちゃうと陰キャはすぐ勘違いするんだから》
《先に潰れられると俺達が尊死できないんだが?》
「ふぅ……さてぇ。こうしてタイマンコラボするのは初めてですがぁ、オフではよく会ってますしねぇ」
「うん。一番仲良い、友達」
「嬉しいこと言ってくれますねぇ。けど巷では他メンと絡みが少なすぎる新人ってちょっと心配されてるみたいですぅ」
「そうなの? でも、誘い方、わかんない。友達じゃない人達」
《悲しい会話しないでw》
《コミュ症談義やめてくれ俺にも刺さる》
「私もわかんなかったんでぇ、誘う口実にこんな連続コラボ企画作ったわけですねぇ。ちなみにマネージャーさんの発案ですぅ」
「そうなんだ。じゃあティアも、マネージャーに、考えて貰う。企画」
《他人には話しかけれないのに身内には遠慮ないw》
《内弁慶陰キャ……》
《マネージャーって大変だね……この二人だけかもしれんけど……》
「なんだかコメントがお通夜みたいになってきましたねぇ。そろそろ本題に移りましょうかぁ」
「うん。ましゅまろ、食べる」
「さてさてティアさんのましゅまろはどんなお味でしょうかぁ。あ、味って言っても変な意味じゃないですからねぇ?」
《意味深とか思ってないから言わんでよろしいw》
《ましゅまろ隠語にされると各方面で困る人出そうだからやめてw》
「ティアも、初めて読む。誘われてから、募集した」
「そうなんですかぁ? じゃあ一緒に読んでいきましょうかぁ」
雑談もそこそこに企画主旨へと移る。
魔霧ティア宛に送られたましゅまろを配信画面に載せた。
『ティアちゃん可愛いよティアちゃん。はぁ……はぁ……』
「うん。ありがと。でもなんで、疲れてる? 文章なのに、息切れ?」
「わぁマジレス可哀想……けどティアさんを邪な目で見た罰ですね」
《出落ちじゃねーかw》
《古のキモオタ感》
《ネタが通じないとただの不審者なんよ……》
『歌声素敵ですね! 今度一緒にカラオケ行かない?』
「あーファンに見せかけたナンパ野郎でしたかぁ……」
「ありがと。行ったら、友達になってくれる?」
「ティアさぁん?! 知らない人について行ったらめっですよぉ!」
《あかーん!!》
《ツムリが珍しくツッコミに回ってるw》
《保護者かな?》
『友達から始めませんか? ハチ公前で待ってます。何日でも、ずっと byダンボールハウスの住民』
「ん。配信終わったら、行くね」
「だからダメですってばぁ! 友達はちゃんと選んでくださぁい」
「でも、ずっとだと、風邪引いちゃう」
「ダンボールは意外と温かいんでほっといても平気ですぅ。たぶん冗談ですしぃ。……というかぁ、出会い厨多すぎではぁ? これ普段の配信大丈夫なんですかぁ視聴者ニキ?」
《毎回止めるの大変です……》
《ティアちゃんのとこも苦労してんのね……》
《お互い様やで……》
「お互い様ってどういう意味ですかねぇ? まあ良いですけどぉ」
疲れつつもティアの危機管理意識の低さを知り、一緒に読んで良かったかもしれないと思わされた。
そんなこんなで読み続けてるとこんな投稿もあった。
『ダメ元で言います。ファンネームください』
「あーティアさんも来ましたかぁ。けどファンネームないの私達だけっぽいので当然かもですねぇ」
「んー。ファンネームって、どんなのがある?」
「そうですねぇ。良く聞くやつだとリスナーをもじって◯リスとか、あと◯友とかですかねぇ」
「友って、友達? じゃあそれにする。ティア友」
「え? 即決? 確かにティアさんにはぴったりかもですけどぉ」
《あらやだ決断力カッコいい》
《ダメ元ましゅまろニキおめでとー》
《あれ? 俺らの名前しれっと決まった?》
急にファンネームが決定し戸惑う魔霧ティアの視聴者。
それを見たティアが問いかけた。
「ティアは、これが良いけど。皆はティアの友達、嫌?」
《嫌なわけがない》
《光栄でこざいます!》
《ごめん既に名乗ってたわ。ティア友》
「ティアさん愛されてますねぇ」
「ツムリのは、どんなの?」
「ファンネームですか? 催促され過ぎて逆に決める気失せちゃったんですよねぇ。なので当分お預けですぅ」
《ん? 俺達のせい?》
《お預けキレそう》
《催促しなきゃ考えもしないくせによぉ?》
《ティアちゃん見習って?》
「あっ視聴者さんピキピキし始めたんで話題変えませんかぁ?」
「じゃあ、ツムリのましゅまろ、どんなの?」
「え、見たいんですかぁ? まあ交換対談って言いましたし見せますけどぉ……」
『ねえ知ってる? カタツムリって歯が1万本以上あるんだって。ほな10本くらいこっそり貰ってもバレへんか……』
『でーんでん蒸し蒸し異迷ツムリ♪ へいっ美少女の蒸し焼き一丁!』
『サッカーしようぜお前ボールな! ボールは友達だろ? 友達できて嬉しいな? ほら、分かったらはよ殻に入りな?』
「こんなんばっかですねぇ。皆私のこと壊れても良い玩具だと思ってるみたいでぇ」
「ボールって、友達なの?」
「少なくとも人間をボール扱いしてくる人は友達にしちゃダメですぅ」
「そっか。残念」
《改めて見ると酷いなこれw》
《ティアちゃんのラブコールまろ見たあとだと落差がww》
「あっ気づきましたぁ? これウチの視聴者がどれだけ酷いか吊し上げる企画でもありますぅ。悔い改めてくださぁい」
《ちっ反省してまーす》
《吊し上げるとか余計なこと言っちゃうからクソまろが後を絶たないんじゃ?》
《煽り煽られ、お互い様なんだよなぁ》
「ツムリ。みんなと仲良いね」
「えぇどこがですかぁ?」
「なんでも言い合える友達、羨ましい」
毛色が違う視聴者層が入り混じるコラボ配信。
ましゅまろというお題箱がある分話題にも困らず、新鮮み感じられる雑談配信になった。
「友達ですかぁ。ファンとはちょっと違うかもですけどぉ……まあ悪くはないですかねぇ」
共演相手と仲を深め、視聴者との関係値も見直せる。
走り始めたばかりの企画に楽しみを覚えた。




