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番外編12 対談コラボ:ニオ・ヴァイスロード

「こちらデバフ系堕天使っ。ニオ・ヴァイスロードですっ♪」

「こちらデバフ系堕天使っ。ニオ・ヴァイスロードでっす♪」

「「どっちが本物でしょーかっ!」」


《なんか急に始まったw》

《全然わからん! こういうとこはさすがだなぁ》

《後者かな?》

《最初の方が声真似。意外と雰囲気でわかるな》


「おっよく分かったねー君達。偉いぞっ」

「あれぇ? ちょっと悔しいですねぇ。というわけで本日のゲスト、ニオさんですぅ」

「はーいロカちゃんの紹介でお邪魔しに来たよっ☆」


《ニオちゃんいらっしゃいませぇー》

《うお眩し……いつものジメジメチャンネルが乾いちまうw》


 異迷ツムリのチャンネルらしいクイズから開始したコラボ。

 今回のゲストはニオ・ヴァイスロード、2期生の先輩。


「今日は二オさんからやりたい企画があると聞いたんですけどぉ」

「そうだねっ。けどその前に、ツムリちゃんから見たニオの印象聞いても良いかな?」

「え? むしろこっちが良いんですかぁ? やっぱり元気で可愛らしいところが良いですよねぇ。いつもポジティブでこっちまで元気もらえますぅ。あとダンスがお上手でぇ、ぴょこぴょこ跳ねて可愛いんですよねぇ。小柄だから動きを大きく見せようとしてるのか他の人より運動量多いはずなのにそれで1曲踊りきる体力も凄いですぅ。あとニオさんと言ったらやっぱりショート動画ですかねぇ。毎日投稿偉すぎませんかぁ? 中身もコンテンツ様々で全部面白くていつも楽しみにしててぇ……」


《質問からノータイムで語り始めたw》

《もう全員分準備してそう》

《むしろニオちゃんもわかっててやらせたでしょこれw》


「はいそこまでー。言って欲しいワードが出てきたので十分でーすっ」

「えーそうですかぁ? どのワードかわからないですけどもうちょっと後に話せばよかったですねぇ」

「うんうん。嬉しいけど企画外のところで暴走されると尺足りなくなるからねー」

「はぁい」


《語りキャンセルもいつものこと》

《止めないとそれだけで配信30分延長は確定するしなー》


「それで言って欲しいワードってなんだったんですかぁ?」

「あっそうそう。ニオが毎日ショート動画上げてるって話なんだけどね。ツムリちゃんは自分で作ったことある?」

「あー……実は未経験ですぅ。動画編集ソフトもよくわかってないですしぃ。普通の動画とどう違うのかよくわかってなくってぇ。マネージャーさんに全部お任せしちゃってますねぇ」

「やっぱり? 投稿頻度少ないと思ってたんだよねー」


《確かにショートの頻度で言えばこの二人対極だな》

《ホントに知識ゼロからVTuber始めたのね》


「というわけで、今日はツムリちゃんのためにショート動画講座を開こうと思いますっ!」

「おお……なんかちょっと失礼かもですけど、ニオさんにしては想像以上に真面目な企画でしたぁ」

「ホントに失礼だね? 自分がそういうキャラじゃない自覚はあるけどさっ」

「ごめんなさぁい……では折角なのでぇ。ご説明お願いしてもよろしいでしょうかぁ?」

「お願いされましたっ!!」


 イメージ違いから来た失言。

 それに対しても可愛らしく怒るだけで雰囲気を悪くしない、そんなニオらしい一面も垣間見る。

 そうして後輩からのお願いを快諾する形で企画はスタートした。


「じゃあ最初にショートと普通の動画の違いについてっ! ツムリちゃんは何が思いつく?」

「うーん……やっぱり名前の通り再生時間の短さですかねぇ。あと縦長か横長かとかぁ?」

「うーんほぼ満点! もう教えることないねっ! それではおつムリ~」

「え、え? 終わりですか!? 折角のコラボなのにぃ……?」


《終わったww》

《ニオちゃんあんまりイジメないであげてw確かに良い声で鳴いてくれるけどw》


「と、冗談はそのくらいにしといて。もうちょっと説明しよっか」

「ほっ……焦りましたぁ」

「機能面で言えばツムリちゃんの答えでほぼ正解なんだよね。補足するなら広告動画が入らないとかかな? その分再生単価安くて収益になりにくいらしいけど」

「あっ確かにぃ。自動再生か縦スライドで止まらずに次の動画見れるの楽ですよねぇ」

「そうっ! 楽に見れるってことはたくさんの人の目に届きやすい。つまり宣伝に向いてるってことっ!」


《広告入らないのストレスフリーで良いよね。なら有料サブスク入って広告無効にしろって話だけど》

《宣伝か。言われてみると確かにCMっぽさある》

《そういやVTuberハマったの、自動再生放置して全く知らんジャンルから流れてきたのが始まりだったかも》


「理想は初見の人にチャンネル登録までしてもらうことだよね。VTuberらしく歌やダンスで魅了するか。クリエイターなら制作過程見せてスキルをアピールしたり、とにかく自分の強みを知ってもらうのが大事っ!」

「ほぁ……ニオさんも色々考えてショート投稿してるんですねぇ」

「考えなしに作ってると思った? やっぱりニオのことお馬鹿キャラだと思ってたり?」

「そそそんなことないですよぉ……? ほ、他にはどんなこと考えながら作ってるんですかねぇ!?」


《また失言してるw》

《勉強面でどうかはともかく、技術だけあっても知識と発想がないと作品は生まれないからなぁ》

《ショート動画職人って一言で済ましてるけど、手書きイラスト描いて動かしたり音源MIXしたりクリエイタースペック高めだよね》


「そうだなぁ。例えばショート動画って長くても1分くらいだけど、つまんない動画は速攻ブラウザバックされちゃうよね。だから勝負は最初の5秒、そこで動画に対して興味を持たせる。次の10秒で自分に対して興味を持たせる。最後まで見終えたときに他の動画も見たいと思わせる。たくさんのショート動画を通して自分の強みを魅せる。そこまでさせれば、最早ファンになったと言っても過言ではないよねっ!」

「わぁ……めちゃくちゃ難しいこと言ってませんかぁ?」

「でもファンになってもらうのって難しいことじゃない?」

「それはそうなんですよねぇ……私のファンの人達は私の何を見てファンになったのか未だに謎なんですけどぉ」

「その人達のおかげで活動できてるんだからたくさん感謝しないとねっ」


《うむ。よきにはからえ》

《こっちは何も努力せずコンテンツ消費してるだけなんだけどね……それで感謝してもらえるならこれからも応援するけど》

《この出会いに感謝を》


「うーん。実際ショート動画となるとぉ、私の強みってなんですかねぇ?」

「…………えへへ?」

「あっ可愛い……じゃないですよぉ!」


《あざとく誤魔化したw》

《強みとかいう異迷ツムリに似合わない言葉》

《ごめんけどクソ雑魚でオモロイところが好きなんですけど、強みって言って良いんですかね?》


「みんなの反応も散々なんですけどぉ……まあそうですよね。私に強みなんてありませんよねぇ。へっ……」

「やだなー冗談だってばー。ツムリちゃんの強みって言えばやっぱり声真似じゃない? 普通に凄い特技だしね」

「あ、やっぱりそれですかぁ」

「あとは……なんにも知らないところも良いところかな?」

「え? 馬鹿にしてます?」


《言われてみれば一応特技あったか》

《Q.強みはなんですか? A.なんにも知らないところ》

《お馬鹿キャラをショート動画でアピールしようって意味なら、確かに馬鹿にはしてるなw》


「一応真面目に言ってるよー。たとえば今日こうしてショート動画講座やったけど、皆知ってる常識だったら今更解説しても企画として何も面白くないよね?」

「あー。そうかもしれませんねぇ」

「だからね。知らない人のおかげでニオみたいに頑張って知識を身につけた人達が凄いって思って貰えるんだ。それを一緒に配信で深堀りして目の前ですごいすごいって言ってくれたらさ、そんなのもう自己肯定感爆上がりだよねっ」


《ほー確かに。どれだけ凄いことやってても凄いって言ってくれる人が居ないと評価されないか》

《引き立て役も配信者的には立派な才能だなぁ。コラボ相手に重宝しそう》

《言われてみれば無限に褒めまくるヲタツムリにぴったりの強み》


「今日はツムリちゃんが知らなかったおかげでニオも楽しかったし、褒め上手なところもツムリちゃんの良いところだよっ」

「なんか照れますねぇ。えへぇ」


《てぇてぇレーダー反応!》

《ニオツムか……悪くない》

《ポジティブ有能とネガティブダメっ子、正反対のキャラだからこそ案外相性良かったり?》


 視聴者から見ても明らかに真逆な存在。

 その自覚があったからこそコラボが決まったときは不安しかなかった。

 けれど相性が良かったのか、それともニオが先輩として合わせてくれたのか。

 いずれにせよ、今日のコラボが成功だったことに違いない。


「今日は色々教えていただきありがとうございましたぁ。それではニオさん、最後のやつお願いしても良いでしょうかぁ?」

「かしこまっ! じゃー最後にツムリちゃんの次のコラボ相手を紹介するわけだけど……みんなもう察してくれてるんじゃないかな?」


《ほう? その言い方だとやっぱり?》

《来るか。ロイヤルワルツ最後の一人》


 ロイヤルワルツ、ロカとニオに加えて3期生の一人を含めた3人の公式ユニット。

 まだ共演していない最後の一人に期待が集まる。


「うんうん。ロカちゃんに続いてニオと来たら……やっぱりネプちんだよねっ!」

「ですね!! 期待通りの人選ありがとうございますぅ!」

「喜んでくれてよかったー。前回は急にニオのこと紹介されて困ってたみたいだし?」

「あっそれはぁ……その、ニオさんが嫌だったとかじゃなくてぇ……」

「あははっ分かってるって。ニオ達全然タイプ違うもんねー」


 この自枠対談企画で言えば、ほぼ関係値ゼロの先輩との共演はこれが初めて。

 終わってみれば彼女が最初で良かったと心から思える。


「でも折角今日仲良くなったんだし、また一緒に遊ぼうねっ♪ なんなら今度オフの日に動画編集とか教えようか?」

「え!良いんですかぁ!? ぜひお願いしますぅ!」


 自分の無能すらもありがたいと言ってもらえた。

 存在価値を認めてもらえた気がした。

 おかげで今後の対談企画も少しだけ楽しみに思える。

 次の先輩とも仲良くなれるだろうか、なんて。


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