表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/116

第1話 人気配信者のなりすまし

 VTuber、いわゆるバーチャル配信者。

 供給過多と言われるほどに飽和した存在になりつつある昨今。

 そんな中10年近い実績により人気を博しているグループがあった。

 それがバーチャルアイドルプロジェクト『ブイアクト』。


「こんあーるま♪ 迷い人の皆々様、案内役はこのワタクシめにお任せあれ! 道化を導く道化こと導化師アルマですー」


《待ってた!》

《こんあるまぁぁぁあ!!》

《無限に配信してください!!》

《無限はムリでしょ。適度に休みつつ毎秒配信してくれればそれで良いから》


 怒濤の勢いで流れるコメント。

 それを向けられているのは一人の動く女性イラスト。

 ピエロモチーフのキャラに現代風のサーカス衣装、額に被せられた赤鼻トナカイの仮面は彼女のトレードマーク。

 その人気は国内トップとまで言われるVTuber『導化師アルマ』


「はいはーい。今日は告知通り歌枠やってきますよっと。どんな曲でもお任せあれ♪」


 喋って、歌って、ときには踊る。

 コメントを介した対話によりファンとの距離をグッと縮める。

 ファンの推し活に対し、リアルタイムで反応を返せるライブステージ。

 それがバーチャル配信という新時代のアイドルの形。

 もしかすると『導化師アルマ』は現代で最もファンの多いアイドルと言っても過言ではないのかもしれない。


「ふぅ。今日はこれにて終幕!」


 そんな彼女の配信だが、その日はいつもと少しばかり違う点があった。


《そいえば今日ゲストがいるとか言ってなかった?》

《新人をゲストとして連れて来るとかなんとか》

《結局一人の歌枠だったけど》

《ひょっとして忘れてた? 流石に終盤になって今更紹介とかないよね》


 彼女の言っていた言葉を思い出した一人のファンの言葉を皮切りに、疑問が飛び交い始める。

 それに対する返答により、配信は一層不穏な空気が流れることになる。


「え? 新人なら……もう喋ってますけど?」

「あのーみんな? アタシさっきから一言も喋ってないんですけどー?」


《はい?》

《??????》


 突然のカミングアウトにコメントは疑問符で溢れかえった。

 改めて理解させるために、私はネタ明かしをする。


「"こんあーるま♪ 道化を導く道化こと導化師アルマ"……さんの声真似でしたぁ。へへ……」


《え? 似すぎじゃね?》

《全然気づけなかった……ちょっとショック》

《いや流石に自演では?》

《ガチならこの新人ヤバすぎるww》


 人気配信者の声だと誰もが信じて疑わなかった。

 本当の顔が見えない以上それが本人かは声で判断するしかない、それがVTuberという存在。


(こんな騙すようなマネして喜んで貰えるんですかねぇ……でも、私にはこれしかないからぁ)


 何故こんなことになったのかって?

 そんなの私が知りたいくらいだ。

 私はただアイドルを推しつつ、アイドルを目指してただけのドルオタアイドル志願者。

 それがいつの間にかブイアクトの新人としてトップVTuberを真似ることになるなんて。


 こうなった経緯を説明するには少しばかり長い説明が必要になる。

 具体的には……5話くらい、ですかねぇ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ