表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信長のアレを千回クリアした俺が戦国最強の軍師に転生したのに、いきなり桶狭間が消えてるんだが(ていうか、おまえら全員シナリオ無視すんな)  作者: 犬上義彦
第6章 今川との会見

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/98

(6-6)

「その方、名を何という」


「坂巻悠斗と申します」


「駿府へ来たら我のところへ参れ。この戯画の続きが気になるのでな」


「かしこまりました。書き上がり次第、お届けに参ります」


「そうしてくれるか。よし、ならば我の鞠をそなたに授けようぞ」


 もらっても困るけど、断る理由もないので俺はひざまずいて両手を差し出した。


「ありがたき幸せ」


「うむ、我も楽しみにしておるぞ」


 唖然とした表情の義元をおいて、脱いだ俺の靴を両手にはめながら氏真が去っていった。


 家臣たちも何しに来たんだあいつはという表情をしているが口に出す者はいない。


 咳払いをした今川義元が本多忠真に申しつけた。


「では、沓掛城の元康殿には今川家の感謝を総意として伝えてもらいたい」


「ははっ。この忠真、若殿に代わってお礼を申し上げまする。必ずやそのありがたきお言葉伝えまする」


 本心を隠したまま会見は終了し、俺たちは岡崎城下の本多忠真の屋敷に入った。


 夜も更けていたが忠真は六太郎忠勝を位牌だけの簡素な仏壇の前に呼び寄せた。


「兄忠高に報告せねばならぬ」


 位牌に向かって祈りを捧げる二人の後ろで、俺と前田利家も手を合わせた。


「そなたは本当に平八郎になりきる覚悟はできておるのか?」


 忠真ににらみつけられた六太郎は目を泳がせていたが、拳に力を込めると深く息を吸い込んだ。


「はい」


「そうか。ならば何も言うまい。これからは忠勝として生きよ」


 俺たちは忠真の屋敷で一夜を明かした。


 正直なところ、忠真に寝首を掻かれるのではないかと心配していたのだが、連日の長距離移動の疲れからか、俺はあっという間に眠りに落ち、いびきをかいてぐっすり寝ていたらしい。


「もとより卑怯な不意打ちなどするつもりもないが、昨夜今川の大殿に頂いた刀でそなたを刺そうと思いはしたが、あまりにも豪胆に寝ておるので殺意も失せたわい」


 澄んだ朝の日差しを背に口をゆがめながら笑った本多忠真はその短刀を俺に放ってよこした。


「わしには必要ない。そなたが持っていろ」


「いいんですか」と、俺は繊細な装飾が施された名刀を眺めた。


「今川には散々煮え湯を飲まされてきた。おぬしへの怒りなど生ぬるく思えるほどのな。けじめの意味で手放すのだ」


 甥の死も強引な影武者も全部飲み込んでしまえるほどの屈辱がどのようなものなのかは知るよしもないが、味方でいてくれる以上俺はその気持ちに報いたいと思いながら、今川の短刀をありがたく受け取った。


 約束通り日の出と共に岡崎城を退去した今川勢を見送ってから俺たちは沓掛城へ向かった。


 織田と松平の同盟が成立したら、漫画を楽しみにしている氏真には申し訳ないが、俺は駿府へ行くことなどできなくなるだろう。


 裏切り者のデイブ・スミッシーと、やっていることは変わらないのかもしれないな。


 史実通りにするためとはいえ、そもそも織田信長に桶狭間への出馬を進言したのは俺なんだし。


 だが、そんな謙虚な反省など、この下剋上の乱世では何の役にも立たないようだった。


 沓掛城に戻った俺に待ち受けていたのは、無実の罪を晴らすどころか、理不尽で過酷な運命だった。



感想・ブクマ・評価ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ