第2章 清洲城の武将たち(2-1)
翌朝ひとりでに目が覚めた。
寝床が固いし、姿勢も良くなかったのか、体中が痛い。
起き上がると、脳内モニターが起動して、昨日と同様の情報が表示された。
俺はちょっとばかりホッとした。
万一、この情報が途切れたら、俺は戦国時代で自分の身一つで生きていかなければならないのだ。
最強の軍師どころか、雑兵にすらなれずに野垂れ死にだろう。
現在地は戦国時代の尾張国、清洲城下の木下藤吉郎の家――物置小屋並みだけど――だ。
時刻は朝の四時半だが、夏至に近い時期なので屋根や壁の隙間からもう朝の光が差し込んでいた。
「ん、おぬしも起きておったか」
声の方に顔を向けると、藤吉郎が両腕を天井に突き上げながら体を起こしていた。
「おはようございます」
「ふう、よく寝た。ぐっすりだったな」
ずいぶん夢でうなされてたみたいだけどね。
立ち上がった藤吉郎のふんどしが緩んで、モノが顔を出している。
体は小さいのに朝立ちでカッチカチのビンビンだ。
「おっと、コイツは失礼。下半身の天狗には寝ててもらおうか」
自分で自分のモノを自慢しつつ、そそくさとしまって外へ出ようとする。
「どこ行くんですか」
「顔を洗いにだ。おぬしも来い」
この時代の生活習慣に早く慣れなくてはいけない。
夕飯の時と同様、言われるままに俺はついていった。
空は曇りで、梅雨の季節にふさわしく少しばかり湿気もある。
藤吉郎の小屋がある区域は足軽などの下級武士だけでなく、行商人や職人も住んでいるらしく、家の裏にある井戸の周囲では様々な人々が朝の支度をしていた。
中にはお坊さんもいて、褌一丁で頭から水をかぶって身を清めている。
藤吉郎が桶に水をくんでくれて、俺も一緒に顔を洗わせてもらった。
水が冷たくて頭がすっきりする。
と、そこへ若い大人の女性がやってきて、いきなり着物をはだけて上半身を丸出しにしたかと思うと、桶に水をくんで手ぬぐいで体をふき始めた。
ちょっと垂れ気味の乳房に色の濃い乳輪が丸見えだ。
なのに誰もその姿を見ようともしない。
スケベ野郎の藤吉郎ですら、近所の人々と陽気に会話をしていて女性の裸体には無反応だ。
俺は本物の女性の裸体を間近に見たのは初めてだから、さすがに下半身を硬直させることはなかったものの、つい目が行ってしまう。
腕を上げると脇毛がぼうぼうだ。
この時代はそれが当たり前だったんだろうか。
体を拭き終えた女性はすっきりとした笑みを浮かべながら着物をまとうと、まわりに会釈しながら去っていった。
あまりにも堂々としていたせいか、最初は驚いた俺もあっさり見慣れた感じになっていた。
寧々さんみたいな美少女が恥じらえば藤吉郎が言うように興奮するんだろうけど、もろに見せつけられると、牧場で草を食む牛の乳と同じになるらしい。
それが日常の風景だと、誰も関心を持たないんだろうな。
だからといってさすがに令和の俺は皆の前で裸になる勇気はないけど、後で手ぬぐいを貸してもらって体を拭こうかな。
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