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歴史の教科書に落書きしちゃう人物ランキングでザビエルとペリーに次いで定番なのが豊臣秀吉だけど、こんなクズなら遠慮なくもっと描き込んでおけば良かった。
しかし、歴史に名前を残したら、俺も中学生のクソガキに髭とか描かれるのかな。
髭ならまだいいけど、ホッペにぐるぐる渦巻きとか、言ってもいない変なセリフとか書き込まれるのはイヤだな。
『坂巻悠斗とか誰?』
『こいつがなんかやらかしたせいでうちらが歴史とか勉強しなきゃならないし』
『顔、ヤバ。零点、ていうか、マイナス?』
『チョーもてなさそう』
さんざん文句言われて、結局ヒゲを書き込まれるんだ。
ヒゲならいいけど、暇にまかせて顔を塗りつぶされたりして。
目の部分だけ四角く塗られて大笑いされるかも。
はあ……。
さっきは教科書に載りたいなんて言っちゃったけど、なんかどうでも良くなってきたぞ。
「なんじゃ、黙り込んでどうした?」
ん?
あ、ああまた脱線してた。
「あいつらをけしかけたのはもしかして……藤吉郎さん……なんですか?」
「こ、こらっ!」
俺の腕をいきなり引っ張って藤吉郎が耳打ちした。
「なぜ分かる。おぬし、やはり易者か」
鎌をかけたらあっさり自白してるし。
「まあ、そういう能力があると言っておきますよ。敵軍の動きなども分かりますよ」
「なら、間諜の才能もあるということか?」
「易者でも間諜でもどっちでもいいですよ」
藤吉郎は家の間の狭い隙間に俺を押し込むと、背伸びしながら詰め寄ってきた。
「わしは乱暴されている寧々殿を見て興奮したかったんじゃ。せっかくあいつらに頼んでうまくいきそうだったのに、おぬしが邪魔をするから」
ロ○コンでNTR願望とか、クズにもほどがある。
ていうか、このままだと令和のコンプライアンスに引っかかって物語が打ち切りになるな。
まずいことになったなと思ったその時だった。
脳内にアラートがポップアップした。
《パワーアップキットを手に入れました。人物編集画面を起動しますか》
おお、登場人物のパラメータをいじれる機能が追加されたか。
じゃあ、寧々さんを十八歳ということにしておくか。
成人なら、多少鬼畜なストーリーでもごまかせるだろう。
脳内に表示された人物リストから寧々さんを選択し、年齢の数値を増やして『十八歳』に設定する。
《この設定を保存しますか》
脳内ボタンをクリックしようとしたら、誰かが俺の肩を叩いていた。
「何をぼんやりしておる」
藤吉郎が俺の顔をのぞき込んでいる。
「寧々さんを十八歳ってことにしておこうかと」
「勝手なことを言うな。わしは若い女子にしか興味がない。幼ければ幼いほどいいぞ」
だからだろ。
「藤吉郎さんの趣味はいろいろ問題あるんで、十八ってことにしておいてください」
「わけのわからぬことを言うな。いやじゃいやじゃ、わしは若い女子が好きなんじゃ。十八なんかもう婆さんじゃないか。だったら、他の女子といちゃついた方がいいわい」
なんだかなあ、もう。
十八でも十分年下だろうに。
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