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天下成敗ニチリンオー 転生若様異世界ロボット英雄記  作者: ムネミツ
第五章:西街道北上編
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第三十四話:若様、お供ロボットを合体させる

 「月夜様、凛々しいですの♪」

 「社家であり、武家の娘でもありますので♪」

 「次は福浜から富沢と北へ行く流れだね若様♪」

 「一応、軍配の地へも寄る予定だよ」

 「でしたら、また山神へも参りましょう♪」

 「ああ、挨拶は大事だからな。 旅であちこちに、世話になっているし」


 天気の良い昼空の下。


 旅の道中で、街道を歩きながら語らう太郎達。


 月夜の旅装束は白い着物の上に黒い亀の甲羅型の胴丸と黄色い武者袴。


 足は黒い脛当て付きの鉄靴と、蹴りの威力が高そうな出で立ちだ。


 彼らの横を、ある者は徒歩、ある者は小型ロボや車両と様々な過客がすれ違う。


 「荷運びの人達とよくすれ違う、流石は味街道(あじかいどう)だね♪」


 味街道、福浜や富沢などの地方の味覚を都へと運ぶ街道。


 「物の流れは大事ですわね♪」

 「ええ、各藩の荷運役は武門の家の者が就きますから♪」


 山吹姫と月夜が語り合う。


 ヒノワの各藩には地元の特産品を都など運ぶ荷運役という運送業と営む役職がある。


 民間にも運送業はあるが、に運役は武士達が護衛も兼ねて配達していた。


 「あれはもしや若様か? 皆の者、止まれ!」


 姫達が話していた所、荷物を運んでいた武士達が足を止めて太郎達に平伏する。


 「おお、家の藩士達か? 挨拶は良い、無事に務めを果たして帰って来い♪」

 「はは、かしこまりました!」


 軍配藩の荷運役の藩士達と遭遇した太郎。


 自分が藩の仕事を邪魔してはならぬと、藩士達を行かせる。


 「兄様、慕われているのですね」

 「太郎様は、皆から愛されるわんこ様ですから♪」

 「姫、その言い方に若様が少し落ち込んでる」

 「いや、精神がわんこなのは自覚してるから」

 「そのわんこなお心が、民に寄り添う名君の証ですの♪」

 「褒められてるけど、複雑だぜ」


 再び歩きだし、旅を勧める太郎達。


 福浜の領内に入る太郎達、魔物や異界獣や賊と遭遇することなく辿り着けた。


 「とりあえず、難なく来れたな。 しかし、何処かで悪事があるのかも?」


 民の為にロボで世直し人助けに悪党退治、と言う旅の題目。


 どこかで悪事を企む者がいるやもしれぬので、街の調査は大事だ。


 「悪の芽は尽きまじって言うからね、小さな悪が大きくなって大惨事」


 太郎の言葉に対して楓が頷く、情報取集は彼女の担当だ。


 「生身でも油断はできませんわね」

 「ええ、ロボが出せぬ場などもありますし」


 太郎の用心棒枠の山吹姫と月夜が頷き合う。


 「二人の身も大事だからな、無茶しないでくれよ?」

 「太郎様、心を棚上げしてはなりませぬよ♪」

 「いや、男にはやらねばならぬ時があってなあ?」

 「太郎様、今夜は山盛りのお灸ですわね♪」

 「ちょっと待ってくれ、俺は悪くないぞ!」

 「待ちませぬ、お灸は体に良いのですわ♪」


 山吹姫の尻に敷かれる太郎であった。


 軍配党の幟を掲げて福浜の城下町へと辿り着く。


 「軍配党の皆様、お通り下さいませ!」


 街の入り口を守る番兵が幟の家紋と太郎達の顔を見て通す。


 正体を隠さずに旅をしているので、本島では知名度が高い。


 「関を設ける街なのですね、福浜は」


 月夜が物珍しそうに呟く。


 「まあ、城下や大きな宿場はそんな感じだな」

 「この地を調べて特になければ、次は富沢ですわね♪」

 「うんうん、街をロボで荒らす輩も今の所いなさそうだね♪」

 「旅は初めてなので、珍しい光景ばかりです」

 「他の連中は、何をしてるやら?」


 通りを歩く太郎達、知名度のお陰か周りの人の方が彼らを避ける。


 だが、太郎達を見る街の人々の様子は違った。


 中の都と違い、芸能人を遠巻きに見るような感じで悪感情は感じられなかった。


 「そう言えば福浜もそば処だね、お蕎麦屋さんに行かない若様♪」

 「楓姉様、そんな観光ではないのですから!」

 「月夜様、問題なしですわ♪ 食文化の勉強ですの♪」

 「ああ、家臣を食わせるのは主君の務めだから行こう」


 楓に急かされた太郎は、辺りを見回して蕎麦屋の看板がある木製の建物を見つける。


 「ああ、あそこに蕎麦屋があるから行って見よう♪」

 太郎が見つけた蕎麦屋に皆で入る。


 「ごめん、四人だ入れるかな?」


 太郎が中を見ながら尋ねる。


 「いらっしゃいませ、四名様ですね♪ あなた、若様一行が家に♪」

 「何、サイン貰うの忘れるな♪」


 店員は赤ん坊を背負った、気風の良い明るい笑顔に赤い着物の女将さん。


 調理をするのは白い割烹着姿の、こちらも明るい感じのおじさんと言ったご店主。


 客の町人達も太郎を見て目を見張るが、すぐに拍手で出迎えた。


 「なんだか、ものすごい歓迎ぶりだね♪」

 「太郎様の人徳ですの♪」

 「兄様、人気者なのですね」

 「ニチリンオーや皆のお陰だよ♪」


 ひとまず席に着く一行。


 「折角ですし、お手伝いいたしますわ♪」

 「そうだね、これもご縁だよね♪」

 「ああ、手伝おう♪」

 「私も♪」


 立ち上がった太郎達は、驚かれつつも蕎麦屋の配膳や片づけや会計を手伝う。


 「皆様、ありがとうございます♪ 福浜名物、極楽そばでございます♪」


 太郎達の手伝いで客がはけた所を見計らい。


 女将さんが、四人分の山盛りのそばと天婦羅の盛り合わせを運んで来た。


 「まさに極楽の豪勢な天ぷらですの♪」

 「お蕎麦も山盛り、満腹だね♪」

 「大根おろしもたっぷりなんですね」

 「それじゃあ、いただきます♪」


 出されたそばを食う一行、そんな太郎に女将さんが色紙を出して来る。


 「ああ、サインですね書きますよ♪」


 太郎がサインを書いて渡す。


 「太郎様、赤ちゃんも抱っこしてあげましょうなの♪」


 山吹姫が提案する。


 「ありがとうございます♪」

 

 女将さんが喜び、太郎に赤ん坊を差し出す。


 「ああ、はい。 よしよし♪」


 相撲の横綱のように、女将さんの子供を抱いてあやす太郎。


 蕎麦を平らげ代金を払い、店主達に感謝されながら店を出た太郎達。


 調査をして回るも、福浜では特に事件はなく次の行き先である富沢へと向かった一行。


 「ギンゲツオーは、まだ修復が掛かるようです」

 「ニチリンオーが力を与えて、ギンゲツオーの修復に勤しんでいるから呼び出せないか」


 幽世屋敷の居間、富桜神社からの連絡を受けた太郎と月夜が仲間達に語る。


 「ニチリンオー、ギンゲツオーとは仲が良いのかな?」

 「月と太陽、兄弟機の中では思う所があるのやもしれませんの」

 「ホクテンオーやイットウオーの時とはまた別なんだね」

 「ギンゲツオーは女性神格ですから、妹を労わっておられるのでしょう」

 「暫く呼べないってのは、まずいよね?」

 「まあ、何事もなければいいが」


 話し合いをしてから、幽世屋敷を出て旅路を進む太郎達。


 「断崖絶壁だね、この岬」

 「これは、波が激しいですわ♪」

 「悪人を追い詰めそうな所だな」

 「危ないですから下がりましょう、皆様」


 通りがかった岬を覗く一行、そこが投身岬と言う曰く付きの名所だと知らず。


 だが、岬から離れて海を見れば必死に海岸へと向かう貿易船とそれを追うクジラの怪物。


 「若様、事件だよ!」

 「よし、今回はお供ロボット総動員だ!」

 「かしこまりましたの! 行きますわよ、コガネマル♪」

 「ヒスイマルに任せて♪」

 「お見せいたします! おいでなさい、クロガメマル!」


 太郎達質の呼び声に答え、天から飛び出して来た五つの獣のロボット。


 赤き牛、黄金の狼、青き鹿、緑の雉、黒き亀。


 アカベコマル、コガネマル、アオトビマル、ヒスイマル、クロガメマル。


 アカベコマルが頭と胴体、コガネマルが右腕でヒスイマルが左腕。


 クロガメマルが右足、アオトビマルが左足と五色のお供ロボットが一つになる。


 「お共合体、ゴシキマルッ! あ、参上っ!」

 「よっ、若様♪」

 「太郎様、素敵な名乗りですわ♪」

 「兄様、ロボに乗ってる時は人が変わるのですね?」


 コクピット内で太郎が叫べば、ロボが見得を切って相手を威嚇する。


 月夜は、普段の太郎と機体に搭乗時のノリが違うので戸惑う。


 赤、金、青、緑、黒の五色の獣が連なり合った人型のスーパーロボット。


 太郎達の二号ロボ、その名はゴシキマルが完成した。


 ゴシキマルに合体すれば、同部にパイロットは全員が集合。


 各人が、自分のロボが担当する部位をレバーとコンソロールで操る分担方式。


 全速力でゴシキマルが空を飛び、鯨の怪物へ空から飛び蹴りを喰らわした。


 ゴシキマルの攻撃により、貿易船は逃れる事に成功。


 怪物の狙いは、ゴシキマルに移行した。


 「良し、船は逃がしたな! 楓姉さん、お願いします!」

 「任せて♪ ヒスイマル、大竜巻っ!」


 ゴシキマルの左腕から竜巻が放たれて、クジラの怪物がひっくり返る。


 「よし、次は山吹姫お願いします!」

 「お任せあれ、コガネマル超振動裂牙ですの!」


 ゴシキマルの右手となったコガネマルが口を開ければ牙が振動する。


 そのままクジラの怪物に突進し、超振動の牙で敵の腹を裂いて体内に潜り込む。


 「よし、アオトビマルの電撃だ!」


 今度は太郎が操作して足のアオトビマルの鹿の角から電撃を放つ。


 「最後は私です、クロガメマルの粉砕鉄球を受けて見なさい!」


 月夜が操作すれば爪先のクロガメマルの頭部が、鎖付きで撃ち出される。


 鎖鉄球となったクロガメマルの頭が、蹴りと共に振り回され敵の内部を破壊して行く。


 「よし、最後はアカベコマルの力だ猛牛第爆炎っ!」


 太郎が叫び機体を操れば、ゴシキマルの全身が燃え上がり火の玉となる。


 これが止めとなり、クジラの怪物は大爆発。


 ゴシキマルは会場まで上がった火柱と共に脱出し、事件を治めたのであった。


 「これにて一件落着だな」

 「でも、何故あのような怪物が来たのでしょうか?」

 「貿易船を調べた方が良いかな?」

 「ですね、この先はヒノワの領海ではないので富沢へ船を追いましょう」


 機体の中で語り合う太郎達、ゴシキマルを飛ばして陸へと戻る。


 何故、あの貿易船は怪物に追われていたのか?


 そもそもただの貿易船なのか?


 怪物を退治しただけでは終わりではないと考えた太郎。


 機体から降りた一行は、楓にヒスイマルだけ呼び出して貰って乗り込む。


 「急ぐならヒスイマルで空からだね♪」

 「うん、事件を追う為だから良し」

 「太郎様、権力の狡い使い方ですわね」

 「謎を解きましょう、皆様」


 ヒスイマルに乗った一行は、空を飛んで貿易船を追うのであった。

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