第三十一話:若様、北へ向かう
「各地のマジムン退治、ご苦労であった」
「ありがたきお言葉、痛み入ります」
「そなたの旅の無事を祈っている、我が娘に会った時は宜しく頼む」
「かしこまりました♪」
城に来て龍縄王に謁見し、礼を述べられる太郎。
ハブのマジムンの他にも、各島を悩ます巨大な魔物などをニチリンオーで退治。
作物の不作に困る民には、風を呼び雨を降らし日を与えと助太刀。
荒れ地の開墾や土木作業の困り事は、アカベコマルやコガネマルなどでお手伝い。
大臣から受けた依頼をこなし切った太郎達は、再び港に来ていた。
「人助けで良いことしたし、料理も美味しかったね若様♪」
楓が微笑む。
「マジムンとの戦いは大変でしたが、気持ちのいい一時でしたわ♪」
山吹姫も満足顔。
「ああ、またいつか訪れよう♪」
太郎がアカベコマルを海に召喚して皆で乗り込む。
「太郎様、たんでぃがーたんでぃ♪」
「またん、めんそーれ♪」
港には大臣や太郎達が助けた民が、見送りに来ていた。
「まあ、嬉しいお見送りですわ♪」
山吹姫が振り返り手を振る。
「ありがと~♪ またんちゃび~さ~♪」
楓が龍縄の方言でまた来ますと返事をする。
「ああ、皆さんまたんちゃび~さ♪」
太郎も方言で返事をして手を振り、アカベコマルに仲間達と乗り込む。
老若男女の民達に見送られ、巨大な赤い牛型ロボットアカベコマルは出航した。
「さて、次からは北への旅だ♪」
「西街道を北上ですわね♪」
「中都にも寄って行こうよ、ギンゲツオーのお膝元だけど」
次なる旅はどうしようかと語る太郎達。
南国地方で赴いていない地にも行こうかなどと思案する。
だが、太郎の腰の刀がコダイオーブレードに変わる。
「若様! レーダーに異界獣反応だよっ!」
「本島へと移動してますの、反転しますわ!」
敵の反応が出たなら、退治に行くしかない。
巨大な灰色の蜘蛛の怪物が海面を走っている姿を目視。
「良し全部合体行くぜ、楓姉さんと姫は宜しく!」
「お任せあれ♪」
「かしこまりましたわ♪」
「アオトビマル召喚っ!」
姫と楓が消えると同時にコガネマルとヒスイマルが現れる。
そして、太郎が叫べば鹿ロボットのアオトビマルも現れた。
「そして、ニチリンオーよ来てくれ!」
太郎が軍配をアカベコマルの機内で振り上げれば、ニチリンオーが現れ太郎はそちらに転移した。
現れた軍配党の全部のロボットが、海上で素早く変形や分離を始める。
上半身と下半身が分離したニチリンオー、胴体が変形したコガネマルと合体。
次にアカベコマルの頭部が変形し、新たなニチリンオーの兜となり被さる。
アカベコマルの残りはニチリンオーの両腕を拡張し下半身は合体し四つ足。
アオトビマルが右足に合体、ヒスイマルが変形して左足に合体。
新たな姿、ゴシキニチリンオーが誕生した。
「「完成、ゴシキニチリンオー!」」
頭に赤牛の兜、胸に金の狼、右前足は青き鹿、左前足は翠の雉で後ろ両足は牛。
コックピット内に三人のパイロットが再集結する。
異形の四足と獣の部位を得たニチリンオーが、こちらも海を駆ける!
「敵がこちらに気が付きましたわ!」
「やる気満々だね、私達もだけど♪」
「ああ、まずはビリビリを喰らえアオトビボルト!」
ゴシキニチリンオーの右前足、アオトビマルの部分から電撃が流される。
蜘蛛の異界獣は、電撃に痺れて動きを止めた。
「お次は、キジ足キックだよ♪」
楓が機体を操作すれば、ゴシキニチリンオーが跳び蹴りを叩き込む。
海の中へと沈んで行く異界獣、
「追撃ですわ、逃しませんのよ!」
山吹姫が操作を変わり、ゴシキニチリンオーも潜水する。
だが、勝負は水中からが本番だった。
蜘蛛の異界獣は複数の足を動かしてスイスイと動き回る。
「まるでタコの様な泳ぎ、これが本当の水蜘蛛ですの!」
「姫、ダジャレは良いから雄叫びお願い!」
「ワオンですわ♪」
楓の指示で山吹姫が操作をすれば、コガネマルが雄叫びを上げる。
敵がコガネマルの衝撃波に苦しんだ所で楓が動く。
「止まった所に、キジブラスターだよ♪」
楓が機体を操り、ヒスイマルの口からビームが放たれ敵に着弾する。
お供のロボット全ての機能が使える、ゴシキニチリンオーならではの戦法だ。
敵も負けじと投網の如く口から糸を吐き出し、ゴシキニチリンオーを捕えんとする。
「させるか、コダイオースラッシュ!」
太郎が操作し、コダイオーブレードから光の斬撃を飛ばし敵の糸を切る。
糸が通じねば格闘戦だと考えたのか?
蜘蛛の異界獣は全ての足を伸ばして揃え、水中ドリルと化して突進して来た!
「ドリルの相手なら慣れている、こちらもドリルで行くぞ!」
右前足の爪先となったアオトビマルの鹿の角が回転し、ドリルとなる。
「ニチリンドリルキック!」
ゴシキニチリンオーもドリルを使い突進して立ち向かう。
ドリルとドリルのぶつかり合い、制したのはゴシキニチリンオー。
蜘蛛の異界獣は、ニチリンドリルキックで足の爪を失った。
「よし、止めと参ろうか」
「いよっ、待ってました若様♪」
「太郎様の太刀捌き、お見せくださいませ♪」
コックピットが変形し、太郎が立ち上がるスタンドファイトモードになる。
「天下御免の必殺剣、金環日食崩しっ!」
太郎が舞うようにコダイオーブレードで円を描けば、ゴシキニチリンオーも同じ動きをする。
描いた光の金環が、敵に飛んで行きその動きを封じる。
続けて、ゴシキニチリンオーが突進しながら斬撃を振るい敵を両断する。
必殺の技を受けた蜘蛛の異界獣は、爆散炎上し光の柱を天へと上げて消滅した。
敵を倒し、浮上したゴシキニチリンオー。
「これにて、一件落着っ!」
太郎がコックピット内で事態の収束を宣言。
「お見事でしたわ太郎様♪」
「めでたし、めでたしだね♪」
コックピットも元に戻り、ゴシキニチリンオーが自動的に分離してアカベコマルだけが残る。
他のお共のロボは幽世屋敷へ、ニチリンオーは格納庫のある異空間の神蔵へと送還される。
かくして、若様達は龍縄本当に迫る脅威を未然に防いだ。
「さて、またヒノワ本島国内を歩いて回るぞ♪」
「北の地へ行くのが楽しみですわ♪」
「もっと、南国の御馳走を楽しみたかったかな♪」
「楓姉さん、また今度な? さてはて、次はどんな事が起こるやらだよ」
敵を倒した事を喜び合い、一行はアカベコマルを駆って改めてヒノワを巡る旅に戻るのであった。
今回と次回は短めです。




