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天下成敗ニチリンオー 転生若様異世界ロボット英雄記  作者: ムネミツ
第四章:南国邂逅編
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第二十九話:若様、杉の島を救う

 桜鹿の地にて、異界獣により変異した鹿神を救った若様。


 桜の国を守る為、ニチリンオーで立ち向かう。


 奪われた神域は種杉島、取り戻してくれと頼まれる。


 神様に頼られたなら断れない。


 神と人、助け合うのがヒノワ節。


 求めに応じた若様は、助けた鹿神に導かれ空を行く。


 『お待ち下され~~~っ!』


 「え? 何か黒い武者ロボットが飛んで来た!」

 

 ヒスイマルを操る楓が、ポップアップしたデジタルスクリーンを見て驚く。


 「背中に大きな筒を二本、背負って飛んでますの!」


 山吹姫も見た事のないからくりに驚く。


 背負う形式のロケットブースターは珍しかったようだ。

 

 「あの声は薫子姫、そして桜鹿の武神、ロッカクオー!」


 太郎は追って来た相手が誰だかわかった。


 「まあ♪ ならばここは道連れと参りましょう、太郎様♪」

 「うむ、薫子は良い子ゆえ信じてくれ日輪の子よ♪」

 「ええ、彼女にも手伝っていただきましょう」


 山吹姫と鹿神の言葉に答える太郎。


 鹿の角が付いた兜を被った黒い鎧武者型ロボ、ロッカクオーと同時に種杉島へ降り立つヒスイマル。


 「今になって、コダイオーブレードが顕現した?」

 「すまぬ、神も慰撫する我の桜が古代の王の力を妨げてしまっていたのだ」

 「美しい桜でした、また楽しむ為にも敵を倒します♪」


 鹿神に微笑む太郎。


 「そなた、神に好かれる性質じゃな♪ 後で我が加護も授けようぞ♪」

 「太郎様は私の自慢の婿ですから当然ですの♪」

 「若様、本当に神様にはモテるよね♪」

 「いや、戦の前だから!」


 仲間達のからかいを制し、太郎が軍配をかざしてニチリンオーなどチームの全ロボを召喚する。


 ロボが現れれば、太郎はニチリンオーに山吹姫はコガネマルに転移。


 鹿神はアカベコマルに転移しと、カルテットニチリンオーに全機合体をした。


 「日輪の子よ、ロッカクオーと通信は繋げたぞ♪ 薫子、我が声が聞こえるか?」

 「し、鹿神様! ご無事だったのですね♪」

 「うむ、日輪の子のお陰でな♪ ニチリンオーの共となり島を取り戻すのじゃ」

 「かしこまりました、お任せあれ!」

 「繋がったか、薫子姫は宜しくお願いします」


 鹿神の力でロッカクオーと通信が繋がり、連携を取る事にした二体。


 杉が黑く染まり、田畑は黄色の汚泥に浸されと島内は荒廃していた。

 

 『おのれ異界獣め、杉が汚染されて真っ黒に!』


 ロッカクオーから薫子が叫ぶ。


 「くそ、島民達の生き残りはいるのか?」

 「若様、山の麓の集落の方に多数の人の生命反応ありだよ♪」

 「太郎様、ニチリンオーの力で浄化を!」

 「ああ、アメノサンサホコ!」


 カルテットニチリンオーが龍神の鉾を召喚して天にかざせば雨が降り周囲を浄化する。


 『汚泥が消え、元の状態に戻ってる?』

 

 ニチリンオーが降らせた雨が、汚泥や周りの汚れを消して行く様に驚く薫子。


 浄化の雨を降らせながら進むニチリンオーを先導するロッカクオー。


 敵が居座る鹿神大社のある山へと進む、カルテットニチリンオーとロッカクオー。


 島に一つしかない集落にも、浄化の雨が降り注ぎ清浄化して行く。


 民が家から出て来て、ニチリンオーとロッカクオーに平伏して礼を言う。


 「島民達よ、安全の為に家にこもるのだ!」

 「ニチリンオーとロッカクオーがそなたらを救う、追って救援物資も届ける」

 「神君家と桜鹿藩は民を見捨てぬ、どうか今しばらく辛抱を頼む」


 太郎と薫子が共同で宣言すれば、民達は涙を流して承諾した。


 「若様、急いで敵を倒そう!」

 「太郎様、民への炊き出しは敵を倒してからの方が良いですの!」

 「ああ、わかってる行こう!」

 「太郎殿、異界獣が姿を現しました!」

 「猶予はないか! 皆、突撃っ!」

 「「応っ!」」


 太郎の下知と共に、カルテットニチリンオーとロッカクオーが同時に飛び立つ。


 敵の姿は小山と見紛うほどの漆黒の巨大猪。


 不快な雄叫びが木霊すると同時に敵の口から、毒々しい紫色の瘴気が噴出する!


 「この地を汚させはせん、ノーズファイヤー!」

 「不浄の獣に裁きの雷を、ロッカクサンダー!」


 カルテットニチリンオーが、牛頭の盾から神威の火炎放射で瘴気を浄化。


 ロッカクオーが、兜の角を青白く発光させながら巨大猪に放電攻撃。


 ロッカクオーの雷に、敵は巨体ゆえに避ける事もかなわず身悶え苦しむ。


 だが敵も神域を蹂躙した怪物、そう簡単にはやられない。


 不快な雄叫びを上げ、巨大な鼻面を大鉈の如く振り上げるっ!


 敵の大きさと重量から、鼻面が振り下ろされれば集落が滅ぶほどの衝撃波が予想される。


 太郎の瞳に計算されたデータが映る。


 「させるか愚か者っ! 桜鹿の女子を侮るな~っ!」


 薫子が叫び、ロッカクオーが背中のロケットブースターを噴射して敵の下へ突っ込む。


 「よし、俺達も飛ぶぞっ!」

 「任せて♪ カルテットニチリンオー、休息上昇っ!」

 「空で仕留めますのね♪」


 薫子の考えに予想を付けた太郎が楓に命じ、機体を空高く急上昇させる。


 同時に、振り下ろされた巨大猪型異界獣の鼻面を受け止めたロッカクオー。


 「気張れよ、ロッカクオー!桜鹿示倒流噴火飛おうかじとうりゅうふんかとばしっ!」


 敵の重量に沈みかけたと思われたロッカクオー。


 力を溜める為に手足を縮めたロッカクオーが、ロケットブースターを噴射して敵を投げ飛ばす!


 「まだまだあっ! 追撃の多段噴射っ!」


 薫子が操縦席で叫びレバーを押し込めば、ロッカクオー自身がロケットととなり飛び敵を押し上げる。


 我が身に起きた事態を飲み込めずもがく巨大猪だが、逃げられない。


 「太郎殿、仕上げはニチリンオーにお願い申す!」

 「あい任された!」


 ロッカクオーは太郎に通達して敵を成層圏まで押し上げると離脱する。


 「ここまで上げれば被害はない、金環日食崩しっ!」


 太郎がコックピットのシートをスタンドファイトモードに変形させる。


 パイロット自身の動きを機体と連動させるこの仕組みは神々への奉納演武。


 太郎がコクピット内でコダイオーブレードで円を描けばニチリンオーも円を描く。


 円を描き切ると同時に光の金環が飛んで行き、敵を完全に固定し張り付ける。


 「成敗っ!」


 太郎が叫びと同時に刀を振るえば、ニチリンオーも敵へ突進し斬撃を振るい切り抜ける。


 斬り捨てられた敵は、空に張り付けられたままその身を両断され灰も残らず焼き尽くされた。


 「太郎様、ロッカクオーが落ちて行きますの!」

 「推進剤が切れたんだよっ!」

 「薫子を助けておくれ、日輪の子よ!」


 残心を決める間もなく、地上へ落ちて行くロッカクオーを助けに向かうカルテットニチリンオー。


 急下降して、お姫様抱っこでロッカクオーを受け止めともに地上へと降りて行く。


 「お恥ずかしいです、桜鹿の武士たる身で」

 「いやいや、あなたは立派な武士ですよ」


 照れる薫子と通信でやり取りする太郎。


 ロッカクオーを抱えつつ、ニチリンビームで完に島の汚れを払うニチリンオー。


 晴れやかな空の下、島の大地に着陸した二体は握手を交わす。


 「此度は誠にありがとうございました、後の事はお任せを」

 「何、世直し人助けと悪党退治は使命の内ゆえにお気になさらず♪」


 機体を通じて語り合う太郎と薫子。


 鹿神はいつの間にかニチリンオーから消えていた。


 機体から降りて、島で別れの挨拶を交わす事にした太郎達と薫子姫。


 「それでは太郎殿に軍配党の皆様、道中お達者で♪」

 「ああ、そちらもお元気で♪」

 「次に会う時は是非ひと試合お願いいたしますの♪」

 「若様~? 桜鹿をもうちょっと観光したかったよ~!」

 「はいはい、山吹姫も楓姉さんも後を濁さないの! それでは、さらば!」


 後始末をする為、島に残った薫子と別れた太郎達。


 ひとまずは幽世屋敷へ戻ると決めて姿を消す。


 戦いを終え、幽世屋敷の縁側で寛ぐ太郎達の下へ鹿神が現れた。


 「日輪の子よ、我が加護としてこのアオトビマルを授けよう♪」


 青色の鹿型ロボットがどこからか飛んできて屋敷の庭に着地する。


 「ついでに鹿達を従える権限と、鹿肉を得られる加護も授ける♪」


 鹿神が更なる加護を太郎にくれた。


 「まあ、素晴らしい贈り物ですの♪ ありがとうございます、鹿神のおば様♪」


 山吹姫は肉が食えると聞いて喜んだ。


 「山吹は食いしん坊じゃからの♪ 家族を食わせてやるのは夫の務めじゃぞ♪」

 「いや、いつも思うんですが眷属の肉食うってありなんですか?」

 「有りじゃ、人の営みとしての狩りや食肉はある程度は認めざるを得ん」

 「では、ありがたく頂戴いたします」


 太郎が鹿神に礼を言う。


 「暇な時があればまた、桜鹿へ遊びに来てくれ♪」

 「はい、その時は宜しくお願いいたします♪」

 「宜しくお願いいたしますの♪」


 太郎と山吹姫は、天に昇って帰る鹿神を見送った。


 アオトビマルは身を伏せて太郎に頭を近づける。


 「よしよし、アオトビマルもよろしくな♪」

 「よろしくですの♪」


 太郎と山吹姫がアオトビマルの頭を撫でる。


 「しかし、皆小さくなれないのかな庭は広いけれど?」

 「なれますの♪ アオトビマル、小さくおなりなさい♪」


 太郎の疑問に山吹姫が笑顔で答える。


 山吹姫がアオトビマルに、小さくなれと命じるとアオトビマルは瞬く間に縮小した。


 「うそ、できたんだ! 全然気づかなかった!」

 「太郎様の驚いたお顔も素敵ですの、ロボ小屋にご案内しますわ♪」

 「コガネマル達もなんだ♪ アオトビマル、おいで♪」


 山吹姫に案内されて太郎は屋敷の裏へと歩く。


 太郎の後ろをついて行くのは、原付バイクサイズのアオトビマル。


 「ここがロボ小屋ですの、術の力で小さくしたロボ達の長屋ですわ♪」

 「おお、アカベコマルやコガネマルだ♪ アオトビマル、どうぞ♪」


 動物ロボ達の厩舎と言うべき家屋の空き部屋に、アオトビマルを入れる。


 アオトビマルは嬉しそうな鳴き声を上げて身を伏せた。


 アカベコマルやコガネマルも、太郎達が来た事で喜びの声を上げて顔を出す。


 「おお♪ 普通の牛馬並みの大きさだな、良し良し♪」

 「式神達が監理しておりますが、太郎さまもこちらにおいで下さいませ♪」

 「ああ、そうさせてもらうよ♪」

 「うふふ、コガネマルは金ですが黄色も兼ねてるので赤青黄の三色が集いましたの♪」

 「そうだね、三原色が揃ってるのは何か縁起がいいな♪」

 「楓様のヒスイマルが緑、五体合体が可能になりますの♪」

 「おお、遂に五体合体が♪」

 「夢が広がりますの♪」

 「お共だけでも合体できるのが楽しみだ♪」

 「組み合わせの使い分けができるのも良いですわね♪」


 ロボ小屋の前で語らう太郎と山吹姫。


 お供のロボが四つになり、新たな合体が見えたニチリンオー。


 そして運用可能になった二号ロボ。


 果たして、軍配党の新戦力は一体どんな姿になるのやら。


 幽世屋敷でなごみつつ、新たな展開に夢を馳せる若様達であった。

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