第二十五話:若様、ナンカイオーと出会う
佐津藩の領内で、悪家老退治をした若様一行。
「ふう、あの家老退治は面倒な事件だった」
「まさか、他所のご家老様を成敗する事になるとはね」
「辿り着いて早々でしたしね、太郎様はお疲れ様でしたの」
「この長島でも、何かありそうだな?」
太郎達は事件の顛末を佐津藩主に報告し、村の復興を頼んだ。
謀反の用意をされた佐津藩主は改易物であるが、太郎が神君に取りなして救った。
佐津藩主からの礼は気持ちだけと言って面倒を避け、隣国の長島へ来た太郎達。
「カステラが心を癒してくれますわ♪」
「そうだね~♪」
「うん、美味い♪ お土産に買ってお供えしよう♪」
大きな茶店のテーブル席で、早昼のカステラを食いながら羽を休める太郎達。
力を貸してくれたロボット達に感謝せねばと太郎は考えた。
ロボは神、ロボは家族、ただの武具にあらず命預ける友である。
地元で受けた座学の言葉を思い出す。
「どうしたんですの、太郎様?」
「うん、何か考え事?」
「ああ、ロボは家族って思ってた」
姫と楓の言葉に答える太郎、こう言う平時だからこそ考える事ができる。
「うん、愛せば家族で忌めば凶器だからね」
「ですの、ロボは乗り手次第で神にも邪悪な妖魔にもりますの」
「そう言えば、落ち武者退治したなあ」
「妖魔になった悲しいロボ達を救うのも、私達のお役目だよ♪」
「うん、ニチリンオー達や皆と頑張るよ」
カステラを食いながら、気持ちを新たにする太郎だった。
茶店を出て長島の街を見て回る太郎達。
「港町だけど、壁や屋根が赤くて西の大陸の龍雅帝国や龍縄に近いな?」
地球で言う、古代中国と沖縄相当の場所を思い浮かべて呟く太郎。
「神社に似た感じは落ち着くね♪」
「ええ、赤は良い色ですの♪」
「楓姉さん、もしかしてこの街にも名物料理があるとか?」
まさかと思いつつ太郎は楓に尋ねる。
「良くぞ聞いてくれました♪ 南国は古来より龍雅との交易地点だよ♪」
「つまり、龍麺などの龍雅料理の影響を受けた者が多いと?」
「なるほど、美味しそうですの♪」
「丁度、斜め前にニチリンオーみたいに緑瓦のあのお店!」
楓が通りにある一つの店を示す。
「ああ、あの店が龍雅料理店だと?」
太郎が得心した。
「それでは、楓様のおすすめで腹ごしらえをいたしましょう♪」
「姫、流石♪ ほら、若様も行こう♪」
「二対一じゃ勝てないよ♪」
太郎は楓にせがまれて、仲間達と麺と書かれた暖簾をくぐり店に入る。
「あ~♪ にーにだ~♪」
「おう、出くわしちまった」
「にーに、久しぶり~♪」
店内で出会ったのは先客として一人で、テーブルについていた少女。
赤い空手着に黒帯、小麦色の肌に短い茶髪の愛らしい少女だ。
「若様、あの子って?」
「もしや、お身内の方ですの?」
楓と山吹姫が勘付いた。
「はとこだよ、ナンカイオーのパイロットだ」
太郎が溜息を吐く。
「皆で、一緒に食べようさ~♪」
脳天気に相席を勧める少女に太郎達は応じる。
「初めましての人がいるね、わんはクガニだよ~♪」
「初めまして山吹と申しますの♪」
「クガニちゃんは久しぶりだね♪」
「楓ねーねも、久しぶりさ~♪」
「クガニ、飯食ったらお前のお供の所へ行くぞ?」
太郎は奔放な性格のクガニに、振り回されるお供を憐れんだ。
餃子や焼売、チンジャオロースなどの料理を皆で食べる。
「クガニ様は、龍縄の姫君でいらしたのですね?」
「や~ちゃんは、太郎にーにのお嫁さんになるの?」
「ええ、勿論ですわ♪」
「良いな~♪ わんも、にーにのお嫁さんになりたい♪」
「若様、モテるねえ♪」
「私、クガニ様なら側室にお迎えしたいですの♪」
「そう言う話は、色々と保留で」
山吹姫の側室発言については、太郎はスルーした。
太郎的には、クガニは妹扱いで嫁は山吹姫だけで良いので。
食事を終えて支払いを済ませて店を出て皆で港へと向かう。
「お、お船とロボが一体化してますの!」
「これが、海の守り手ナンカイオーかあ♪」
「うん♪ これがわんのナンカイオーだよ♪」
「相変わらず壮観だな」
太郎達が港で見たのは、停泊中の下半身が船状の真紅のスーパーロボットだった。
船首には金の龍の頭、ロボの胴体は神社に似た造りの城を模している。
ロボが頭部に被るのは金の獅子頭の兜、天下制海ナンカイオーだ。
「凄いですが、地上戦や空戦は可能なのでしょうか?」
呆気にとられつつも、山吹姫はナンカイオーの事を質問する。
「うん、できるよ~♪」
「ああ、船尾が足になるんだ船首は肩アーマーだよな?」
「いつぞやの海賊船ロボみたいですのね?」
「海賊退治ならお任せさ~♪」
クガニが肯定し、太郎が補足する。
「ク~ちゃん、何処に行ってたさ~?」
ナンカイオーの甲板から、赤い空手着を着た褐色肌に赤髪の美少女が叫ぶ。
「あ~~♪ ティ~ちゃん、ただいま~♪ 太郎にーに達を連れて来た~♪」
港から甲板の美少女へ手を振るクガニ。
ナンカイオーの甲板から美少女がジャンプで港へとやって来る。
「太郎様、お久しぶり~♪ ティーダだよ、覚えてる?」
ティーダと名乗った赤毛の美少女が挨拶する。
「覚えてるよ、久しぶり」
太郎もティーダに挨拶を返す。
「それじゃあ、皆をナンカイオーにお招きするさ~♪」
クガニが両手を打つと、ナンカイオーの船体が開きボートが搬出されて来た。
太郎達はやって来たボートに乗り、ナンカイオーへ乗船する。
「ようこそ、ナンカイオーへ♪ 歓迎するさ~♪」
太郎達が甲板に上がるとクガニが改めて告げる。
「いや、良いのか? 一応俺達はライバルだろうに?」
「なんくるないさ~♪ お招きしたからには宴さ~♪」
太郎の質問にクガニが答えて、手を叩く。
すると、艦橋でもあるナンカイオーの胴体の城門部分が開いた。
環境の中から黄色いシーサーの式神達が、テーブルやら菓子やらを太郎達の下へと運ぶ。
「まあ、可愛らしい式神ですの♪」
「シーサーだっけ? 初めて見たよ♪」
「送り届けに来ただけだが、悪いな」
シーサー達が甲板で茶会支度をテキパキと行う。
太郎達は、あっという間に茶会の席に着かされた。
「龍縄のお菓子、サーターアンダギーだよ~♪」
「お芋のケーキもあるから~♪」
クガニとティーダに歓待される太郎達。
「何か、葵の時とは違うね♪」
「ですの、葵様には勝負を挑まれましたのに?」
楓と山吹姫は不思議に思う。
「わんは、太郎にーにが国王に向いてると思う」
「私達は修行の旅、ナンカイオーで人助けして龍縄を好きになってもらいたい」
太郎に自分達の想いを伝えるクガニ達。
「若様、望まれてるね♪」
「人望があるのは良い事ですの♪」
「ああ、じゃあ同盟締結だな」
「うん、わん達はにーにの味方になるよ♪」
太郎とクガニが握手する。
二人の間に共闘体制が結ばれた時、太郎の腰にコダイオーブレードが顕現した。
「ち、異界獣が出るのか!」
「沖の方の空に、雲が渦巻いてるよ!」
「クガニ様、私達を戦場迄案内して下さいませ!」
異界獣の出現に備える太郎達。
「うん、あれは悪いものだね! ティーダ、出航して!」
「任せるさ~♪」
ティーダが艦橋へと戻ると、ナンカイオーが沖へと動き出した。
「良し、俺達も一気に出陣だ!」
「お任せですの♪」
「頑張るよ♪」
太郎達も機体を全て召喚し、カルテットニチリンオーへと合体させ牽引ビームで乗り込む。
クガニも艦橋へと走って戻り、玉座風のシートに座るとシートが沈む。
「ナンカイオー、スタンドファイトさ~っ!」
シートが沈んだ先は球体コックピット。
クガニが立てば、獅子頭のヘッドギアやマニピュレーターが出現し彼女に装着される。
ナンカイオーも船首と船尾が伸び変形する。
船首と船尾が左右に別れ、艦橋を中心に折り曲がり立ち上がりスライド。
船尾が両足になり船首が肩アーマーとなり、真紅の巨人ナンカイオーが立ち上がる。
「クガニ、格闘戦は任せたさ~♪」
「ティーダは、火器管制をお任せさ~♪」
ブリッジのティーダと、コックピットのクガニが通信でやり取りする。
「天下制海ナンカイオー、抜錨さ~っ♪」
「天下成敗カルテットニチリンオー、見参っ!」
二体のスーパーロボットが並び立ち、天から落ちて来た異界獣に立ち向かう。
「敵はでかいタコか?」
「食べたくはないな~?」
「同感ですの」
巨大な灰色のタコの怪物がニチリンオー達へと触手を振るう!
「アカベコシールド!」
ニチリンオーは牛頭の盾で攻撃を受け止める。
「ナンカイオー、波乗りキックさ~っ!」
ナンカイオーが敵のサイドに回り、海の上を滑走して飛び蹴り!
「こちらも負けてられんな、コダイオーブレード!」
ニチリンオーも敵の触手を押し返しコダイオーブレードで触手を切断する。
悶え苦しむ異界獣、今が好機だとナンカイオーが決め技の体勢に入る。
「行くさ~っ! オーシャンストリ~~ムッ!」
ナンカイオー側のサブパイロット。
飛び道具担当のティーダが、ブリッジのコンソロールを操作する。
ナンカイオーの肩鎧の龍頭が口を開け、竜巻と共に水流を敵に放つ。
「良し、こちらも合わせるぞっ! 金環日食崩し!」
カルテットニチリンオーがナンカイオーに合わせるように技を出す。
「続けて必殺、激流正拳突きさ~っ!」
ナンカイオーの水流が敵を打ち上げ、ニチリンオー放った金環が敵を空に張り付ける。
ナンカイオーが水流を噴き上げアッパーカット!
ニチリンオーが飛翔して切り下ろしを、交差するように放ち二体で敵を撃破する。
二体の合体技、激流金環崩しが見事に決まった。
敵は爆散して消滅し、二体のスーパーロボットは勝利の握手を交わした。
戦いを終えて港に戻って来た太郎達。
「それじゃあ、またしばらくお別れだね♪」
「ああ、俺は南下して龍縄まで言ったらまた北へだ」
「龍縄は良い所だから楽しんで、わん達は東から北へ行くさ~♪」
「ああ、お互い頑張ろうな♪」
「うん、でも同盟結んだから呼んだら助けに来て欲しいさ~♪」
「ああ、俺は身内を見捨てない」
候補者同士、一時の別れの挨拶を交わす太郎とクガニ。
次に会うのはいつの日か?
クガニ達は北に、太郎達は南にとそれぞれの人助け世直し旅は進む。




