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天下成敗ニチリンオー 転生若様異世界ロボット英雄記  作者: ムネミツ
第四章:南国邂逅編
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第二十五話:若様、ナンカイオーと出会う

 佐津藩(さつはん)の領内で、悪家老退治をした若様一行。


 「ふう、あの家老退治は面倒な事件だった」

 「まさか、他所のご家老様を成敗する事になるとはね」

 「辿り着いて早々でしたしね、太郎様はお疲れ様でしたの」

 「この長島(ながしま)でも、何かありそうだな?」


 太郎達は事件の顛末を佐津藩主に報告し、村の復興を頼んだ。


 謀反の用意をされた佐津藩主は改易物であるが、太郎が神君に取りなして救った。


 佐津藩主からの礼は気持ちだけと言って面倒を避け、隣国の長島へ来た太郎達。


 「カステラが心を癒してくれますわ♪」

 「そうだね~♪」

 「うん、美味い♪ お土産に買ってお供えしよう♪」


 大きな茶店のテーブル席で、早昼のカステラを食いながら羽を休める太郎達。


 力を貸してくれたロボット達に感謝せねばと太郎は考えた。


 ロボは神、ロボは家族、ただの武具にあらず命預ける友である。


 地元で受けた座学の言葉を思い出す。


 「どうしたんですの、太郎様?」

 「うん、何か考え事?」

 「ああ、ロボは家族って思ってた」


 姫と楓の言葉に答える太郎、こう言う平時だからこそ考える事ができる。


 「うん、愛せば家族で忌めば凶器だからね」

 「ですの、ロボは乗り手次第で神にも邪悪な妖魔にもりますの」

 「そう言えば、落ち武者退治したなあ」

 「妖魔になった悲しいロボ達を救うのも、私達のお役目だよ♪」

 「うん、ニチリンオー達や皆と頑張るよ」


 カステラを食いながら、気持ちを新たにする太郎だった。


 茶店を出て長島の街を見て回る太郎達。


 「港町だけど、壁や屋根が赤くて西の大陸の龍雅帝国(りゅうがていこく)龍縄(たつなわ)に近いな?」


 地球で言う、古代中国と沖縄相当の場所を思い浮かべて呟く太郎。


 「神社に似た感じは落ち着くね♪」

 「ええ、赤は良い色ですの♪」

 「楓姉さん、もしかしてこの街にも名物料理があるとか?」


 まさかと思いつつ太郎は楓に尋ねる。


 「良くぞ聞いてくれました♪ 南国は古来より龍雅との交易地点だよ♪」

 「つまり、龍麺などの龍雅料理(りゅうがりょうり)の影響を受けた者が多いと?」

 「なるほど、美味しそうですの♪」

 「丁度、斜め前にニチリンオーみたいに緑瓦のあのお店!」


 楓が通りにある一つの店を示す。


 「ああ、あの店が龍雅料理店だと?」


 太郎が得心した。


 「それでは、楓様のおすすめで腹ごしらえをいたしましょう♪」

 「姫、流石♪ ほら、若様も行こう♪」

 「二対一じゃ勝てないよ♪」


 太郎は楓にせがまれて、仲間達と麺と書かれた暖簾をくぐり店に入る。


 「あ~♪ にーにだ~♪」

 「おう、出くわしちまった」

 「にーに、久しぶり~♪」


 店内で出会ったのは先客として一人で、テーブルについていた少女。


 赤い空手着に黒帯、小麦色の肌に短い茶髪の愛らしい少女だ。


 「若様、あの子って?」

 「もしや、お身内の方ですの?」


 楓と山吹姫が勘付いた。


 「はとこだよ、ナンカイオーのパイロットだ」


 太郎が溜息を吐く。


 「皆で、一緒に食べようさ~♪」


 脳天気に相席を勧める少女に太郎達は応じる。


 「初めましての人がいるね、わんはクガニだよ~♪」

 「初めまして山吹と申しますの♪」

 「クガニちゃんは久しぶりだね♪」

 「楓ねーねも、久しぶりさ~♪」

 「クガニ、飯食ったらお前のお供の所へ行くぞ?」


 太郎は奔放な性格のクガニに、振り回されるお供を憐れんだ。


 餃子や焼売、チンジャオロースなどの料理を皆で食べる。


 「クガニ様は、龍縄(たつなわ)の姫君でいらしたのですね?」

 「や~ちゃんは、太郎にーにのお嫁さんになるの?」

 「ええ、勿論ですわ♪」

 「良いな~♪ わんも、にーにのお嫁さんになりたい♪」

 「若様、モテるねえ♪」

「私、クガニ様なら側室にお迎えしたいですの♪」

 「そう言う話は、色々と保留で」


 山吹姫の側室発言については、太郎はスルーした。


 太郎的には、クガニは妹扱いで嫁は山吹姫だけで良いので。


 食事を終えて支払いを済ませて店を出て皆で港へと向かう。


 「お、お船とロボが一体化してますの!」

 「これが、海の守り手ナンカイオーかあ♪」

 「うん♪ これがわんのナンカイオーだよ♪」

 「相変わらず壮観だな」


 太郎達が港で見たのは、停泊中の下半身が船状の真紅のスーパーロボットだった。


 船首には金の龍の頭、ロボの胴体は神社に似た造りの城を模している。


 ロボが頭部に被るのは金の獅子頭の兜、天下制海(てんかせいかい)ナンカイオーだ。


 「凄いですが、地上戦や空戦は可能なのでしょうか?」


 呆気にとられつつも、山吹姫はナンカイオーの事を質問する。


 「うん、できるよ~♪」

 「ああ、船尾が足になるんだ船首は肩アーマーだよな?」

 「いつぞやの海賊船ロボみたいですのね?」

 「海賊退治ならお任せさ~♪」


 クガニが肯定し、太郎が補足する。


 「ク~ちゃん、何処に行ってたさ~?」


 ナンカイオーの甲板から、赤い空手着を着た褐色肌に赤髪の美少女が叫ぶ。


 「あ~~♪ ティ~ちゃん、ただいま~♪ 太郎にーに達を連れて来た~♪」


 港から甲板の美少女へ手を振るクガニ。


 ナンカイオーの甲板から美少女がジャンプで港へとやって来る。


 「太郎様、お久しぶり~♪ ティーダだよ、覚えてる?」


 ティーダと名乗った赤毛の美少女が挨拶する。


 「覚えてるよ、久しぶり」


 太郎もティーダに挨拶を返す。


 「それじゃあ、皆をナンカイオーにお招きするさ~♪」

 

 クガニが両手を打つと、ナンカイオーの船体が開きボートが搬出されて来た。


 太郎達はやって来たボートに乗り、ナンカイオーへ乗船する。


 「ようこそ、ナンカイオーへ♪ 歓迎するさ~♪」


 太郎達が甲板に上がるとクガニが改めて告げる。


 「いや、良いのか? 一応俺達はライバルだろうに?」

 「なんくるないさ~♪ お招きしたからには宴さ~♪」


 太郎の質問にクガニが答えて、手を叩く。


 すると、艦橋でもあるナンカイオーの胴体の城門部分が開いた。


 環境の中から黄色いシーサーの式神達が、テーブルやら菓子やらを太郎達の下へと運ぶ。


 「まあ、可愛らしい式神ですの♪」

 「シーサーだっけ? 初めて見たよ♪」

 「送り届けに来ただけだが、悪いな」


 シーサー達が甲板で茶会支度をテキパキと行う。


 太郎達は、あっという間に茶会の席に着かされた。


 「龍縄のお菓子、サーターアンダギーだよ~♪」

 「お芋のケーキもあるから~♪」


 クガニとティーダに歓待される太郎達。


 「何か、葵の時とは違うね♪」

 「ですの、葵様には勝負を挑まれましたのに?」


 楓と山吹姫は不思議に思う。


 「わんは、太郎にーにが国王に向いてると思う」

 「私達は修行の旅、ナンカイオーで人助けして龍縄を好きになってもらいたい」


 太郎に自分達の想いを伝えるクガニ達。


 「若様、望まれてるね♪」

 「人望があるのは良い事ですの♪」

 「ああ、じゃあ同盟締結だな」

 「うん、わん達はにーにの味方になるよ♪」


 太郎とクガニが握手する。


 二人の間に共闘体制が結ばれた時、太郎の腰にコダイオーブレードが顕現した。


 「ち、異界獣が出るのか!」

 「沖の方の空に、雲が渦巻いてるよ!」

 「クガニ様、私達を戦場迄案内して下さいませ!」


 異界獣の出現に備える太郎達。


 「うん、あれは悪いものだね! ティーダ、出航して!」

 「任せるさ~♪」


 ティーダが艦橋へと戻ると、ナンカイオーが沖へと動き出した。


 「良し、俺達も一気に出陣だ!」

 「お任せですの♪」

 「頑張るよ♪」


 太郎達も機体を全て召喚し、カルテットニチリンオーへと合体させ牽引ビームで乗り込む。


 クガニも艦橋へと走って戻り、玉座風のシートに座るとシートが沈む。


 「ナンカイオー、スタンドファイトさ~っ!」


 シートが沈んだ先は球体コックピット。


 クガニが立てば、獅子頭のヘッドギアやマニピュレーターが出現し彼女に装着される。


 ナンカイオーも船首と船尾が伸び変形する。


 船首と船尾が左右に別れ、艦橋を中心に折り曲がり立ち上がりスライド。


 船尾が両足になり船首が肩アーマーとなり、真紅の巨人ナンカイオーが立ち上がる。


 「クガニ、格闘戦は任せたさ~♪」

 「ティーダは、火器管制をお任せさ~♪」


 ブリッジのティーダと、コックピットのクガニが通信でやり取りする。


 「天下制海ナンカイオー、抜錨さ~っ♪」


 「天下成敗カルテットニチリンオー、見参っ!」


 二体のスーパーロボットが並び立ち、天から落ちて来た異界獣に立ち向かう。


 「敵はでかいタコか?」

 「食べたくはないな~?」

 「同感ですの」


 巨大な灰色のタコの怪物がニチリンオー達へと触手を振るう!


 「アカベコシールド!」


 ニチリンオーは牛頭の盾で攻撃を受け止める。


 「ナンカイオー、波乗りキックさ~っ!」


 ナンカイオーが敵のサイドに回り、海の上を滑走して飛び蹴り!


 「こちらも負けてられんな、コダイオーブレード!」


 ニチリンオーも敵の触手を押し返しコダイオーブレードで触手を切断する。


 悶え苦しむ異界獣、今が好機だとナンカイオーが決め技の体勢に入る。


 「行くさ~っ! オーシャンストリ~~ムッ!」


 ナンカイオー側のサブパイロット。


 飛び道具担当のティーダが、ブリッジのコンソロールを操作する。


 ナンカイオーの肩鎧の龍頭が口を開け、竜巻と共に水流を敵に放つ。


 「良し、こちらも合わせるぞっ! 金環日食崩し!」


 カルテットニチリンオーがナンカイオーに合わせるように技を出す。


 「続けて必殺、激流正拳突きさ~っ!」


 ナンカイオーの水流が敵を打ち上げ、ニチリンオー放った金環が敵を空に張り付ける。


 ナンカイオーが水流を噴き上げアッパーカット!


 ニチリンオーが飛翔して切り下ろしを、交差するように放ち二体で敵を撃破する。


 二体の合体技、激流金環崩しが見事に決まった。


 敵は爆散して消滅し、二体のスーパーロボットは勝利の握手を交わした。


 戦いを終えて港に戻って来た太郎達。


 「それじゃあ、またしばらくお別れだね♪」

 「ああ、俺は南下して龍縄まで言ったらまた北へだ」

 「龍縄は良い所だから楽しんで、わん達は東から北へ行くさ~♪」

 「ああ、お互い頑張ろうな♪」

 「うん、でも同盟結んだから呼んだら助けに来て欲しいさ~♪」

 「ああ、俺は身内を見捨てない」


 候補者同士、一時の別れの挨拶を交わす太郎とクガニ。


 次に会うのはいつの日か?


 クガニ達は北に、太郎達は南にとそれぞれの人助け世直し旅は進む。

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