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第4話

 少しすると先頭を歩いていた天馬さんがいち早く次の敵の接近を察知した。


「すぐもう1体来るから正義くんがやってみる?」


「おう!やってみるぜ。なんかあったら助けてくれよ。」


 また正面から走ってくるゴーレムに対して今度は正義が拳を構えて、全身に力を入れる。

 普段の正義は目上に対しても敬語をあまり使わない。そのため男気が強い人間にも見える。だけど家の中や門下生の前ではピシッと装束を身にまとい敬語を使い人と接している。このメンバーの中では1番のギャップが強い人物と言えるかもしれない。


「陰陽術式展開。『白虎』 急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう!ゴーレムを倒せ!」


 正義の掛け声と共に五芒星の魔法陣が展開され、そこから虎が顕現した。その全身は真白の毛で包まれている。吸い込まれそうな瞳と普通の虎より大きな体、そして鋭い爪を持っていた。ゴーレムの振りかぶる右腕を白虎はなんなく噛み砕く。


「ナイス白虎!『霊圧』!」


 白虎に右腕を砕かれて怯んだゴーレムに正義が追撃をする。透明無臭の圧力がゴーレムを襲う。すると硬いはずのゴーレムが潰れ崩れ去る。本来は()()はずのゴーレムが()()()()のだ。


「正義くんのスキルは万能なのに火力も高いから羨ましいよ。式神を使うことができ、霊力までも正確に操る天才能力保持者、最近では結構有名だしね。」


「天馬さんのスキルも十分に強えじゃん。『身体強化』が体の硬さや運動能力を上げるってのに、天馬さんのは運動能力だけじゃなくて視力や聴力、挙句には治癒力まで上がるすぐれもんじゃんか。」


「まぁでもやっぱり魔法とかに憧れるよ。春くん、正義くんも大丈夫そうだしもう少し下の階層に行くかい?」


「はい、そうしましょうか。いつも通り僕は戦力にならないので気にせず進んでください。あっ、ありがとう白虎。」


 そう言いつつ僕は白虎が咥えてきた魔石を受け取り異空間収納にしまう。

 正義はスキル『陰陽師』があるおかげでスキルと同じく陰陽師という職業についている。スキルでは式神が基本だけど職業に着いているおかげで『霊圧』や他のことが出来たり通常詠唱を一部省くことが出来る。


 僕も一応ポーターにという職業についているしね。その人の今までの行動で表示される職業は変わるし、その内容は千差万別。それに持っているスキルまでもが影響する。


 ただし、人類には選べる初期二職と呼ばれるものがある。剣士と魔術師の2つだ。剣士は鉄の剣、魔術師は魔術書がそれぞれギルドから貰える。皆なれる分この2つの職業について出来るとこが多く解き明かされている。


 例えば、剣士v30までになると上級職の上級剣士になれるし、職業には身体機能の上昇やアーツなどが使えるようになる。例えば剣士だと『スラッシュ』などがある。


 他にも、魔術師は上級職の魔法士になれる。魔術師と魔法士の大きな違いとして、魔術師は魔術書に書いてある魔法陣を覚えてそれを思い浮かべなければ魔術が使えない。だけど魔法士は頭に思い浮かぶ詠唱を唱えるだけでいいらしい。


 ちなみに一度その職に就いたら他の系統に転職できないと思うかもしれないけど、職業がレベル10になると他の職にもつけるんだ。


 だからスキルが先天性に授かった才能なら、職業はその逆で後天性に授かる努力と言えるだろう。



========


 僕たちが10層に着くとやはりモンスターが上層に比べて格段に増え、逆に他の探索者がまばらになってきた。それに下層に行くほど一つ一つの1層ごとの広さも広くなっていく。


 10層に着きすぐにゴーレムが襲ってくる。


「正義くん!右1体、左2体、正面3体だ!左2体頼む!」


「おう!行くぞ白虎!『霊圧』」


 白虎が正義の脇を走り抜きゴーレムの体を押し倒して、追い打ちをかけるように正義が霊圧で押しつぶす。それに応戦したもう1体のゴーレムが殴りかかってくるが白虎に呆気なく倒される。

 正義が振り向くと天馬の方は既に終わっていて綺麗に三体とも全て一撃で倒されていた。


「2人ともそろそろ次の中級ダンジョンに行かないんですか?」


「あぁ、俺は今日で3回目だからな、まだ中級は早い気がするんだ。」


「僕はそもそもあまり器用じゃないからね。ここの方がやりやすい。何より中級からは罠が出てくるからね。」


 ダンジョンの罠はベテランの探索者だったとしても注意不足で死んでしまうこともある。天馬さんが恐れるのも納得できる気がする。


 あれ?何かがおかしいような気がする。魔石を集めている時にいつもならゴーレムが襲ってきていてもおかしくないはずなんだ。


「天馬さ「待って春くん、正義くん、微かに奥から声が聞こえてくる。何かあったみたいだ。」」


 耳をすまして見ると奥から人の声が聞こえてきた、それもすごいスピードで近付いているのだろう。


「どうします?」


「とりあえず一旦待とう。トラブルかもしれない。」

 メンバーに緊張が走る。


微かだった声がハッキリ聞こえるくらいになってきた。そして、その姿も......。


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