街のこと
「と、ご希望の場所の案内はここで最後でしたが他に何か行きたい場所はありますでしょうか?」
レンさん(レンでいいと言われたが依頼主を呼び捨てには出来ないためさん付けにした)のご希望は街の流行りが知りたいとのことだったから流行っている場所を案内した。
特に何か買うとかではなく、見て回るだけだったけど…。
お目当てのものが見つからないとかだったら他の店も案内したほうがいいかな?と少し不安になる。
「そうだな…じゃあ、流行りじゃなくておすすめの場所を教えてくれるか?」
「おすすめの場所…ですか」
少し考えて私は一番お気に入りの場所へレンさんを案内した。
「ここです!レンさん」
海が好きな私は海を見るのが好き。
だけど海辺の展望台は人気だからあんまりゆっくり海は見れない。
そんな時に見つけた展望台とは逆方向へ進むと小さな崖があり、木も生えている為人がいるところを見たことがない。
だけどーーー。
木を抜けて進むと海が見える景色がそこにある。
しかも今の時間は丁度…。
「レンさん!見てください!夕日です!」
海に沈む夕日の素晴らしい景色。
ここが一番の私のお気に入りだ。
あ、何か買いたいものがあったとかだったら景色は違ったかもしれない…。
チラリとレンさんを見るとふっと口角が上がっている口元が見えた。
嫌ではなかった…かな?
「お前は…ルシアと言ったか」
「はい、ルシアです」
「ルシアは何故ここが気に入っているんだ?」
「私は海が好きなので、だけど展望台は人が多くてゆっくりできないので、そんな時にここを見つけて…
嬉しい時とか寂しい時とか、何かあった時にここに来るんです」
にっこりと微笑んで答えるとレンさんはそうか、とだけ答え夕日を見つめた。
不思議に人だな…案内を頼んでくる割には説明とかは求めて来ないし流行りの所ご所望しているのに何も買わないし…マントも一度だってとったりしない。
まあ、人には知られたくない事あるよね。
「ルシアはこの国が好きか?」
この国…日本とは全然違う、貴族社会で平民は学校に通うことすらできない…正直辛い事はたくさんある…だけど…。
「だいすきです!」
迷うことはない、だって私はこの国で16才まで生きて、国の中では小さい街だけどみんな優しくて困ったことがあれば助け合いとても暖かい所だ。
「お前みたいな平民は学校すら行けず好きなこともできないのにか?」
「うーん、知ってますか?この国よりももっと平等で暮らせる国があるんです。その国では貴族じゃなくても学校には通えるし働くのだって困らないしその日暮らしだなんて事もないんです。
でけど私は、その国には行きたいとは思いません。
だってこの国は私が生まれ育ち、苦しいこともあるけど毎日が楽しんです」