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雪だるまの恩返し

え??俺と嫁との出会い??うーん話してもいいけどな……信じてもらえるか……まぁ、お前とは長い付き合いだ、良いぜ、教えてやるよ

あれは、5年前のちょうど7月くらいだったな。いつも通り仕事行く為に支度して家から出たらギョッとしたよ。

なんせ目の前に小さな雪だるまが融けかかった状態で置いて有ってさぁ…

最初はいたずらかと思ったけど、時期は真夏。

そもそも雪も降ってないのにどこの誰が雪だるまを作れるだろう?と思ってな。気味の悪さを感じたもんさ。

しかもその雪だるま、不可解なことに頭のところにピンク色のヘアピンが張り付いてたんだよ。

それで俺は不気味だしほっておこうと思ったんだけど、何故だかその時、その雪だるまに愛着が湧いちゃってさ。

それで溶かすのも忍びなくて急いで家の冷蔵庫の冷凍室に入れてそのまま仕事に出かけたんだよな。

んで、仕事終わって9時くらいに家に着いて鍵を開けようとしてら内側から鍵をガチャリと開ける音がして……

あの時ほど、肝が冷えた事は無かったな……

そんで俺が硬直してると中から着物姿のめっちゃくちゃに美人な女が出てきて……俺は茫然とその姿を見てると女がにっこりと笑って「おかえりなさいませ」って言ってきたんだよ。

俺はパニック状態になってたけど何とか落ち着けて女に向かって「貴女は誰ですか?不法侵入ですよね?警察呼びますよ!!」って言ったら女は凄く驚いた顔をして泣きそうな顔をして

「覚えておりませんか?」って聞いてくんだよ。で、俺は何言ってるかさっぱり分からない訳。

そしたら女が「朝、助けていただいた雪だるまです!」って言うんだよ。俺は思わず「はぁ?」って言ったら証拠を見せますって言って、

自分の手のひらに軽く息を吹きかけたんだ。そしたらびっくりだよ、そいつの手のひらに朝の雪だるまそっくりなものが現れたんだ。

女はそれを見せて得意そうな顔をしてさ、俺はその姿を何も言えず見つめて……そんで少し余裕が出来て女の全体図を軽く見てみたんだよ。

白くて透き通った肌に美しく長い銀髪。よく見るとその髪にピンクのヘアピンが付いてたんだ。それを見て、確信したよ。

確かにこいつは今朝の雪だるまだってね。

それから、そいつが冬場に実家であった北海道の雪山が嫌で逃げてきて、それから旅をずっとして、俺の住む東京に着いたのが6月後半。

行く当てもなくぶらぶらとここら辺を彷徨ってたら7月になってあまりの暑さに溶け出して、俺の家の前で省電力モード(彼女はそう言ってたが)である雪だるまになってたんだと。

死を覚悟してたらたまたま俺が冷蔵庫に入れてくれたから助かったらしくて恩返しがしたいって言って聞かないんだ

それでいつの間にか飯とかいろいろ日常のことをやってもらってるうちに俺の方が彼女を好きになっちゃってさ。

それで去年、お前も招待して結婚式をしたってわけさ。

どうだ?どうにも信じがたい話だろ??……うん??雪だるまと暮らしてて大変な事か??

そうだな……夏場は彼女の体温がかなり低いから部屋も涼しくて快適なんだけど、冬場はストーブもクーラーも使えないところだな。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 雪だるまの恩返し、とても素敵な作品でした! ストーリーを読んだ後タイトルを見て、ピッタリのタイトルだなと思いました!文章の終わり方もセンスがあって落とし方が最高でした!!素敵な短編小説あり…
[良い点] ほっこりしました(*´ω`*) 冬場が少し大変なのもまた一興。 幸せそうで良かったです
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