プロローグ
プロローグ
普通ではありえない出来事が起きた時、人はそれを「奇跡」と呼びます。
例えば、「勉強は大嫌いなのに、テストで全教科満点を取った」これは奇跡です。
また、「鉄棒は大の苦手。でも、くるりと逆上がりができた」これも奇跡だと言ってよいでしょう。
ただし、「家で宿題をしていたら、頭に鳥のフンが落ちてきた」こちらも一応奇跡ではあるのですが、それが起きても実際には、「おお、奇跡だ!」などとは言いません。
つまり、奇跡は、普通ではありえない出来事の中でも、一般的に、よいことが起きた時にだけ使う言葉なのです。
貴方は、これまでに奇跡を感じたことがありますか?
……え? 「滅多に起きないのだから、そんなもの感じたことあるわけがない」って?
確かに、奇跡は、ただ待っているだけではなかなか起きてはくれないものです。
しかしながら、奇跡には起きるのを待つ以外にも方法がありまして、それは、起こす、です。
そう。奇跡は、自分の力で起こすことができるのです。
貴方が奇跡を起こす時、それは、貴方にとって夢のような素晴らしい出来事が舞い降りた瞬間です。
想像してみてください。人生における大切な場面で、奇跡を起こす自分自身の姿を。
今、貴方は、どんな奇跡を思い描きましたか?
勉強ですか? スポーツですか? それとも、恋愛でしょうか?
なるほど、分かりました。
では、こうして出会ったのも何かの縁です。貴方に、“奇跡の起こし方”を教えて差し上げましょう。
とはいえ、普通ではありえない出来事が奇跡なのですから、それを普通に教えてしまっては面白くありません。ここはひとつ趣向を凝らしてみることにしましょう。
これから貴方には、あるひとつの物語をご覧いただきます。小学五年生の子供たちが、自らの力で奇跡を起こす。そのような内容となっております。
そのため、私が先ほど約束しました“奇跡の起こし方”についても、その物語を通して知ることができるようになっています。
それでは、小川小学校五年一組の子供たちが織りなす奇跡をどうぞ最後までお楽しみください。
……あ、申し遅れましたが、私の名前は、庵神。今回の物語に登場する子供たちの担任です。