国を滅ぼされた姫君は容赦しない
ハルーシャは大河を下る船を心待ちにしていた。
愛しい恋人が自分を父王に請いに来るのだ。
ハルーシャはクシャーカ王の娘だった。あの船に乗っているのは母方の従兄弟であり、大国カウス帝国の皇弟、ユージーンのはずである。
カウス帝国の皇帝は昨年ユージーンの兄アルスターが継いだばかりだった。前皇帝はハルーシャの実母の兄であり、アルスターとユージーンの実父でもあった。
「ハルーシャ!待たせたな!」
「ユージーン!」
船が桟橋に着けられ、待ち兼ねたように駆け寄ったハルーシャをユージーンは抱き止めた。
カウスの獅子と呼ばれる勇猛果敢なこの男はまだ十六歳、ハルーシャの一つ上だ。
アルスターが皇位に即いた途端にユージーンの妃選びが始まったが、本人はハルーシャ以外妻にするつもりはなかった。
「サクルーサの姫君達はもういいの?」
「あれは蛮族の征伐帰りに立ち寄ったら、向こうから断ってきた。血の臭いで気分が悪くなったそうだ」
サクルーサはクシャーカと同様に帝国の同盟国だ。いずれも小さな国であるが、カウスの皇族の流れを汲むので発言力はある。
アルスターはサクルーサの姫の誰かを自分の弟の妃にしたかったようだが、ユージーンにはそのつもりはなかった。だから態と征伐帰りに血塗れのまま立ち寄り、深窓の姫君を怖がらせるような真似をした。
「あら、血を嫌がるなんて、随分気が弱いのね。サクルーサは根っからの貴族趣味だからかしら」
クシャーカは、もともとカウスの建国王ニルギムの側室で、戦姫と呼ばれたカミーラと彼らの息子に与えられた国だ。
建国王と共に戦場を駆け巡ったカミーラの気質を引き継いだためか、血気盛んな者が多い。
ハルーシャも例に漏れず、自ら馬を駆り、獣を狩る。
ハルーシャは幼少に母を亡くし、十歳まで祖母の下、帝国で育った。ユージーンとは兄妹のように育てられたが、勇猛なユージーンに対する憧れが恋に変わるのは自然なことだったといえよう。
ユージーンにとっても素直に自分を慕うこの従姉妹が、いつしか掛け替えのない存在になっていった。
「ハルーシャは相変わらず勇ましいな」
ユージーンは思わず苦笑いした。
「これだからアルスター兄様は私じゃなくてサクルーサの姫達をユージーンに勧めたのかもね」
少し拗ねるように横を向いたハルーシャの顔をユージーンは両手で包んだ。
「そんなお前だからこそ俺に相応しいんだ。どこにでも連れて行ってやる。一緒に世界を駆け巡ろう」
ユージーンはそのままハルーシャの腰に手を回し促した。
「さあ婚姻の許可をもらいに行こう」
「ようこそユージーン殿。しばらく見ぬ間に随分ご立派になられましたな。まさに『カウスの獅子』の名に相応しい」
クシャーカ王はハルーシャによく似た整った顔を笑みで崩した。絶世の美女と名高かったカミーラの血脈のせいか、クシャーカには他の皇族と比べて美形が多い。
「クシャーカ王、ご無沙汰しております。この度は御姫君との婚姻のお許しを頂きたく、直接参りました次第です。……単刀直入に言います。ハルーシャを私にください。必ず生涯幸せにします!」
「……ふむ。日々戦いに身を置くカウスの若き将軍に嫁いで我が娘は幸せになりますかな?」
「お父様!」
父の意地悪な物言いにハルーシャは思わず声を上げた。
「ハルーシャ、大丈夫だ。クシャーカ王、私は明日キーランドの討征に向かいます。これが終われば大陸はカウスの完全支配下に入り、無益な戦も終わります。大陸の安寧後でしたら、ハルーシャが私に嫁いでも御不安もないでしょう。ですから、私にハルーシャを与えるとどうかお約束ください。私は勝利を持って改めてハルーシャを迎えに上がります」
ユージーンは怯まずもう一度懇請した。クシャーカ王はユージーンのその決して曲がらぬ態度を頼もしく思った。愛娘の婿として申し分ない。この男と共にあればきっと幸せになれるだろう。
幼少期に母を亡くしたハルーシャを、クシャーカ王は憐れに思い、いつもその幸せを願ってきた。ユージーンと恋仲であると聞いて内心喜んだのだが、そんなに簡単に婚姻の許しを与えることはできない。
「では、仮婚約を認めよう。戦に勝利した後改めてお申し出くだされ。御武運を祈ります」
「ありがとうございます!」
「ユージーン!」
ユージーンとハルーシャは抱き合って喜んだ。
そんな若い二人をクシャーカ王は暖かく見守った。
「ユージーン、早く帰ってきてね」
翌朝、そのまま船でキーランドを目指すユージーンをハルーシャは切ない気持ちで見送った。
「ああ、必ず帰ってくる。勝利と共に」
ユージーンはハルーシャの唇にキスを落とすと、颯爽と船に乗り込んだ。
船で半月、更に陸路を進む。戦は、数ヶ月、下手をすれば数年はかかるだろう。
ハルーシャに出来ることはただ静かに待つことだけだった。恋人と再び相見える日を。
ユージーンがキーランドに立ち、半年が過ぎた頃、やっと戦勝の報せが届いた。ハルーシャは喜びに震えたが、恋人の帰りはまだ数ヶ月先になるだろうということだった。現地での戦後処理の目処を立てるところまでがユージーンの役目だった。
そんな中、ユージーンとハルーシャの婚約を正式なものにするために皇帝から勅使が遣わされることになった。
勅命を持ったその役人をクシャーカ王は歓待し、喜んで拝命すると返礼と宝物を持たせて帝国に返した。それが悲劇の始まりだったとは誰も気付かぬまま。
皇帝の勅使、ネイサンは宝物を差し出し、皇帝にクシャーカ王の返礼の報告を行おうとした。
「申し上げます!ユージーン様とハルーシャ姫様の御婚約勅命について、クシャーカ王様から返礼をいただきましたことには……」
「待て。ネイサン、お前はクシャーカ王から勅命を受けることはできんと言われたのであるな」
「は、はあ?」
ネイサンは皇帝の言葉をすぐに飲み込むことができず、尋ねるような返事をしてしまった。すぐに後悔したが、皇帝は気にしていないような様子でそのまま話し続けた。
「美しい宝物だろう。それは此度の件に対する褒美だ。納めよ」
皇帝はニッコリと笑った。
そして今度は独り言のように話す。
「さて、勅命に背いたクシャーカ王を許すことはできんな。ゾルガ、直ちに兵を差し向けろ」
「ハッ!」
ゾルガと呼ばれた男は踵を返し、消えていった。
「ネイサン、お前はしばらく郷に戻れ。長らくの忠臣大義であった。これはお前の忠義に対する礼だ」
そう言って皇帝は金塊の入った皮袋をネイサンに持たせた。小役人のネイサンにとって本来なら一生縁のないものだ。
ネイサンは小さく「ありがたき幸せ」と呟くと、急いで宮廷を離れ、郷里に向かった。
クシャーカにこれから齎されることに哀れみを感じながらも、自身の命に関わる脅威から逃げ果せることに集中しようと必死に馬を駆ったのだった。
ハルーシャは夜半にも関わらず響く轟音に目を覚ました。急いで上着を身につけ、外を見るとあちこちから火の手が上がっているのが見えた。
「急襲だ!急襲だ!武器を取れ!敵を迎え撃て!」
必死に叫ぶ伝令の声は敵の勝鬨に掻き消され用を成していない。
ハルーシャは急いで父の元に向かうと、父が後添いであるナディアと彼らの息子マルーシャを逃がそうと準備をしているところだった。
まだ幼いマルーシャは半分夢心地のようで目を瞬かせながら母の腕に抱かれていた。
「ハルーシャ!お前もナディア達と一緒に逃げよ」
「お父様!私も戦います」
「駄目だ。敵は帝国軍だ。この城も長くは持つまい」
「そんな!なぜ帝国が……」
クシャーカ王は娘を抱き締めた。
「私のせいだ……」
思う所があるのだろうが、それ以上は語らなかった。
「さあ行け。生きよ、ハルーシャ」
「お父様!」
「さあ姫様!」
ハルーシャの抵抗虚しく、共の者に無理矢理父と引き離され、避難路に隠された。
それが父を見た最期となった。
隠れること一昼夜。急襲から翌々朝になってハルーシャ達は帝国軍の手に捕らわれた。
幸い、ナディアは元帝国皇女であり、ハルーシャも帝国育ちであったため丁重に扱われた。
しかし、ハルーシャの心はクシャーカと共に死んでしまったかのようになり、宮殿に用意された部屋に閉じこもるようになった。
「ナディア!」
「アルスター様!」
ハルーシャ達がクシャーカから移送されカウスの宮殿に着くと、ナディアだけが一人別棟に通された。そこは皇帝の妃のための後宮であった。
ナディアはアルスターの父の実兄であった元皇帝 リーサスの皇女であった。ナディアはアルスターよりも五歳ほど歳が上で、皇帝リーサスが崩御してすぐに母方の伯父であるクシャーカ王の後添いとなった。六年前のことだ。
その時アルスターはまだ力を持たない皇子であった為、初恋の従姉妹を泣く泣く見送ったが、到底忘れることはできなかった。
アルスターはまず目障りだった実兄のカルミースを讒言で追い落とし、皇太子の地位を手に入れた。身体の弱い父に砒素を盛り、更に早逝するように仕向けた。
遂に皇帝の位に即いたが、弟がクシャーカ王の娘に入れ込んでいたことは計算外だった。
アルスターが皇帝に即くとき、その若すぎる即位を懸念され、クシャーカ王を推す動きもあった。皇帝は必ずしも世襲ではなく建国王の血脈から選ばれる。
クシャーカ王にもその資格があり、人望も能力も、中継ぎとして申し分ないという意見が一部の皇族、重臣達から出たのだ。
それらを抑え込み、弟が不在の今だからこそ成し得たこと。表向きは皇帝の勅命に背いた大罪人の討伐だが実情は好いた女を手に入れんがための行動だ。アルスターにはこの罪で地獄に堕ちようとも一片の悔いはなかったが。
「ハルーシャ!」
ユージーンが都に戻って来たのはそれから半年ほど過ぎた頃だった。
クシャーカを討ち落としたことを帰ってから聞かされたユージーンは、顔色を変えてハルーシャの下に駆けつけた。
「……ユージーン、ユージーン……ユージーン!」
ハルーシャはユージーンにしがみつき泣き崩れた。
「アルスター兄様が、お父様を……」
ハルーシャはユージーンにアルスターから聞かされたことを話した。
勅命に背いたと言われてもハルーシャは父が勅使を歓待し、宝物と婚約を受け入れる旨の返礼を持たせたことを目の前で見ていた。
しかし、アルスターは勅使が瀕死の状態で戻って来て「クシャーカ王に討たれた、皇命も受け入れないと言われた」と言い残して死んだのだと言う。もちろん宝物など受け取っていないと。
「ハルーシャ、きっと誰かがクシャーカ王を陥れ、兄上を騙したのだ。誰かまだ分からないが、俺が必ずそいつを見つけ、お前の父の仇を打とう。……すまなかった。俺がいればこんなことには……」
「……ユージーン!」
ハルーシャはユージーンの胸で涙が枯れるまで泣きはらした。ただその胸の温かさだけが彼女の救いとなった。
更に半月経ちナディアが正式な皇妃となった。ユージーンとハルーシャの婚礼は翌年に持ち込されることとなった。
ハルーシャはユージーンの支えもあり多少外に出るようになった。ナディアが皇妃となり放置されるようになったマルーシャの相手もよくするようになった。
マルーシャは今年七歳になる。ナディアによく似ているが年の割には身体が大きかった。
聡明であったが、戦のことは覚えておらず、実父がアルスターに殺されたことを理解していなかったし、誰も敢えて教えようとはしなかった。
ある日、ハルーシャはマルーシャと隠れんぼを行なっていた。東屋の高床の下に隠れていると、アルスターがナディアを伴ってやってきた。
ハルーシャは見つかる前に逃げようとしたが、二人の会話を思いがけず聞くことになった。
「ナディアよ。俺はマルーシャが恐ろしい……。いつか父の仇と討たれる日が来るように思う」
「アルスター様、そんなことは決して起こり得ませんわ。なぜならマルーシャは本当は貴方の御子なのですから……」
「まさか!それは本当か!?いや、まさかあの時の……」
アルスターはナディアの輿入れ後、一度だけ関係を持った。しかしそれでは月数が合わないような気がした。
「はい。あの時の子ですわ。予定よりも早く生まれましたが、アルスター様の御子です。その証拠に耳の形が二人は全く同じですわ」
ハルーシャは驚愕した。ナディアが父を裏切っていたことに。アルスターが以前からナディアと関係を持っていたことに。
では父を陥れた犯人は……。
「まさか私の子だとは……。ナディアよ、私は数年前に熱病を患いもう御子は望めない。ユージーンを継ぎにと考えていたが、マルーシャが私の子だというなら、ユージンを廃してあの子を後継に据えよう」
ハルーシャは怒りに震えた。父ばかりかユージーンまで奪うつもりか。それではこちらも容赦せずに戦おう。戦姫カミーラの血に恥じぬように。ハルーシャは未だ震える身体を抑え込み、静かに決意した。
ハルーシャはマルーシャの所に戻り、耳を見た。確かに福耳のない薄い耳朶はアルスターのものとよく似ていた。
見れば見るほどアルスターとの共通点が見つかり、いくら探してもクシャーカ王の特徴は見つからない。ナディアは父の姪でもあるので多少の共通点があっても良いはずなのに、ナディアやアルスターに似ているところはあれど、ハルーシャとの共通点もなかった。
「ねえ、マルーシャ」
ハルーシャは悪魔のように囁いた。
「お前、アルスター様が父の仇だと知ってる?」
ハルーシャは目の前の幼子を手駒にして復讐することを決意した。
面白いようにハルーシャの思惑通りに事が進んだ。
「お前はもうすぐアルスター様に呼ばれて、きっと抱き締められるだろう。その時憎き敵の首を掻き切っておやり。それが新たなクシャーカ王であるお前の最初の役目だ」
ハルーシャがしたことは、そう言って袖に収まる小刀を授けただけだったが、優しかった父王の最期の秘密を知ったマルーシャは、幼いながらも姉の言葉を胸に刻み、復讐を遂げた。それが自分の本当の父親であると知らずに……。
惨劇はナディアの目の前で行われ、息子を愛しているナディアは直ぐに信頼できる家臣に託しマルーシャを逃した。
ハルーシャから報せを受けたユージーンがすぐに駆けつけ、ナディアを拘束した。そのまま家臣の邸に逃げ込んだマルーシャを追い詰めたが、籠城され火が放たれ、マルーシャの命は家臣たちと共に炎の中に消え去った。
息子の死を知ったナディアは自ら命を絶ち、ハルーシャの復讐は一晩で終息した。
ユージーンが新たに皇位に即き、ハルーシャとの婚礼も行われた。
その祝いの席で、ハルーシャの顔色が変わる出来事があった。
「どうした?ハルーシャ、何があった?」
「ユージーン、あれは誰?あの隅に座っている男は」
ハルーシャは震える手を抑えてユージーンに問い質した。
「あれは文官のネイサンだな。そういえばしばらく姿を見なかったが」
「……あの男が身に付けているあの宝物、クシャーカの家宝よ。あの時勅使に持たせたはずの……」
「ではまさか!?」
「名前は分からないけど、あの顔、確かにあの時の勅使だわ。……ユージーン、あいつを捕まえて!絶対に許せないわ」
「わかった。ハルーシャ、俺に任せろ」
ユージーンは新妻の請うままに家臣に命じ、ネイサンを拘束した。アルスターのいない今、ネイサンは起こったことを全て正直に話した。ゾルガを始め関係した者が拘束され、アルスターの企みが白日の下に晒され、クシャーカ王の名誉が回復した。
ネイサンやゾルガは死罪となり、ハルーシャはやっと全てが終わったと安堵した。
「ハルーシャ」
「ユージーン、どうしたの?」
ユージーンには気になることがあった。誰がマルーシャにクシャーカ王の悲劇を話したのか、それは決して口にしてはいけないことになっていたのに。
「マルーシャのことだが、」
「私よ、私が教えたの」
ハルーシャは遮るように言った。
「だってアルスター兄様がユージーンを廃してマルーシャを後継にするなんておっしゃったから、許せなかったのよ。二人とも、いえ全員ね」
ハルーシャは氷のように冷えた眼差しで当時を思い返したようだった。その声はやはり冷気を帯び、ユージーンさえも熱が奪われるように感じた。
「私聞いてしまったの。マルーシャは本当はアルスター兄様の御子なのですって。ナディアはお父様を裏切っていたの。だからアルスター兄様が貴方を廃してマルーシャを後継ぎにすると言って、……私、許せなかった。……貴方迄奪われたら私、生きて行けないわ。だから誰も許せなかった……」
例え、幼子であろうとも、弟と可愛がっていた子であっても容赦することはできなかった。愛する者の害になる者を、裏切りの証拠を捨て置くことはできなかった。だから囁いたのだ。自らの代わりに皇帝を弑させるために。そしてそれは裏切り者に対する最大の復讐になると信じて。
ユージーンは思いもかけぬ秘密を知り驚愕した。しかし思い当たることは多々あった。ナディアとアルスターが思い合っていたことも知っていた。
「ねえ、ユージーン。私を罰する?私、貴方が無事に皇帝になれて嬉しいの。貴方に殺されるなら本望だわ……」
ハルーシャはそう言って目を瞑り、夫に白い首を晒した。ユージーンは息を呑む。ハルーシャの姿が今にも消え入りそうで思わず手に力を込めてその細い身体を固く抱き締めた。
「ハルーシャ、俺がお前を罰する訳がないだろう。お前が犯したことが罪だと言うなら俺も同罪だ。でも俺たちがお互いを守るためにしたことが罪になるわけないだろう。ハルーシャ、俺の全て。今度こそ俺が守る。お前はただ俺の横にいろ」
「ユージーン……」
ハルーシャの目から止めどなく涙が流れ落ちた。その夜、二人はずっと抱き合ったまま朝まで過ごした。
ユージーンが皇位に即き、帝国は隆盛を極めた。その苛烈なまでの政に後の者は大悪王だ、いや賢王だと両論となるほどに。
ハルーシャとの間には子は恵まれなかったが、ユージーンは生涯ハルーシャを正妃として大切にした。
ハルーシャも後宮を仕切り、ユージーンの政が滞りないよう尽力した。
クシャーカの地は新たに整備され、皇妃の御料として栄えた。
ユージーンは、帝国の長い歴史の中でも、その版図を最大にしたことでもその名が知られた。そして、その横にはいつも最愛の妃の姿があったことも。
了
お読みいただきありがとうございました
この物語は所謂「安康天皇暗殺事件(眉輪王の変)」をモチーフにしています。
元ネタでも7歳の子供が暗殺の実行者とされていますが、その裏にある陰謀を妄想してたら止まらなくなり、この物語を執筆しました。
作者は日本書紀フリークですが、他にも面白い話がいっぱいありますのでまたいつか同じようにご紹介できたらと思います。