孤独なわたし
わたしは母も父も知らない。 わたしは一体誰なのか、一日中考えるときもあった。
ひとりが辛くて辛くて、心が痛かった。 自分は一体誰なんだろうかと。
ひとりだったので、何も教えられてこなかったわたしは、ただ黙々と工場で働くのである。
子供ながらわたしは、ひとりでご飯を作り、掃除をして、洗濯物を洗って干す。
学校は行きたくても、親が誰なのか分からないため、入学できなかった。
児童養護施設には入りたくなかったので、警察に見つかっては逃げての繰り返しだったが、コンビニの前で工場を管理している社長と出会った。
そこで仕事をもらい、工場で働いて、お金をもらい、ひとりで生活をしている。
社長は1日1回、定期的に工場を回っている。
その社長は、わたしが困っているのを見ると「どうした?」と声をかけてくれたり、逆にわたしが悪いことをすると「なんでそんなことをしたんだ?」と叱ってくれる。
ある日、わたしは工場の外に、おもちゃで子供たちが遊んで笑顔になっているのを見て、おもちゃを作りたいと思った。
しかし、そんなわたしにお金なんてないし、そもそも何を作れば喜んでもらえるのかもわからなかった。
そこへ、わたしが唯一信頼している社長が駆けつけてくれた。
「オレが少し援助してやる、だからその夢を叶えてみろ」
と応援してくれた。
その社長も実は、両親が幼い頃に亡くなっている。
喋った記憶すらないくらい若かったようだ。
ひとりでパンを盗みをして、盗みに行っては何度も店主に殴られたりして生きてきた、とんでもない人生を歩んだ人だ。
そして空腹で死にそうになった雨の日、傘をさして歩いてきた男が居た。
その人のカバンを盗もうとしたが、失敗。
腕を掴まれて逃げられなかった。
そのままカバンを盗もうとした人の家まで連れて行かれ、事情を聞いてくれた。
そこで社長は初めて仕事を与えられて、食べていけるようになったらしい。
それから社長は必死に働き続け、頑張った。
だがある日、外で子供が花火をしているのを見た。
その子供が凄い笑顔になっているのに魅了されて、花火を作りたいと思った。
社長は火薬の勉強をして、実験して失敗して、また実験して失敗する、この繰り返しだった。
その苦労は数年続き、やっと苦労が報われる。
綺麗な赤色の花火を作り上げることに成功したのだ。
しかし、その花火を作るのに時間が掛かる。
作業自体は簡単なのだが、どうしても効率が悪い。
機械を導入しようと思ったが、お金が掛かりすぎてどうにもならなかった。
そこへ初めて社長を雇ってくれた男の人がやってきて、援助してくれたそうだ。
そして花火の製造は数百倍早くなり、売上もかなり伸びた。
それ以来、同じような子がいたら、必ず手伝ってやろうと決めていたらしい。
そうして、わたしのためにお金を出してくれて、おもちゃの設計を始めることができた。
当然社長の工場で働いた後に設計をするのである。
一緒にどういうおもちゃを作るのか、どうやって売るのか、どの年齢層の子供に使ってもらうのか。
工場の仕事終わったあとに、何時間も一生懸命考えてくれて、時間なんて気にせずわたしのことを社長は支えてくれた。
わたしに親が居なくとも、信用できる人がいる。
それだけでわたしは十分だった。
それ以来、自分が誰かなんて別にどうでもよくなった。
1時間半で作った掌編小説なので、クオリティは申し訳ないですが、多分低いと思います。
この掌編小説は、自分の中での面白い小説を理論的に作った物なので、テストで作成した小説となります。