20/33
●ⅠⅤ
意を決し、うんこドアノブをうんこ手で開ける。
暗い部屋のままで、台所へ行き水道で手を入念に洗う。
昨日も今日も人様のうんこを洗うのか---。悟りが開けそうだ。
「ヒカル--。いるんだろう? 電気つけてよ?」
返事がない。最悪のコンディションみたいだ。もう、どうする? ノープランだよ。
電気を点けマスクを外すと、わずかにうんこの匂いが部屋に漂っている。
そして居間に入って電気を点けた。ヒカルはテーブルに突っ伏していた。
「ヒカル。大丈夫?」
むくりと顔を上げた。目が怖い。
「あ。顔すりむいてるよ。オロナインあったかな?」
「…………」
ヒカルは、力は強いが運動神経はそんなに良くない。
転んでうんこに突っ込んでお冠だ。そっとしておこう。
「ドアノブにうんこついてたから掃除するね」




