ⅠⅠ
一話にて終わるつもりでした。
出オチでしたが、実験的に続けてみようかと思います。
何処へ行くのかさっぱり解かりません。
革靴にべったりと付いてしまったようだ。
心の底から怒りがこみ上げて来る。
今朝はこの道にはうんこは無かったはずだ。
これまでも見かけた事も全く無かった。
最近引っ越して来た家族だな。
しかし、この靴で家に入りたくない。スマホを取り出し、家に電話をかけた。
「もしもし、ヒカル」
「なに? 遅くなるの?」
「そうじゃなくて、家の近くにいるんだけど、靴を持ってきて欲しいんだ」
「靴って、どうしたの?」
「家のすぐ前の生垣のところで、犬のうんこを踏んだんだ。
このまま家に入りたくないから、靴とビニール袋を持って来て欲しいんだ」
「え---。そのまま帰って来ないで。駅で靴を洗ってからにして」
「なんだよそれ! 冷たいぞ」
「汚いの嫌だから、洗ってから帰って来て」
「もういいよ」
電話を切った。
電話がかかって来たけど無視だ、無視。
すぐ外にいるのが分かっているのに、出て来やしない。
しょうがない、うんこを踏んだ靴をぬいで持って行こう。
アパートの入口近くに靴を一旦置けばいいか。
バケツに水を汲んだのを持って来て、そこで洗えばいいや。
暗い中、傘を畳んで、肩から掛けている鞄に引っ掛けた。
うんこ靴をぬいで、つま先立ちになりながら靴下もぬいだ。
そのまま靴下は鞄に入れた。
靴を持って、家に向かって歩き始めた。
ふにゃりっ
素足の方で、何か踏んだ。
まだ続けるのか?