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ⅩⅤ
革靴とコンビニ袋も洗い終わり、足の裏にバンドエイドを貼ってさらにガムテープを上から貼った。
鞄から靴下を出して履き終わり、一息ついた。
「ありがとうございます。本当に助かりました」
これで、うんこ事件に終止符が打たれた。
しかし、これで終わりにはして貰えなかった。
話は再開された。
「どうしてあんな場所にいたんですか?」
「駅まで戻るのが嫌でタクシーでビジネスホテルに行こうとしたんです。
だけど、うんこの匂いで途中で下ろされたんです」
調書の警察官が顔を上げて、嫌な顔をした。うんこ靴のうんこ触った方だな。
「それであそこにいたんですか?」
「そうです。ビジネスホテルに泊まる話はしているので、家に電話して確認取りますか?」
「いえ、大丈夫です」
警察から解放された。
だけど人の善意はありがたかった。
あれ程の殺意はどこかへ消え去っていた。
警察官に聞いていた駅は近くに見えたので、家に帰ることにした。
二駅移動していたのか。
雨もやんでおり、月が遠くに見え始めていた。




