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Ⅰ
会社帰りの小雨の中、傘をさして駅から家に向かって歩いていた。
家までは15分程歩かねば着かない。
あたりは既に暗く、他に人は歩いていない。
途中には畑が点在するような、開発途中のベッドタウンである。
そのため、街灯もまばらで薄暗い道も多いが歩きなれた道である。
濡れたくないので速足で歩いて行く。
ひと際大きな家が見えてきた。この辺りの地主が住んでいる。
手入れがされていない生垣が左側に続き、雑草も生い茂っている。
ここから住んでいるアパートが右側の少し先に見える。もう少しで着くな。
街灯の灯りは生垣に阻まれているため届かず、道は真っ暗となっていて薄気味が悪い。
暗い道を急ぎ足で進んで行く。
ずるっ
足が滑って、転びそうになった。なったが、なんとか踏みどどまった。
うわっ。何か踏んだぞ。
暗くてどうなったのか、良く見えない。
なんだこの匂いは。臭い。臭いぞ。
あ---。犬のうんこを踏んでしまった。
続くのか? 続けるのか?