新たなる先鋭。
前回までのあらすじと今回。
全ての破壊者・清水紳助が全ての超越者・善龍寺神牙を監視し始める。パーフェクト・ベクトラムが集められ会議が始まった。
話を聞いた生徒会会計の新崎琉尊は行動に出る。
そして1年生ルーキーの双子。2年生ルーキーの2人も校内順位決定戦で全ての超越者・善龍寺神牙に挑戦しようとしていた。
そんなことは全く知らず凛馬と校内順位決定戦に向け練習をする神牙だったが。そこへ生徒会会計・新崎琉尊が現れる。ベクトラム学院生徒会会計であり、ベクトラム学院学内順位5位と全ての超越者がぶつかる時。全ての超越者・善龍寺神牙は新たな力を見せつける。
「全世界の覇者」第3話。
~新たなる精鋭~
―男子寮。
神牙は落ち着いた生活を取り戻していた。
「そう言えば神牙は実力判定試験はしたのかい?」
凛馬が神牙にそう尋ねた
「実力判定試験?なんだそりゃ?」
神牙はそう答えた
「実力判定試験って言うのは授業の一環でその生徒の実力を判定するテストみたいなものだよ。」
「なるほど。それって絶対受けなきゃダメなのか?」
「受けなきゃって言うか。普通はうけると思うんだけど…」
「ふ〜ん。まぁ、そのうち鬼本が言いに来るだろ。」
「そーかなぁ?僕は神牙がまだ何を隠しているのか知りたいんだ。」
少し笑いながら凛馬が言うと
「どーだろうなー。」
と神牙は濁しながら答えた。
一方その頃。ある一人の男は怒っていた。
「ふざけるな!!!!魔剣だと!!この俺を差し置いて!!」
この男。学年順位1位。学内順位274位。2年A組板谷 流星。
「まぁまぁ、流星さん、落ち着いてくださいよださいよ!ね?」
この男。学年順位2位。学内順位275位。2年A組松山 薫。
2人は2年生の期待のルーキーである。
「薫はいいのか?!転校生風情が魔剣を使ったんだぞ?!」
流星は驚きと怒りを込めて言った。
「いいのかって言われても武器に興味なんてないですよ?」
薫が興味なさげに言うと
「アホか!!バカが!」
流星はさらに怒った。
「決めた。次の校内順位決定戦でボッコ凹にしてやる。」
「あーあ。始まった始まった」
「あ?!なんか言ったか!!」
「いやぁ、なんでもないっすー(棒)」
さらにもう2人すべてを超えし者に
挑戦したがる者がいた。
「へぇ、魔剣かぁ?」
1人はニコニコしながら笑う。
「魔剣だねぇ。」
1人は考えながら言う
「「戦いたいねぇ。」」
2人は同時に言う。1年生ルーキー。双子の兄弟。
学内順位同立305位。学年順位同立1位。
永久 未羅生&永久 夏虹。
「校内順位決定戦?ってやつで戦いたいね!兄ちゃん!」
永久 夏虹はそう言う。しかし。
「そーだなぁ。出来れば相手にしたくないけどなぁ。」
永久 未羅生はそう言う。
双子でありながら、相反する2人。
すべてを超えし者への挑戦を望むもの。
―翌日。生徒会室。
「校内順位決定戦?それがどうかしたのか?」
琉尊はやけに楽しみにしている紳助にそう尋ねた。
「俺はな。戦いたいんだ。転校生とな。」
紳助は心からの喜びを露わにして答えた。
「あぁ。あの、魔剣転校生か。」
「りゅるるっちは反応がにぶいんだよぉー!」
瑠璃奈は琉尊にそう言った。
「気持ち悪い呼び方をするな。」
そこで反応したのは琉尊ではなく玲奈だった。
「はぁ。?なんだって?」
声のトーンを変えて睨みつけながら瑠璃奈は言った。
「クソブス。」
ブチッ。
「な。ん。だ。と。?」
玲奈はその一言で火がついた。
「二人共。生徒会長の前だぞ。口を慎め。」
その日を消したのは瑠希那だ。
「はい、すいません。瑠希那さん。」
「すいませんでした。姉上。」
瑠璃奈と玲奈は同時に深く頭を下げ謝った。
「お前ら。俺を興ざめさせたら。殺す。」
それは文字通りそういう意味だろう。
「「「失礼致しました。」」」
玲奈、瑠希那、瑠璃奈が頭を下げた。
「琉尊、どこに行く。」
どこかへ行こうとする琉尊へ紳助が尋ねた。
「ちょっと野暮用だ。」
呆気なく答えた琉尊は生徒会室をあとにした。
「たく。勝手なことを。まぁ、好きにさせてやるか。」
紳助は琉尊が何をするか分かっていた。
その頃神牙は、凛馬との約束を果たそうとしていた。
―第3練習室。
「じゃあ、やるか。凛馬。」
「本当に僕なんかでいいのかい?神牙なら上級生とかに頼んだ方がいいんじゃないのかい?」
「どーでもいいこと言ってないで早くデバイスONしろ。」
「も、もう。分かったよ。」
そう言うと、凛馬はデバイスを構えた。と同時に。
目が変わった。
「ドラゴンナイトデバイスON!装備!龍槍バハムート!」
凛馬は槍を出した。真っ直ぐな槍だ。
「ドラゴンナイトデバイスか。ってことはここからだな?」
「さすが、神牙。よく分かってる。顕現せよ!!バハムート!!!」
「ギャァァァァ。」
大きな咆哮を上げ龍が現れた。
漆黒の体に紅き羽を持つ龍。神と魔を喰らうもの。
破壊竜・バハムート。
ドラゴンナイトとは。槍を持ち。龍を呼び出す。
そして、その龍に乗りながら戦うのだ。強すぎるように思うかもしれないが。龍との絆がなければ龍を乗りこなせず戦えない。すなわち、ある程度の人しか出来ないのだ。
「なに?バハムートだと?」
神牙は疑問を抱いた。
「どうしたんだい神牙!早くデバイスONしてくれよ!」
「お、おう。分かった。」
疑問がぬぐえないままデバイスにスイッチを入れる。
「オールデバイスON。装備。天鈿女命」
赤い光が神牙を包む。その光は足にまとまった。
光が弾け、それがあらわになる。
「神牙、それは一体………?」
それは神牙の足を包み込む鎧のようなものだった。
「戦えばわかるさ。」
神牙は少し笑いながら答えた。
「ルールはどうする?」
神牙がそう聞くと
「公式じゃないんだし、初めに一撃の当てた方の勝ちでいいんじゃないかな。」
凛馬がそう答えた。
「じゃあ。やるか。」
「うん。いくよ。」
公式戦ではないのでSTARTと言ったら始まる。
「「START!」」
「お前からこい。凛馬!!」
「お言葉に甘えるよ!神牙!!いくよ。バハムート!!」
「ギャァァァァ!!!」
「くらえ!破壊の咆哮」
ギャァァァァ!!!!バハムートが大きく吠えた。
――刹那。
神牙の周りあったはずの床は全体的にくり抜くように無くなっていた。
「そんな?!なんで神牙の所だけ残ってるんだ?!」
「さぁな。それじゃ俺の番だ!」
その瞬間。凛馬の目から神牙が消えた。
「え?」
刹那。凛馬とバハムートは壁まで蹴り飛ばされた。
WINNER。善龍寺 神牙。
「えぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!」
凛馬が驚愕する。
「ん?どうかしたのか?凛馬」
神牙が半笑いで言った。
「だって!!え?!なんで?!!」
凛馬には訳が分からなかった。
―ガチャ。
「清水、俺が説明してやろう。」
琉尊が第3練習室へ入ってきた
「新崎先輩?!?!ご無沙汰しております!!!」
凛馬は慌ててバハムートを元に戻し、挨拶をした。
「ん?誰だあんた。」
「邪魔して済まないね。善龍寺くん。凛馬、そういうのはいらないだろ?」
「俺はいいけど。」
「は、はぁ。何故、生徒会会計でもある先輩がこんなところへ……?」
「まぁ、後で話そう。それより今はさっきの解説だ。」
「あ、はい!!教えてください!」
「まず、彼が装備した天鈿女命は神器だ。」
「神器?!?!」
「そして、お前が放った破壊の咆哮はバハムートの咆哮で空気をねじまげて、その威力で攻撃する技だ。」
「は、はい。その通りです。」
「善龍寺くんは自分の周り向かって飛んでくる攻撃を蹴りで消し飛ばしたんだ。」
「えぇぇ。?」
「そして、目にも止まらぬ速さで凛馬の後ろに回り込みバハムートごと凛馬を蹴り飛ばしたってところさ。」
「そ、そんなことが。本当なのかい神牙?」
「あぁ。目にも止まらぬ速さってあんたには見えてんじゃねぇか。」
ありえない。なんであの技を全部見切ったんだ。
「まぁね。にしても本当にすごいね。善龍寺くんは」
琉尊は心からの尊敬を送りつつそう言った。
「そこでなんだが……ぜひ、手合わせ願いたい」
「断る。」
「そうですよ!学内順位5位のくせに大人気ないですよ!!」
「なに?」
すべてを超えし者は強者を喰らう。
「あ、しまった。」
「前言撤回だ。受けて立つ。」
神牙は笑った
「それは良かった。じゃあ、凛馬、審判を頼む。」
「はぁ、分かりました。床を直すので、二人とも準備を済ましてください。」
「おう。」
「ああ。」
凛馬が床を直すと2人は位置に着いた。
「それでは、練習試合。新崎 琉尊 対 善龍寺 神牙」
凛馬が合図をとる。
「START!」
「私から行こう。サムライデバイスON。装備。政宗。」
そこにはひとつの日本刀。刀があった。
「サムライか。俺はさっきと同じだ。オールデバイスON。装備。天鈿女命。」
「私から行かせてもらおう。はっ!!閃!!!」
琉尊が驚異的なスピードで神牙の胸に飛び込み、神牙の胴体を斬った。はずだった。
「なに?!」
琉尊が驚く。
「それは残像だ。はぁっ!!」
―カキンッ!!
「フッ、見えているぞ。転校生!!」
「なに?!見えただと?!」
今、確かに高速で蹴ったはずだ。なんで見れた。
神牙はそう思った。
「私はな。気で相手の位置を読み取る。」
気とは、生命あるもの全てから出ているものである。
「そーゆーことか。なら、死ねばいい。」
「なん。だと?」
「オールデバイスON。装備。死の羽衣。」
「なに?!2つ装備だと?!?!?!」
「そんな!?!破格すぎる。」
「たかが羽衣が着いたくらいで何が変わる!!」
「なんだ?気づいてないのか?」
「一体何に。はっ!!」
琉尊は驚愕した。それは…
「気が感じられない……だと。。」
そう。今の神牙からは気が感じれなかった。
すなわち。今の神牙は死んでいるも同然。
「言葉通りだ。死んでやった。。どうだ驚いただろ。」
「驚いたな。たしかに。だが、武士の端くれとしてここで諦める訳には行かない。」
「フッ。武士の心か。なら、それに敬意を評して。技を使おう。」
「なに?!」
「大丈夫。死にはしない。味わえよ。学内順位5位。最強の一端を。」
そう言うと神牙は笑みを浮かべた。
「天鈿女命の舞。」
神牙が目にも止まらぬ速さで動く。
そこに残像ができて、まるで分身しているようだった。
さらに死の羽衣の効果により気で場所を感じられない。
「くっ。こうなったら、意地でも止めるしかない!!」
「喰らえ。虚空」
「こいっ!!」
―――刹那。
WINNER 善龍寺 神牙!!
「なに?」
「え。?」
「俺は当てたぞ?一撃。」
「そんな。。馬鹿な」
気で感じるとか、そういう事じゃねぇ。それ以前に何をされたか分からねぇ。
「馬鹿じゃねぇ。天才だ。」
「ははは!!すげぇ!!すげぇぞ!!!」
琉尊は高らかに笑った。
「なに。?」
「新崎先輩?」
「いやいや、楽しませてもらった!ありがとう。善龍寺 神牙。」
「いや、俺は何も。」
「じゃあな。次会う時が楽しみだ。」
そう言いながら琉尊は第3練習室を出た。
―ガチャ。
「最高じゃねぇか。紳助。あれが、あれが善龍寺神牙という男か。全く笑わせてくれるぜ。次は本気で潰す。」
「ふぅ、良かったぁ。」
凛馬は安堵する。
「どうしたんだ?凛馬。」
」どうも何も、あの人は学内順位5位だよ?心配するよそりゃ。パーフェクト・ベクトラムの一人なんだから。」
「そうか?」
「そうだよ!にしても神牙はあの人に勝つなんてすごいね。」
「あれは勝ちなんて呼べねーよ。」
「え?どうして?」
「あいつは絶対。本気じゃねぇ。」
「えっ。。あの上があるってこと?」
「そーゆー事だ。あいつはかなり出来るやつだ。強いぞ。」
「だろうね。なんて言ったってパーフェクト・ベクトラムなんだから。」
「そうだな。楽しませてくれそうだ。」
神牙は笑みを浮かべた。
すべてを超えし者は闘いに餓える。
「にしても何をしたんだい?」
「え?あー、一撃か?」
「うん、だって、ダメージ的なものがなかったから」
「お前なぁ。簡単に考えろよ、一撃なんでつまり触るだけでいい。俺はタッチしただけだ。」
「は。。?」
「え?お前、タッチ知らないの?あの、鬼ごっことかのやつだぞ?」
「はぁぁぁぁぁ?!?!?!学内順位5位に対して?!タッチしただけ?!」
「え、え?お、おう。そーだけど。」
「つくづく思うよ。君は化け物だ。」
凛馬は呆れながら言った。
「そうかぁ?もうそろ終わりにしようぜ。」
神牙は濁しながらそう言った。
「そーだね。終わりにしようか」
凛馬も納得し、2人は練習を終えた。
しかし、この時。神牙には引っかかることがあった。
それは凛馬の事だ。なぜか。理由は簡単だった。バハムートを使う者としてあれじゃ、弱すぎる。
神と魔を喰らうもの。破壊竜・バハムート。
凛馬はまだ。全力じゃない。
そして。。さっきの2つ戦いを見ていたものが4人。
永久 未羅生。永久 夏虹。 板谷 流星。松山 薫。
「へぇ?2つ装備なんて出来るんだ!すごいね兄さん!」
「そうだね。凄いね。」
「「早く、戦いたいね!」」
「ダブル装備とか規格外だろ。」
「そうっすね。流星さん。あいつは強いっすよ。」
「だな。けど、だからこそ」
「必ず叩きのめすしかない。」
「必ず叩きのめすしかないっすね。」
今、4人のルーキーに火がつく。そして。燃え盛る業火となる。
――1週間後。ベクトラム学院。第1体育館。
「えぇ、理事長挨拶。理事長お願いします。」
理事長が全校生徒の前に立つ。
「ベクトラム学院。全校生徒へ告ぐ。」
バンバン!!
ピストルの音が鳴り響く。
「今ここに、ベクトラム学院上半期学内順位決定戦の開幕を宣言する!!」
今、始まる。ベクトラム学院上半期学内順位決定戦。
戦いの火蓋は切って落とされた。全校生徒の力と力がぶつかり合う。そこに現れたすべてを超えし者は
この闘いに何をもたらすのか。全ての歯車が回る。
ベクトラム学院 上半期学内順位決定戦 開幕。
「全世界の覇者」第3話を読んできただき。
ありがとうございます。
作者の治崎龍也です。
※ネタバレを含みますので先に読むことをオススメします。
今回のお話では神牙と生徒会の1人がぶつかりましたね。
アクションシーンなのですが少なくてアクションシーンが好きな人には申し訳ないです。
そして、ルーキーの4人が出てきました。
この4人が神牙に何をもたらすのか楽しみにして待ってくれたらと思います。
いよいよ学内順位決定戦が開幕しました。
次からのお話なのですが、4話~5話分ほどアクションメインとなります。色々なキャラの戦闘が見れますので楽しみにしていてください!!
(おもしろいかどうかは別です)
最後にこんなまだまだ拙い作品を読んでくださる方が自分が思っているより沢山いました。
本当にただの学生が趣味で書いているだけの物語ですがどうぞ完結するまで見てくださると幸いです。
そして、アドバイスやコメントをお待ちしております。厳しい評価でも糧にしていきたいと思っています。
この作品は作者の私だけでなく読者の皆さんとも作り上げていきたいと思っています。
ですのでどうかよろしくお願いします。
読んでくださり本当にありがとうございました。
次回もお楽しみに。