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【クリスマスプレゼント】人類滅亡

<チュドーン>


キノコ雲が現れた




「ご覧ください!只今、アメリカ軍による核攻撃が行われました!」


画面の中で日本からアメリカのNYに派遣されたアナウンサーが叫んでいる




「これであの『黒い悪魔』も破壊されたことでしょう!人類は救われたのです!」


あまりの嬉しさに涙声になっている




<ザワザワザワ>


アナウンサーの周りが急に騒がしくなった


他の国の同じように現地に中継で出ているアナウンサーやカメラマンが何やら騒いでいるようである




「あ?え?なに?!」


アナウンサーはあまりの早口の英語で喋られているので状況が判らずにオロオロしている




「え?何?ウソでしょ?!」


一緒にいるスタッフから何やら状況を知らされたようであるが、アナウンサーが持っているマイクは声が拾えていないのでTVの視聴者には状況が分からない




「し、失礼いたしました」


アナウンサーがなんとか立ち直って中継を再開し始めた





「たった今、関係筋からの情報が入りました


ただし、公式発表ではないので正確かどうかはわかりません


どうやら爆心地で何やら動く物体があるようです


専門家の話ではどうやら『黒い悪魔』の可能性が高いとのことです


高温になっているために詳細な情報を入手できないとのことですが


作戦は失敗した可能性が高いとのことです



ああっ、人類はどうなるのでしょうか!!!!」


アナウンサーが絶叫していた





人類の滅亡がほぼ決まった瞬間であった


















ことの起こりは約3カ月前


NASA(アメリカ航空宇宙局)が火星付近の隕石が地球に落下する可能性が高いと発表した





全長約10mの隕石が太陽方向に向かって飛んでいるとのことだった


説明されていた図では、その軌道があきらかに地球の位置とは重ならないので皆が安心していた




ところが続けて、地球は太陽の周りを回って(公転して)いるとの説明の後、


隕石がその公転軌道に到達するころには地球も同じ位置に動いており、直撃するとのことだった




その報道を聞いて皆はパニックになった






各国の首脳は急遽会談を始めたが、どの国も自分の国の権利を主張してばかりのため、何一つ決定されることなく2が月が浪費された





その間、各国のTVでは特集が組まれ、専門家による議論がされ、対策案が検討されており、民衆の怒りは無策の自分達の指導者達に向けられた




さすがに民意には逆らえず各国首脳は重い腰を上げて対策を検討し始めたものの、今度は有識者による対策案が一本化されずにいたために、民衆の怒りは最高潮になり、至る所でデモが発生し、警察などはその対策に追われた




無駄に時間を費やした結果、大気圏内に突入して、燃え尽きなかった隕石を戦闘機のミサイルで撃墜するという、知性も理性も全く感じさせない力任せの対策が採用されることとなった








隕石落下の当日


被害予想範囲の住民は避難し、街という街はゴーストタウンと化した






大気圏に突入しいた隕石は


『衝撃でバラバラになり燃え尽きる』


との予想に反し、5つに割れたものの、そのままの質量を保ち続けた






分裂した一つはアメリカに落ち、自由の女神を直撃した


別の一つはアジアの島国の日本に落ち、東京タワーを直撃した


また別の一つはフランスに落ち、凱旋門を直撃した


さらにまた別の一つは、UAEに落ち、ドバイタワーを直撃した


そして最後の一つは、イギリスに落ち、ビックベンを直撃した




あまりの非常識な事態に皆は、騒然とし、TVではコメンテイターとして呼ばれていた学者が


「絶対にあり得ない!」


と絶叫していた





各地の被害をTVで見ていた視聴者達は、崩れ落ちた建物のがれきの中から出てくる物体を画面越しではあるがリアルタイムで目撃した





約3mと人間よりも高い身長


全身は真っ黒


頭部は顔の真ん中に赤く光る円形の大きな目らしきものがある


西洋の鎧を着たような形






「う、うごくな!」


警官が制止しようとするが、警告に構わず動いたため、拳銃が発射された





<バンバンバン>


<カンカンカン>


撃った拳銃の弾は未確認物体の表面ではじき返された





頭を動かし目らしきものが撃った警官を捕らえる




「う、うっ」


うろたえる警官





その瞬間、目らしきものが赤く強く光った


その瞬間警官が崩れ落ちた





「う、撃て撃て撃て!」


誰かの掛け声で警官が拳銃を撃ち始める




<<<<<<<<<<<バン>>>>>>>>>>>>


<<<<<<<<<<<カン>>>>>>>>>>>>


全弾が見事にはじき返された





<<<<<<<<<<ピカッ>>>>>>>>>>>


そして赤いモノアイが光り警官達が崩れ落ちた





人類が破滅へと進み始めた瞬間だった





世界中の各場所で人類 ~主に警官や軍隊~ と闘い勝利する黒いロボット達


ニュー南部も、10式戦車の120mm砲も、F4戦闘機の空対地ミサイルもきかない敵に人類は恐怖した




そこで世界の警察を自認するアメリカ軍が動き出した




ここで撃退できれば防衛に対してイニシアチブを取れるとか


兵器会社からのロビースト関係の強プッシュがあったとか


与党の野党に対する牽制だとかの闘争があった





しかし、ピラミッド構造になっている権力構造は強かった


または、数多の闘争の末にトップに上り詰めた勝利者の狡猾さはいかんなく発揮されたとも言う




「戦術核を使う」


一番の権力者であるストロング=フィールド大統領の一声で最強兵器の使用が決まった





一度決定されると軍の動きは速かった


それと同じくらい早かったのは各国マスコミの動きだった




アメリカ政府が避難勧告をする前に現場 ~黒いロボットがいるのが現場なのは明白だから~ が良く見え、かつ被害範囲より外の安全な場所で、さらに撮影にベストな位置を確保した




大統領の発表からわずか24時間で攻撃が開始されることとなった




そして冒頭の話になる





この先、人類は滅亡するのか、それとも助かるのか


それは誰も知らない、いや判らなかった

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― 新着の感想 ―
[良い点] ハラハラドキドキの展開。SFらしい作品ですね。 [気になる点] オチにもうひとひねり欲しかったです。
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