超ショートショート「夢街Diary」No68
ここは夢街。皆の夢が集う場所。
私はそんな夢街の、とある商店街に来ていた。
「インクは買ったし…あとは…」
私は夢街の商店街で1番信用ならない紙専門店に向かっていた。
夢街は皆の夢が集う場所。様々な分野のエキスパートが集まり、勝手に店を開いている。
だから、インク専門店から紙専門店まであるのだ
紙屋専門店は、歪んだ茶色の積み木のように重なった店が並ぶ奇妙な商店街、その6段目にある。インク専門店からは下り坂になっているので、足元に気をつけながら降りていく。
私は店の前にたどり着く。紙専門店の店主は昔の夢街の住人の店をそのまま使っているので、看板には「牛乳」と書いてある。初めて来た人は絶対勘違いするだろう。そのぐらいちゃんとすればをいいのに
紙専門店の扉を少し控えめ気味に開ける。
「…お邪魔しま」
「またお前か。」
声を被せて偉そうに話す、このしわがれた声の主こそ、紙専門店の店主…「マミー」だ。
身体中を紙で覆った人物で、本物のミイラみたいだが、付いたあだ名ではなく、自らこう名乗っている。
「お前だって、自称「ライター」だろう。心の声が一部漏れてるぞ。」
しまった。私の癖なのだ。因みに私は作家をしている。
「まあいい…。普通の客には普通に売るんだがな。やはりあんたは例外だ。」
「いいわよ。やりましょう。」
私は埃と紙だらけの棚を素通りして、「マミー」のいるレジ兼机に向かう。
「勝負は…トランプではつまらん…花札…オセロは早く決着がつきすぎる…ならば将棋…?」
マミーは紙の奥の、真っ赤に純血した火山のような目をグリグリ動かしながら、勝負を考えている。
指相撲とかでいいのに。
「指相撲だと…?まあいい。指相撲の200回勝負というのも、なかなか…」
「200回か…まああんたならそうよね。それで行きましょう。」
マミーは1度深淵のように真っ暗な店の奥に戻り、直ぐに血のように赤いワインと、奇妙な色のチーズを持ってきた。
「これで、指相撲勝負だ。お前が勝てれば、紙はタダで持てるだけやろう。」
「分かったわ。紙袋も持ってるし、破産させてやるわ。」
私たちの夜は更けていく。
お恥ずかしながら文章の仕事を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、一生懸命1歩ずつ頑張りたいと思います。アドバイス等をどしどし下さると助かります。
コメントも一言貰えるだけでモチベーションが凄く上がるので、お暇であればお気軽にお願いします。
あんまり「超」ショートショートではなかったかも。