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叶えば所詮、夢物語  作者: 4.1 1.2 4.2
36/41

勇気

 

 ウィンドベアー討伐から1週間。


 あの日以降、討伐しては宿で休む日々を繰り返しいる。毎日中層域で魔物討伐しており、その甲斐あって一回の討伐報酬で6万ptほど稼いでる。


 現在、チームptは45万ptほど。Bランクになるとギルド公認の宿、つまり『フリッシュ』には一般客の半分のptで泊まることが出来るため、宿代が減り順調にptが溜まっているのだ。


 そんな討伐の日々を過ごしいると、自ずと疲労が蓄積され、普段ミスしない連携でもミスしたりする。昨日は特に酷く、連携ミスから何度か魔物から負傷を負わされその度に回復役である蜜柑に治療してもらい、その為蜜柑には頭が上がらない。


 そしてこの現状を放置していると、いつか取り返しのつかない事が起こりそうでならない。


 そんな最悪を起こさないために今日一日 休みを取る事にし、朝食を摂った者はフリッシュをあとにするのだった。しかし、各々が行きたい場所に足を運ぶなか、真紅は1人取り 食堂にとり残されていた。


 1人になった真紅は食堂でどこに行くか悩む。休みだしベットの上でゴロゴロ………なんて事を考えるも、1日中ベットの上でただゴロゴロしているなんて、時間が勿体無さ過ぎる。かといって、特に行きたい場所もない。


 そんな頭を抱えている真紅の目に映ったのは、カップを片手に本を読む女性だった。真紅はこの時確信した。これなら休みながら有意義な時間を過ごせると。やる事が決まった真紅は食器をさげ、そのまま本屋に向かった。


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 本を読み終え辺りを見回すと、窓から差し込む光によって部屋がオレンジに染まっている。どうやらかなりの時間、本を読んでいたようだ。


 その本の内容は、この大陸で繰り広げらる、5人の変人勇者の旅路の物語。500年もの長い間語り継がれている、言わば昔話しである。これはこの世界の人々は何度も親から聞かされた話しで、店主に「何度読んでも面白い本はありますか?」と尋ねたところ、この本をお勧めされた。内容は予想以上に面白かった。店主がお勧めするのも頷ける


 そして本を読み終えた達成感と共に食欲が一気に湧き上がり、ぐぅ〜といい音を鳴らせる。考えてみればお昼を食べずに本読んでいたのだ。


 真紅は食堂のある一階へと足を運ぶと、そこには自分なりの休息を終えた4人がタイミングよく宿の出入り口で鉢合わせするような形になり、そのままみんなで夜ご飯を食べる事になった。


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 食堂の席に座り、真紅はみんなの土産話に耳を傾けていた。瑠璃と蜜柑は異世界デート、翡翠と若紫はギルド経営のトレーニング施設で軽く汗を流した後、ノルデンの街を歩いていたと言っていた。


 皆形は違えど、息抜き出来たようで何よりだ。そしてみんなの土産話はここで幕を閉じ、明日からの予定を決める話へと切り替わる。


「明日からどうする? 僕としてはまた中層域の魔物討伐の依頼を受けようと思ってるんだけど」


「ウチはそれでいいよ!」

「俺もそれで、構わなねぇーよ」


 それぞれ意見を述べる中、瑠璃と蜜柑は未だに何も言わずにいた。いつもなら何か言ってくれるのに、どうしたのだろう。


 そんななか、瑠璃は蜜柑を後押しする発言をする


「ほら、蜜柑。言いたい事があるんだろ?」

「………うん」


 そう言うと、テーブルの上にある紙をのせ、みんなに見えるようにした。


 しかし、瑠璃の後押ししてもらいながら別の案を述べる蜜柑のその表情は、少し申し訳なさそうだった。それは翡翠と若紫が既に真紅の意見に賛成している中で、別の意見を出す事によって、固まりつつある明日の予定を変えてしまう事を危惧しているのだろう。


 それでも蜜柑は勇気を出して話しを続ける


「私は………これに参加してみたい」


 蜜柑が参加したいと言っているものは、ノルデンを東に行った先にあるオリエンスの街で月に一度 開催される駆け出し討伐者のみ参加可能の大会である。


 この大会はギルド協会主催で、優勝すると50万ptが賞金として授与される。駆け出しの基準として、ギルド登録から半年以内の者と定められているため、人によっては最大6回まで参加する事ができる。しかし、一度優勝した者は、参加は可能であるが優勝したとしても賞金は授与されない。


 そもそもこの大会の目的は駆け出し冒険に必要不可欠なスキルを大会を通して身につけてもらう事であり、賞金ではない。賞金はあくまで装備を揃える為のものでり、駆け出しの死亡率を下げる目的がある。


 蜜柑はみんなに紙を見せた後、こう続けた。


「このパーティーで……1番足手まといなのは私だから、この大会で自分にできる事を探せたらと思って」

「足手まといだなんて、そんな事ないよ」


 真紅はそう告げる。それはもちろん本心からで足手まといだなんて一度も思ったことはない。それはこの1週間何度も怪我をするなか、毎日討伐依頼を受けられているのは蜜柑の治療あってこそだ。


 しかし、それは他人からの評価であって蜜柑自身の評価は別である。蜜柑はみんなが魔物と戦っているなか、蜜柑は援護射撃と回復しかできない自分に歯がゆさを感じていたのだ。


 そんな遣る瀬無い気持ちでいっぱいだった時目に入ったのはこの大会である。この大会に参加すればみんなの役に立つスキルが身につくのでは、みんなの負担を軽減できるのでは、と 思い今に至るわけだ。


 蜜柑は普段から大人しく、自分の意見を述べ事は少ない。寧ろこの世界に来てから、こんなにもはっきり意見したのは初めてである。


 そんな蜜柑の意見に真紅たち3人はもちろん賛成だ。こんなに頑張って意見を述べたのに蜜柑の気持ちを無下にする事は出来ない。


 そもそも、予定はあくまで予定であり、目的が見つかれば、仮に蜜柑じゃなくても変更する。


 蜜柑は真紅たちからの了承を得ると、勇気を出して自分の意思を伝え良かったと思うのだった。


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