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叶えば所詮、夢物語  作者: 4.1 1.2 4.2
34/41

凄さ

 

 ゴブリンを討伐したあたりからだろうか。ウチが血を見たり、肉を切り裂く事がダメになってしまったのは


 あの時は生きる為に精一杯だったのだと思う。だから戦ってる時はなんとも思わなかったけど、ふと我に返った時の衝撃はすごかった。


 辺り一帯を包み込む血の匂い。手についた妙に粘り気のある血。目を見開いたまま死んでるゴブリン達。


 その時だ。血とかがダメになったのは。


 いや、ウチが無理になった事はそんな事ではない。


 ウチが無理になった事は''死''対する事だ


 あの時はこんな簡単に生き物は死んでしまうのだと実感した。それはウチらも例外ではなく、常に死と隣り合わせ。命を奪うという事は、奪われる覚悟も必要だ。しかし、そんな覚悟なんで出来ていなかった。所詮まだ1ヶ月半程、日本じゃそんな覚悟必要ない。だから死体を見ると、いつか自分も………なんて事を考えてしまう


 それは、ウィンドベアーの死体を見た時も同じだ。ウィンドベアーと自分を関連付けてしまった。だから早くあの場を離れたかった。


 そんな何一つ覚悟出来てないウチの目の前に、死が襲いかかってきている。


 多分だけど、避ける事は出来ると思う。でも足が動かない。


 そもそも、


 避けて戦う覚悟も、


 戦って殺す覚悟も、


 戦って死ぬ覚悟も、


 何一つ出来てない。だから動かないのだ。



 はぁ〜〜 死ぬのってやっぱり怖いな〜

 死ぬ覚悟なんてそう簡単に出来ないよ



 翡翠が死を悟り、目を瞑った瞬間、


 ギギッ ギギギ


 と聞き慣れない金属音が鼓膜を通過する。


 翡翠は恐る恐る目を開けると、目の能力で守備範囲を拡大し、盾を構える真紅が翡翠の目の前に立っていた。


「なんで…………」

「なんでって、仲間を助ける事は当たり前じゃないか!」


 ウチは真紅の後ろ姿を見た時、強いなと思った。真紅だってあの時、色々悩んでたのにもう克服している。ウチと真紅、いったい何が違うんだろう? やっぱり覚悟かな? 命を奪う覚悟も 奪われれ覚悟も 真紅は出来てるんだ。


 いや、違う。真紅は仲間を守る覚悟してかしていない。それは転移された日から変わっていなし、そう言っていた


 『みんなを守る』って。


 弱虫だった真紅が仲間の為に……ね………


 改めて思う。ウチは何の覚悟していなかった。でも、責めて仲間を守る覚悟を、勇気を下さい。


「真紅、ありがとう……もう大丈夫」


 真紅にそう伝えると、翡翠は足に力を込め、一気に加速しウィンドベアーに立ち向かう。その道中、もちろんウィンドベアーは攻撃をやめない。凶器と化した風が何度も翡翠を襲う。しかしそれら全てを五感を研ぎ澄まし、紙一重で躱していく。


 そしてウィンドベアーの懐まで潜り込んだ。しかし、正面突破という安直な攻撃はせず、後ろに回り込みアキレス腱を切り裂く。人間と同じ作りか不安だったが切り裂いた瞬間、ウィンドベアーのバランスが崩れ 前屈みになる


 翡翠はそのタイミングでウィンドベアーの背中に飛びかかり短剣を思いっきり刺した。


 |


「そう言えば、みんなに言い忘れてたけど、僕たちが持ってる剣に氣を流すと属性が発動するかもしれないんだって!」

「なになに、凄く面白そうじゃん! ウチの剣を先に見て〜」


「いいよ、今 鑑定紙貼るから………翡翠の剣の属性はーー


 |


『水よ………穿て』


 翡翠は短剣に氣を流し込む。するとウィンドベアーの体を水が貫き、貫いた水が赤く染まる。それと同時に3メートル程の巨体が鈍い音を立てながら地面に倒れこむ。この瞬間、翡翠たちは勝利を確信した。


 そしてその瞬間、緊張から解き放たれ翡翠は地面に座り込み安堵の息をもらす。その座り込む翡翠の目の前にはウィンドベアーが倒れている


 しかし目を晒す事はなかった。決して死の覚悟が出来て訳ではない。今でも死に対する考えは変わらず、怖いだけだ。でも仲間を守る覚悟は出来た。それだけで十分だと思った。


 これからも真紅のように仲間を守る覚悟は忘れてはいけない。そう心に決め、足に力を入れ立ち上がる。すると何も変わっていないはずの景色が輝いて見えた。


「………覚悟って凄いな」


 翡翠はそう呟き、大切な仲間の元へと向かった。


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