4話 賢者、最初の英雄を作る?
「やはり、厳しいか…」
ここは魔物討伐の最前線、魔物の死骸も多いが人の死体も多い
「村長、前線の維持が限界です!」
それもそうだろう、人は疲れていくが魔物は倒されても次が来る。長期戦では勝ち目が無い
「我等が倒れたら真っ先に避難した人に襲いかかるぞ!」
だが、時間を稼がなくてはならない。
元々勝つための戦いでは無い、逃がすための戦いなのだ
「そうだ!俺達がやられたら終わりだ!」
「まだやられる訳にはいかねぇ!」
士気が上がった様だ、しかしそれも時間の問題
「リーヤだけでも逃がしたのは正しかった」
そう思った時、魔物側から雄叫びが上がった
「…オーガキング」
オーガの変異種であり、厄災とされている魔物。
相手にするには国が総力を挙げて戦い、撃退が関の山、小さな村の民では注意すら引けないかもしれない。
ここにいる、村人の恐怖、絶望が手に取るようにわかる。これでは時間稼ぎも出来なくなった
「すまない、皆、時間稼ぎすら出来なかった」
絶望で無気力になった時、魔物の軍勢に雷が落ちた。雷の中心には逃がしたはずの愛娘の姿が…
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「どういうこと?」
「つまり、俺がお前に力を渡す、父親達を助ける。俺はここの人を守る。簡単だろ?」
「ふざけないで!」
何で怒ってんだろ?おかしいこと言ったか?
俺が首を傾げてると
「あなたに守れる訳が無いし、力を渡す?それで解決出来るならやってるわ!」
俺がおかしいこと言ったからじゃなくて、俺の力量を疑ってるのか
「それなら俺の力量を見れば納得してくれるよな」
「ふざけてないで避難するわよ」
見てくれないんですね、それなら無理矢理にでもこっち見せてやるぜ!
『魔剣精製』
土が勝手に剣の形になっていき、魔力を吸われるのがわかる。俺が作るのは雷の魔剣、振れば雷が飛び、魔力を通せば雷を身に纏う。大軍を相手にするのに向いている、そんな剣。
俺からすると微々たる量だが、大量の魔力によって完成した魔剣を振る、近くの木を轟音を響かせながら数本なぎ倒した。
音に気づいたのかわからないが、リーヤはこっちを見る。唖然としているリーヤに聞いてみる
「これでも信じられないか?」
返事は無かったけど、かわりに口角を上げていた。
剣の説明を終えると、一瞬で戦いの方へ走って行った
「え〜っと、リーヤが戦いに行きましたが一応避難します」
俺は歩く準備を始めた、しかし、村の人は動く気がないのか準備を始めない。そして村人の一人が独り言をつぶやく
「戻るべきなんじゃない?」
独り言が聞こえると、村の人は村に戻るように動き始めた
俺の意見は聞いてないのか…
俺は村に戻ったら、守るための結界を張ることに決めた、めんどくさいけど…