閑話⑥神の思惑
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お花畑に場違いなテーブルと椅子があり、1人に青年が座っていた。
「相変わらず面白い行動をする者たちですね…」
ジャイアントオーガの時、白狼が出てきた時点で『逃げる』を選択すると思っていた。しかし、実際には光太たちは逃げることなくジャイアントオーガを倒す選択をしたのだ。
その蛮勇とも言うべき行動に『神』である青年は光太たちを気に入り、祝福スキルを与えその後の行動も見守ったのだ。
彼らは祝福スキルを得ても有頂天になることなく堅実に行動した。いや、それどころか若者とは思えない程に慎重に行動し始めたのだ。ジャイアントオーガの時の大胆な行動とはうって変わっての行動に神である青年は余計気にかけるようになった。彼らに与えた『神のクエスト』は正直に言うならば神が関与するようなものではない。だが、神である青年は見たくなったのだ。アイスゴーレムと戦う彼らを…。
そして彼らは神である青年の思惑以上の成果見せたのだ。それにより、より神である青年は光太たちに興味を持ち、より強力なスキルやジョブを与えたのである。
普通に考えるならチート的な能力と言えたが、急激な成長は必ずしもプラスになることばかりではない。神である青年はあえて過度な能力を与えて光太たちを『試した』のだ。
そして彼らは神である青年の思惑通り、自身の過度な能力を使えるようになるために行動を起こしたのだ。…いや、思わくよりも慎重な行動をしたことに、神である青年は面白味を感じたのだ。
「ほほっ。地球の神たちほどではないと思うがのう」
「…『ガレムの神』ですか。アナタの領域はここではないはずですが?」
「何…我が種族も関係しておったのでな…」
「獣人ですか…。彼女も面白いですね」
「それにしても…少々人間に甘くないかのう?」
「まあ…彼らは『特別枠』というヤツですよ。本来なら『神のクエスト』を受けるに値しないですからね」
「そうじゃな。本来なら『神のクエスト』は上級職になって初めて降りるモノじゃからのう」
「彼らがジャイアントオーガを倒したのも奇跡的なことでしたからね。祝福スキルは言わば『ご褒美』というヤツでした。アイスゴーレムに至っては、本当なら神のクエストとは言えないモノ。彼らが私の目に適うかどうかを知るために与えた試練でした。そして彼らはその試練を見事にクリアしたのです。この先、彼らがどのように成長していくか…ゆっくりと観察させてもらいますよ」
「彼らが…辿り着くと思うておるのか?」
「可能性はありますよ。すでに光太くんは疑問を持っているようでしたからね…」
「ほう…。それは楽しみじゃのう」
現在の地球が生まれた理由…。そのことに対し疑問に思う者は多い。しかし、神が存在していると知り、その上で今の地球があることがどういう意味を持っているのかは考えている者はいるだろうか?
神の存在を知った冒険者たちは、自分たちに与えられた能力にばかり目が行ってしまい今の地球に対する疑問になど思いもつかなかったのだ。
だが、光太は違った。能力の大きさと神のクエストゆえに気づけた。いや、元々彼にあった発想力ゆえに『神に聞こう』と言う答えに行き着いたと言えるだろう。
これには神である青年も驚いた。しかし、驚いたと同時に彼は光太に可能性を感じたのだ。彼ならば、神々の求める『答え』に行き着くかもしれない…と。
「期待しましょう。彼が『答え』に辿り着くと…」
神である青年は笑みを浮かべるのであった。




