エピローグ
よければ、ブックマークと評価をお願いします。
今後とも、応援よろしくお願いします。
精進して執筆します。
「…これほどとは」
「確かに…強くはなったがこれでは…」
「まさか、モンスターが解体できんほどダメージを負ってしまうとはのう…」
俺たち3人は木崎湖のモンスターフィールドの第3エリアである『森林エリア』にいる。
なぜこうなったかと言うと、第1・2エリアではモンスターが寄ってこなかったからだ。
スカウトスキルで見つけても近寄ると逃げられるので第3エリアに入ることにしたのだ。
しかし、初めのうちはやっぱり逃げられてしまいようやく出会えたのは異臭を放つ全身青肌の二足歩行のモンスター…いわゆる『ゴブリン』であった。ギョロッとした大きな目は赤く血走り、鼻は長く伸び、口は耳元まで開くほど大きく見えるのは牙のような歯だ。手には木の棒や石などを持っていた。腰に巻いた布で何とか恥部を隠しているが全体的に言えるのは『醜い』の一言だった。
兎に角臭いのでサッサと倒そうと戦闘に入ったのだが、何の手応えもなくゴブリンは光太1人のによって3匹とも斬り倒されたのだった。しかし、あまりの切れ味に真っ二つされたゴブリンは解体不能のただの『死体』になってしまったのだ。
「手応えは全くなかった…素振りをした感じだったよ…」
「力の差がそれほどとなると、練習台にもならんのぅ…」
「とりあえずここで1匹とは戦闘経験をしておいて第4エリアに行くか…」
「そうだね。じゃあ、スカウトスキルで探すよ」
この森林エリアにいるモンスターはウッドボア・バンガーベア・ゴブリン・オーク・オーガであった。
ウッドぼあとばんがーベアは近づいてこない。なので、オークとオーガで戦闘したのだが結果として光太同様に手ごたえを感じる暇もなく倒せたのだった。
「デコピン1発でオークの頭を破裂させるって…どんだけだよ」
「うむ。妾もここまでとは思わんだのぅ」
「オーガも初級火炎魔法の火球で倒せたしな…」
「威力は格段に違ったけどね」
「これが魔法超強化:Sの効果なんだろうな…」
確かに今回の攻撃に使ったのは、光太は剣でフィリィは素手、ゼノは魔法だったのでそれぞれの能力が発動していた。そこで光太は、別の武器に切り替えて戦うことにしてみた。
「狙うはオーガだね」
「使うのはドルガースピアか」
「肉体の強度が高いオーガで試すのには最適じゃな」
スカウトスキルでオーガの居場所を特定し森の奥に進む。
少し開けた場所にオーガがのっしのっしと重量感のある音を立てながら歩いているのが見えた。
光太は跳躍するように大地を蹴ると、一気に間合いが詰まりオーガの眼前にいた。
肉体強化の影響だろうが思いっきり踏み込んでこの身体能力はまさに以上だ。
しかし、今はそれを気にしている場合ではない。
「ガアアアアッ!」
「遅い…」
オーガが手に持った棍棒を振り下ろすも光太は軽々と躱す。
光太にしてみれば軽くステップしたくらいなのだが、オーガにはその場にいた獲物が消えたように思えたのだろう。光太の姿が無いことに自分の棍棒まで見直すほど(棍棒に光太が付いていると確認している)だ。
しかし、光太はすでにオーガの後ろを取っていた。
「ヤアッ!」
「ギャイィィィィィッ!!」
光太が放った突きの一閃がオーガの背中を貫き反対の胸板まで突き抜けていた。
オーガは雄叫びを上げ、声が聞こえなくなるころには腕がだらりと下がり絶命したのだった。
「結局は一撃で倒せたな」
「でも、解体はできるのは嬉しいよ」
「しかし、それでも槍を突き出して身体を突き抜けるとなると肉体強化だけでも楽に戦えるのが分かったのぅ」
「通常のLV.10で4~5人のパーティでフィールドボスと対等に戦えるってことだから、祝福スキルのある俺たちなら倒せるかもね」
「その可能性は高いだろうな。しかし、今は止められているからなぁ…」
1ヶ月後にはメディアに引っ張りだこになるであろう3人には危険行為は禁じられている。
今回はあくまでも実力の把握が目的であったため容認されただけなのだ。
「じゃあ、サクッと解体を済ませてもう何体か狩ってから帰ろうか」
「そうじゃな」
「まあ、僕とフィリィの出番はなさそうだがな」
苦笑する光太。まあ、無理もないだろう。2人が戦えば解体はできないほどのダメージを負わせてしまうのだから。もっとも、剣を使えば光太でも同じことになるのだが。
この後、スカウトスキルを使ってオーガ狩りをして5体倒したところで帰ることになった。
◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇
「またどえらい獲物を仕留めてきたわねぇ…」
「オーガってそんなに凄いんですか?」
「この辺りではオーガを倒せる冒険者は育ってないからねぇ。全員がエリア2止まりだったからエリア3以降ってなるとレベルが5以上は無いと戦える場所じゃないんだよ」
「そんなにレベルを上げないと…なんですか?」
「エリア3でゴブリンやオーク辺りならレベル3でも大丈夫だけどオーガなるとね」
「と言うことは…エリア3は森林エリアで統一されているのかのぅ?」
「いえ、森林エリアとは限らないけど出てくるモンスターの中に『ゴブリン』と『オーク』と『オーガ』の3匹が必ず入っているのよね。それに、オークやオーガは食べられるけど、ゴブリンはねぇ…」
「ああ…なんとなく分かります」
ゴブリンのあの臭さはなぁ…と思う3人だった。
それはそれとして、第3エリアは1つの試練エリアだと言うことらしい。ゴブリンやオークは人より知能は低いもののそれなりに頭を使って戦う。つまり戦闘に関してだけ頭を使うのだ。なのでちょっとした油断でけがを負うことも少なくない。第4エリアからになるとモンスターのレベルがグッと上がるらしい。らしいと言うのは単なる強いモンスターだけでなく特殊な能力持ちや強さはそれほどでもないが頭脳が人間並みのモンスターもいるからなのだ。
ひとしきり話した後、オーガを5体分売り店を出て帰宅する。
帰ると手紙が届いていた。それはゼノ宛とフィリィ宛のものであった。
「…やはり、顔出せと言う内容の物だった」
「妾のも同じじゃな」
「あー…うん。理解した。…で、どちらから行くの?」
「そうじゃな。妾の方は後で構わん。『出来る限り早く顔を出せ』じゃからな」
「なら僕の方を先に行かせてもらおう」
「じゃあ、ゼノの故郷に行く前に俺の家によって行こう。顔を見せるだけでいいから」
「どうせ帰って旅の支度は必要だ。僕らの方の用意ができ次第旅用の道具を買いに行ってそのまま君の家による…でどうだい?」
「じゃあ、夕飯はうちでとってそのまま泊って次の日にゼノの家に向かうってことでどう?」
「それで良いじゃろう。妾たちの荷物はそれほど時間がかからず用意できじゃろうからな」
「じゃあ、昼食の用意は俺がするから荷造りすればいいよ」
「そうさせてもらおう」
「お願いするのじゃ」
昼食はオーク肉を薄く切って玉ねぎと一緒に市販の生姜焼きのタレに漬け込む。
タレが浸み込む間に味噌汁とキャベツの千切りを作り、後はオーク肉の生姜焼きを焼いて出来上がりだ。
2人に声をかける。2人とも荷物の方はほぼ用意できたようだった。
「オーク肉美味いのぅ」
「オーク肉は普通に豚肉の最上級って感じだな」
「そうだねぇ。でも、前のどのモンスター肉よりも美味いのに前みたいに落ちそうにならないなぁ…と」
「そう言われればそうじゃのぅ」
「レベルが上がって体制が付いたのかもな」
「そうかもしれないねぇ…」
こんなところでもレベルの影響下祝福スキルの影響が出ているらしい。喜ぶべきかどうなのかはまた別の問題だが…。
「さあ、用意を済ませて買い物を済ませて光太の家に行こう」
「そうじゃな…あと10分もあれば用意は可能じゃ」
「じゃあ、家に電話を入れて置くよ」
結局、なんやかんやと用意の買い物に夕方まで時間がかかり家に着いたときは夕日は完全に落ち始めていた。
「おかえりなさい。遅かったわね」
「買い物に時間がかかってね。これお土産ね」
「美味しそうな肉ね。じゃあ、夕飯創るからお風呂に入っちゃいなさい。女の子を最初にね」
「分かってるよ」
居間に行くとじいちゃんたちがテレビを見ながらお茶を飲んでいた。
「帰ったか、光太」
「ただいま、じいちゃん」
「後ろのが仲間か?2人ともお前よりできそうだな?」
「うるさいな、兄貴は」
「フィリィちゃん。私とお風呂に入りましょう」
「良いのかのぅ?」
「良いの、良いの。覗いちゃダメよ、光太くん」
「覗くか!」
姉ちゃんは俺をどういう人間だと思っているのか?
後で説教だな。
「ゼノ君はいける口かな?」
「まあ、エルフとしては飲める歳ですが…」
「母さん。大吟醸の間口を頼む」
「あ、俺も飲むわ」
「ワシも…」
「俺も飲みたいけど…」
「「「お前はダメ!」」」
「ですよねー…」
まあ未成年だし。早く20歳になりたーい。
初めての訪問であった2人だが、家の雰囲気に飲まれてあっという間に家族と一体化していたのであった。つかの間のリラックスな空間に3人ともいつも以上にゆっくりと眠れたのであった。
次回からは2話ほど閑話となる予定です。
もしかしたら伸びる可能性も…。




