プロローグ2
日本にとって問題となったのは島国であり、海に囲まれた人の住む島が結構多いことにあった。
沖縄県を始めとして…周りの小島や淡路島などは陸路が通じてないため、救出活動が強行された。
それでも、かたくなに故郷から離れないことを決めた住民も多かった。
そして最も深刻な問題は、食料不足であった。
ただでさえ、輸入頼り自国の農村を蔑ろにしてきた『ツケ』が今回の異変で浮き彫りとなったのだ。 しかも、拡張された土地はファンタジーな住人化モンスターが住む場所しかなく、簡単に言うと…人口は増えたがそれを補う食料自給率が低いことが分かったのだ。
特に深刻なのは日本は稲作が中心だったため、小麦がほとんど作られていなかったのだ。
この5年は何とか騙し騙し…貯蓄された食物でギリギリ賄っていたのだが、とうとう底をつき始めたのだ。
これに危機感を感じた日本政府はモンスターフィールドの確保&農地開拓を進めることにした。しかし、普通にモンスターフィールドを開墾しようものならモンスターによって荒らされてしまう。モンスターを排除することが土地確保のための絶対条件になった。だが、簡単なことではなかった。
モンスターフィールドには一定の範囲が決まっていて、それぞれに『フィールドボス』が存在しており、倒すことで土地を国有地化できるのだ。しかも、ある条件を満たしていないとフィールドボスと戦うことすら関ないのだ。それは、5人以上のパーティでないとフィールドボスが現れないのだ。しかし、条件さえ満たしていれば土地確保は出来ることは証明されたのだ。
これはアメリカでの調査で明らかになったので間違いないということで、日本政府も何とか土地の確保にと乗り出したのである。しかし、土地確保をしていくうちにある『事実』に人類は気づく。モンスターの食肉が異常に美味いと言うことに…。それは、ある能力保持者の出現によって明らかになったのだ。それが、『解体系スキル』である。これにより、食肉用モンスターの存在が明確になり、それがA5ランクをはるかに上回る味があり、また食していくと肉体が若返る効果があることが分かったのだ。また、それ以外のモンスターは素材モンスターと呼ばれ、武器や防具・装飾品などに使われることも分かったのだ。それにより、土地の確保とモンスターフィールド自身としての仕様との間で利益の有無が議論されることにもなった。
このような経緯から、冒険者ギルド(協会)が設立した。
『冒険者ギルド(協会)』は、役所や役場に行けば専用スペースが用意されていて、そこで登録することになる。
しかし、ここでさらなる問題も浮上した。
『冒険者』と言う職業の危険性によって、冒険者になろうと言うもの好きが少ないことだった。
何の保証もなく命を懸ける職業などブラック以上に思われるのも頷けるというわけだ。
そこで、政府はモンスター討伐に報奨金を付け、またモンスターの種類や討伐数によって臨時ボーナスが加えられ、フィールドボスを倒すと高額ボーナスが支給されることになったのだ。
そして、当然の流れとして『冒険者保険』を各保険会社が作り、ある程度の保障がなされるようにもなった。
最後の問題として、冒険者にはある程度の適性が必要で、その基準をクリアできないと『冒険者』としての資格を得られないようになった。
これは、危険を未然に防ぐことを目的としており、特に女性や高校生以下はほとんど受からないことが判明している。
特に年齢が15歳以下は受かる確率が1割にも満たないほどである。
実はステータスは年齢によって上限が変わり、基準としてHPが24以上無いと冒険者になれないのだ。
受かれる者はたまにテレビで見かける『スーパー小学生』と呼ばれるようなスポーツ記録保持者であることが最低条件と言うところなのだ。
身体能力の高さ=ステータス能力ではあるが…HPやMP、SPなどは能力云々ではない。
生命力がHPであって、バイタリティではないため運動ができるとか運動センスがあることが生命力の高さを作る物ではない。
ここで言う『生命力』とは、昔で言うところの『元服』…『成人』を意味し、言ってみれば『心・技・体』を兼ね備えた者のことを言うのだ。
その平均年齢が15歳とされているのだが…では女性が条件をクリアできない者が多いのは何故か?
そこには現代の女性がスポーツ的な闘争本能は持っていても、生き物を殺すような闘争本能を持ち合わせていないことや、見た目重視に整形など人間が本来持つであろうバランスを崩したことも大きいとされている。
生命力とは言ってみれば…『生きようとする力』であり、『生まれながらにして持つ力』でもあるのだ。
殺されそうな時に戦う本能が少ない者、持って生まれた体を造り変えたりすると、もともとは高いポテンシャルを持っていたはずの生命力が通常よりも低くなってしまうのだ。
これを数値で表すと…『HP:18/24』みたいに本来なら『24』まであるはずの生命力に補正がかかり、『18』と低い数値が表示されたのだ。
これは『補正』のため『回復アイテム』や『回復魔法』でも『HP:24/24』には回復できないのだ。
これが、女性が受かりにくい理由になっている。
さて、ステータスの話が少し出たのでここで詳しい説明を入れておこう。
ジョブ(取得職業)…『この項目を選び、職業欄にある職種に変更が可能である。』
LVレベル…『冒険者になると、経験を積むことでレベルを上げられる。レベルが上がると、能力値が上げることができる。』
HP(生命力数値)…『成人になると安定する数値になる。レベルが上がることで数値も上がる。』
MP(魔法力数値)…『成人になると安定する数値になる。レベルが上がることで数値も上がる。』
SP(技能力数値)…『成人になると安定する数値になる。レベルが上がることで数値も上がる。』
AKT(攻撃力)…『ノーマルでは1~20が限度と言われ、スポーツをやっていないと、1~7くらいが平均とされている。レベルが上がることで数値も上がる。』
DEF(防御力)…『ノーマルでは1~20が限度と言われ、スポーツをやっていないと、1~7くらいが平均とされている。レベルが上がることで数値も上がる。』
AGI(素早さ)…『ノーマルでは1~20が限度と言われ、スポーツをやっていないと、1~6くらいが平均とされている。レベルが上がることで数値も上がる。』
MAT(魔法攻撃力)…『冒険者となることで数値が決まる。魔法を扱わない職業の場合1~5が限度と言われ、レベルが上がることで数値も上がる。』
MDF(魔法防御力)…『冒険者となることで数値が決まる。魔法を扱わない職業の場合1~5が限度と言われ、レベルが上がることで数値も上がる。』
技能スキル…『物理攻撃系の技スキルを意味し、職業によって覚えられるスキルの等級や種類が決められている。数値が見れるわけではないので憶測だが、使った回数によって新たな技を得られるらしい。』
魔法スキル…『魔法全般を意味し、職業によって覚えられる魔法スキルの等級や種類が決められている。数値が見れるわけではないので憶測だが、使った回数によって新たな魔法を得られるらしい。』
固有スキル…『冒険者になると人によって得られることがある『神の恩恵』と呼ばれるモノ。技能スキルや魔法スキルにない『ユニークスキル(特異能力)』と呼ばれている。冒険者になると必ず得られるのが『アイテムボックス』と言われるモノがあり、だが人によって持てる数の上限が違うらしい。平均は20アイテムほどと言われている。レベルが上がることで能力の効果も変わると言われている。』
まだ完全ではないが、上記のように今は理解されている。
これは、『冒険者ギルド(協会)』に登録すると貰える『冒険者のすすめ』に書かれている。
多くの謎や問題を抱えながらも一般企業は普通に営業している。
5年の歳月で種族に関係なく一般の仕事をするファンタジーの住人も増えたのは言うまでもなく、世界は確実に変化をしながらも進み始めていた。
次が最後のプロローグになります。
ようやく物語の主人公が登場します(www