第2エリアとレベル2
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第2エリア『岩場エリア』に足を踏み入れた光太たち。
入ると明らかに『空気が変わった』のだ。
「これは…魔力の濃度が濃くなったのか?」
「そうじゃな…。そして魔力の濃度が濃くなったと言うことは、モンスターにも影響があると言うことじゃな」
「モンスターがエリアごとに強くなるのはこういうわけか…」
魔力の濃度が上がると言うことはモンスターにはより豊富な栄養が与えられると言うこと意味する。
それは、モンスターの強さを上げると言うことも意味しているのだ。
「どうだい?光太」
「…いくつか反応がある。1体だけって言うと…右の方向、約300メートル先ってところかな?」
「では、妾が先頭に立とう」
100体ものモンスターを狩ってきたことで、スカウトスキルでの反応で一定の距離もなんとなく分かるようになった。
そして、初顔合わせの戦闘では、『フィリィ→光太→ゼノ』のフォーメーションも鉄板となっている。
慎重に歩を進め、歩くこと数分…。
「見えたな…やたら大きいのが」
「一瞬、岩と見違えたよ」
「確かに、光太が申したように防御が高そうじゃのう…」
「とりあえず、ヒットアンドアウェイで攻撃してみよう」
「「了解だ(じゃ)」」
適度に距離を取りながら攻撃を仕掛ける。
だが…。
「…うむ。効いておらんな」
「槍も通らない…『ロックボール』、動きは鈍いが高い防御力を持つモンスター。重力魔法を使って攻撃してくる。弱点はどこかにある『目』である」
「確かに…どこに目があるか全く分からないな」
目を凝らしてみるが、ロックボールの目は見当たらない。
何度か攻撃して反応を探るも、目の位置は分からなかった。
そうこうしているうちに…。
「「―――!?」」
足元の地面に光る円が生まれる。そして、身体にかかる重み。
これが、ロックボールの重力魔法か…。
体中に負荷がかかり動きが鈍くなる…。
「―――き、来た!?」
「防御を固めるんだ」
「ぬぐぐぐぅぅ……」
重力でうまく動けない光太たちに向かってロックボールが転がって突っ込んでくる。
「―――グハァッ!」
「―――どあっ!」
「―――ガハァッ!」
ロックボールの攻撃をまともに食らい、地面に倒れる3人。
攻撃事態は他純なものであり、ダメージも思ったよりもない…。
しかし、あの重力魔法は厄介だ…。
「でも…食らった甲斐はあったな…。目の位置が分かったよ」
「奇遇じゃな。妾もじゃ」
「すまない。そこまで余裕がなかった…」
「でも…どやって攻めるかじゃ?」
「ゼノは地形魔法が使えたよね?」
「ああ…」
「じゃあ、ロックボールの真下から突き上げるような攻撃できる?」
「そうだな…土槍と言うのが使える」
「じゃあ、それを頼むよ。フィリィはゼノの魔法が発動したら…」
「うむ。一気に突っ込んで目を攻撃じゃな」
「頼むよ」
作戦が決まり、構えを取る3人。
「行くぞ…土槍!」
ロックボールの真下の地面が揺れ、一気に突きあがる。
ロックボールは丸いので転がる程度でダメージは追っていない…だが、これで良い。
「見えたのじゃ!ハアアァッ!」
一瞬を見のがさず、フィリィは一気に突っ込みロックボールの一点に拳打を叩き込む。
フィリィが打った場所にはロックボールの目があった。
「グアアアアァァァ……」
崩れる様にロックボール粉々になる。
石が山のように残りその中心には赤く輝く球があった。
そして…。
『ピロリロリ―ン!』
3人の頭の中にそんな軽快な音が響く。
それは、レベルが上がったことを知らせる音だったのだ。
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氏名:『風見光太』
年齢:『18歳』
ジョブ(取得職業):『戦士』
LVレベル:2
HP(生命力数値):(40/40)
MP(魔法力数値):(15/15)
SP(技能力数値):(22/22)
AKT(攻撃力):15
DEF(防御力):20
AGI(素早さ):13
MAT(魔法攻撃力):8
MDF(魔法防御力):10
技能スキル:『初級剣技』『初級槍技』、『初級斧技』
魔法スキル:『―――』
固有スキル:『アイテムボックス』『スカウトスキルLV.2』『解体スキルLV.3』『調合スキルLV.2』
氏名:『ゼノ』
年齢:『67歳』
ジョブ(取得職業):『魔法使い(まほうつかい)』
LVレベル:2
HP(生命力数値):(32/32)
MP(魔法力数値):(129/129
SP(技能力数値):(10/10)
AKT(攻撃力):6
DEF(防御力):10
AGI(素早さ):16
MAT(魔法攻撃力):41
MDF(魔法防御力):30
技能スキル:『―――』
魔法スキル:『初級火炎魔法』『初級水泡魔法』『初級風撃魔法』『初級地形魔法』
固有スキル:『アイテムボックス』『天雷魔法スキルLV.1』『魔法力増強スキルLV.1』
氏名:『フィリィ・ノエル』
年齢:『17歳』
ジョブ(取得職業):『無手』
LVレベル:2
HP(生命力数値):(52/52)
MP(魔法力数値):(19/19)
SP(技能力数値):(41/41)
AKT(攻撃力):28
DEF(防御力):30
AGI(素早さ):21
MAT(魔法攻撃力):9
MDF(魔法防御力):9
技能スキル:『初級体術』『初級武術』
魔法スキル:『―――』
固有スキル:『アイテムボックス』『獣化スキルLV.1』『意思疎通スキルLV.1』
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パ^ティを組んだ影響だろうか?頭の中に3人のステータスが更新されて浮かび上がる。
ついにレベル2になった3人。そのステータスの伸びがかなり高い。
1年で上がれるレベルの平均が10とは聞いていたが…その意味が分かった気がする。
さて…話は少し戻るが、ロックボールの弱点の目は実は地面に接するようになっていたのだ。
だから、いくら攻撃しても目が見つからなかったのだ。
しかし、弱点とはいえ一撃で倒せたのはフィリィだったからだろう。
ちなみに赤い球は『ロックボールの核』と言う代物だった。
それにしても、光太の言った通り、岩場エリアは防御の高いモンスターばかりなのだろうか?
新たなエリアに3人は高揚感と恐怖を半々に持ち合わせるのだった。
「とりあえず近場でもう1体と戦闘したいところだな…」
「そうじゃな。レベル2の力も試したいしのう」
「じゃあ、スカウトスキルで調べるよ…ん?」
「どうした?」
「…スカウトスキルのレベル2の効果が分かった。地図機能と相手までの距離が分かるようになった」
「本当かの?」
「うん。スカウトスキルで索敵できる範囲だけだけど、真上から見ているような状態で見渡せるようにもできる。地図機能の状態で見るとモンスターの数や距離が表示されるんだ」
「これでマッピング機能でもあれば完璧なんだがな…」
「それは無理みたい。それに、半径10キロしか表示されないしね…」
それでも1つのレベルアップでこれほど能力が上がるとは…恐るべし『SSS』スキル。
「とりあえず…このまま直進していけばモンスターがいるよ」
「じゃあ、行くのじゃ」
「フォーメーションはこのままで…だな」
ロックボールの表示が無いと言うことは別のモンスターだと言うこと。
5分も歩くと、目の前に明らかに二足歩行すると影が見えた。
「…『ロックリザード』、岩のような鱗を持った二足歩行できるトカゲ型モンスター。武器を持って攻撃するだけの知能を持ち、防御力もなかなか高い。鱗の無い内側は並みの防御力しかない」
「とりあえず…魔法で牽制してみる。火球!」
ロックリザードの真正面に火球を撃ち込む。
ロックリザードは慌てる様子もなく手に持った棍棒で火球を殴り消す。
なるほど…知能がそれなりにあると言うのは確からしい。
「油断ならぬ相手らしいのう」
「これが第2エリアの標準なのかもね」
「来るぞ!」
「ゼノ、土礫で牽制。フィリィは右から俺は左から挟み撃ちだ」
「「了解した(したのじゃ)」」
棍棒を振り上げて突っ込んでくるロックリザード。
ゼノの土礫が迎え撃つ。
土礫は攻撃力そのものは低い。
しかし、問題は撃ち込まれる数だ。20~30発の掌で握れるくらいのサイズの土が銃弾並みの速さで飛んでいくのだ。
ロックリザードは棍棒を振ってこれを打ち落とそうとするが全てを撃ち落とせるはずもなく、何発かが当たる。
しかし、この土礫はダメージのための攻撃ではない。
そう…文字通り『牽制』のためのいわば目くらましだ。
「こっちだ!」
「グギャアアアッ!」
「―――ぐッ。押さえた。後を頼む、フィリィ」
「任せるのじゃ!」
わざと声を出しロックリザードの意識を自分に向けさせ、光太はロックリザードが振り落ろす棍棒を盾で受け止める。
その隙を突く形で、フィリィの渾身の一撃がロックリザードの鳩尾に決まる。
ロックリザードは口から大量の血を(緑色だが)吐き出して、その場所に倒れ絶命した。
「解体スキル…」
固い鱗もものともせず解体していく。
解体で採取できたのは、『ロックリザードの鱗』が86枚に『ロックリザードの牙』が2本、『ロックリザードの尻尾肉』が1つと『ロックリザードの肉』が60キロ手に入ったのだった。
まだまだレベル2の効果のほどは全容が明らかになってはいないものの、第2エリアで戦える程度には強くなったことは分かった。
これなら、次からは第2エリアを中心に活動ができると、3人は笑顔で帰路に着くのだった。




