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地球異世界で冒険をしよう!  作者: AZ
第1章 『フィールドデビュー編』
14/33

モンスター狩り(1)

良ければブックマークと評価をお願いします。

 カガミ精肉店を出た後、ジャックの武具店に顔を出す。

 そこで、グラスバードの皮と羽根を売ることにした。

 皮は3羽分で6万になった。羽根はと言うと、3羽分で12万になったのだ。

 話を聞くと、グラスバードの羽根は羽毛布団などに使われていて、最高級品として売られるそうだ。


 ジャックの武具店を出て買い物をして帰ると、夕飯を造ることにする。

 今日のメイン食材はもちろんモンスター肉である。グラスバードと言うことで肉は全部『塩唐揚げ』にすることにした。

 レバーは『甘辛煮』にして、砂肝は『ガーリック炒め』にしてみる。

 どれもこれも食欲をそそる匂いを発している。先ほどから腹の虫が泣きっぱなしだ。


「もう、我慢できんのじゃ」

「は、早く食べましょう」

「いただきます」

「「いただきます」」


 挨拶と同時に『塩唐揚げ』を口に運ぶ。ジュワっと口内に広がる肉汁。塩味が肉の甘みをより引き立て、噛むほどに心地よい肉の弾力が感じられる。


「「美味い(のじゃ)!!」」


 シンプルな感想だが、それ以上の言葉が出てこない。

 ただ言えるのは、食べたら笑いが止まらないことだった。

 本当に美味しい物を食べると、笑えるほど美味いと言うことだ。


「レバーの甘辛煮も美味しいのじゃ。レバー独特の臭みを全く感じないのには驚いたのじゃ」

「この砂肝のガーリック炒めも絶品だ。酒が飲みたくなる~」

「あ…唐揚げがもう無い……」

「嘘だろう?まだ5分も経ってないんだぞ」

「足りないのじゃ…。満足できないのじゃ」


 モンスター肉のあまりの美味さに食べ終わったことを心底悔やんでしまう。

 これは明日からのモンスター狩りは熱が入りまくるだろう。

 明日のモンスター狩りの用意をしてお風呂に入り、ゆっくりと就寝したのだった。


 次の日の朝。

 ――早朝5時。軽く体を(ほぐ)して、サンドウィッチと牛乳orオレンジジュースという軽食を済ませると、早速モンスターフィールドに向かった。


「売る分も考えて…20は狩りたいところだな…」

「できれば、いろんな種類のモンスターを狩りたいのじゃ」

「気持ちは分かるけど、ここは気を引き締めていこう」

「そうだな。僕としたことが少々ハシャギすぎたな…」


 (はや)る気持ちを抑え、今回は別ルートからモンスターフィールドに入る。

 グラスバードは狩りたいが、別のモンスターも狩りたい。

 ということで、湖周りの場所から入ることにしたのだ。


「…どうじゃ?スカウトスキルの反応は?」

「赤い点滅は幾つか…。でも、かなり遠い反応だね」

「草原のエリアは見渡しやすい分、モンスターも臆病になっているからな。ただ…『獲物を嗅ぎわける能力』は高いから、こちらに向かってくるモンスターもいるだろう」

「…急に近くに反応が出た?数は2体だ」


 スカウトスキルの反応にばらつきがある。

 ただし、近くに表れた反応は『青色』だった。


「…名前が出た。グラスバードだ。今回は相手の出方を見よう。相手の癖が分かるとこれからの戦い方のバリエーションが増やせるし」

「了解じゃ」

「良い判断だな。それで行こう」


 1分もすると、グラスバードが2羽現れる。

 俺は武器を構え、グラスバードの行動を見据える。

 確かグラスバードは飛べないが、ジャンプ力はあると言うことだったな。

 グラスバードは飛び跳ねるようにして突っ込んでくる。

 どうやら、くちばしでの攻撃らしいが…あまりに見え透いていて避けると同時に逆手でショートソード抜き、斬り込んでしまった。

 もう1羽の方も、フィリィがカウンター気味に放った蹴りで首の骨が折れて倒れた。


「つい、反応してしまった…」

「しかし…前の時よりも相手の動きがハッキリ見えたような気がしたのじゃ」

「モンスター肉の影響かな?」

「そうかもな。僕にも見えたくらいだし…」


 話しながらも解体スキルでグラスバードを解体処理していく。

 見切れたわけではなく、あくまでも動きが分かった程度ではあるが、キッドとの実践もあって動きに反応するのが当たり前になっていた。


「…ん?赤い点滅が近づいてくる。今の戦闘で気づかれたのかな?」

「血の匂いに誘われたのかもしれないな」


 ショートソードを仕舞い、槍を変える。

 点滅が収まり赤い点が大きく反応していく。


「…『ローンフォックス』が3体。別名『狩り狐』と言い、2~3匹で行動する。連携攻撃をしてくるくらいの知力がある」

「つまり…狩りができる程度にはってことだな。確実に1匹ずつ倒す方向でどうだ?」

「連携を崩す…と言うんじゃな?」

「よし、それで行こう」


 ローンフォックスは見た目は草色の狐だった。

 草原エリアに同化していてパッと見では分かり辛い。


「そう言うことか…。狩り狐と呼ばれる理由は…」

「同系色を利用しての連携となると、それほど複雑な連携は取れないかもしれないな」

「じゃが、油断は禁物じゃぞ」


 目の前に現れたローンフォックスは低い姿勢でその場に留まる。

 しかし、確認できたのは『2匹』だけ。と言うことは…。


「……」


 俺たちは黙って気配を探る。スカウトスキルの反応は何故か無い。

 つまり、俺のスカウトスキルは生命力に反応するのではなく、『気配』に反応しているのでは?と言うことが推察される。

 わずかに草が音を出したと思った瞬間、赤い点が見えた。


「――右!」


 迫りくるローンフォックス。

 俺はリーチのある槍をしならせて打ち払いに行く。

 ローンフォックスは槍を避けたが、その先にはフィリィが待ち構えていた。


「甘いのじゃ!」


 ローンフォックスは着地する間もなくフィリィの回し蹴りをくらい地面に倒れる。

 それを見ていた2匹のローンフォックスは同時に跳び上がった。


「…『風撃(ブッシュ)』!」


 跳び上がった空中での対空の合間に、ゼノが魔法を放つ。

 突風によってローンフォックスは体制を崩した。


「だりゃ――っ!」


 槍を思いっきり横薙ぎする。

 俺は2匹のローンフォックスを同時に殴り飛ばした。

 地面に叩きつけられたローンフォックスたちは体制を整えようとするが…。


「隙だらけ――じゃっ!」


 左右の飛び蹴りでローンフォックスを蹴り飛ばす。

 フィリィの飛び蹴りはローンフォックスの顎を捕らえており、衝撃で首の骨を折っていた。

 ローンフォックスは3匹とも絶命していた。


「よっしゃー!」

「ふっ…」

「やったのじゃ!」


 3人でハイタッチして喜びを分かち合う。

 これがリアルな戦闘の3回目というのは出来すぎたかもしれないが、ハマった感を感じてのハイタッチだったと言える。


「…解体スキル」


 手際よく解体し、処理出来たところからアイテムボックスに仕舞っていく。

 意外や意外。ローンフォックスを解体すると、骨や内臓もアイテム化したのである。

 グラスバードの時は骨はアイテム化せずに消えたと言うのに…、

 そう考えると、1つ気になる点があった。

 それは、『血液』である。

 もしも、アイテム化しない物が消えるのだとしたら…『血液』にも利用価値があるのでは?と思えたのだ。

 …うん。明日は瓶を持ってきて試してみよう。


「――スカウトスキルに反応が?」


 赤い点が1つ近づいてくる。

 …あれ?やけに反応が大きい気がする。


「…『エルガーシュヴァイン』。別名『怒れる豚』。凶暴で突撃攻撃をする。大きい物だと体長2メートルを軽く超える…」

「と言うか、2メートル超えているよな?」

「じゃのう…」


 エルガーシュヴァインは(ひづめ)で地面に何度も叩き、いつでも突っ込む用意をしている。

 俺たちは視線を合わせたまま睨み合う。

 逸らせば突っ込んでくるだろうから。


「視線を外して突っ込んできた足元に風撃(ブッシュ)を撃ち込んでくれ。多分バランスを崩して倒れるはずだから、後は俺が脳幹を槍で突き刺してみるよ」

(わらわ)はどうするのじゃ?」

「俺がトドメをさせるとは限らないから援護を頼むよ」

「了承したのじゃ」


 タイミングが決め手になる。

 ゼノが構えたのを確認して視線を外す。


「モフ―――ッ!!」


 エルガーシュヴァインが怒りをあらわにして突っ込んでくる。


「…『風撃ブッシュ』!」


 ゼノの魔法が、エルガーシュヴァインの進路上の地面を抉る。


「ブヒィッ!?」


 ズデ―――ン!とエルガーシュヴァインがバランスを崩してその場に倒れる。


「うおりゃ―――っ!!」


 俺は突っ込みながらも槍の柄をしっかり握り込み、身体全体で押し込むようにエルガーシュヴァインの眉間に向かって刃先を突き立てる。

 エルガーシュヴァインは声を上げることもできず、その場に倒れた。


「や…やった……」


 正直、脳幹を狙ったのは当たりだった。

 もし、他の部分を狙っていたらそれほどのダメージは与えられなかっただろう。

 それほど固い皮膚をしていたのだ。

 解体をしながら、昨日の瑠衣子さんの話を思い返していた。

 例え3割の力であっても弱点や急所を突くことで倒せる。それを実戦で体験できたのは大きかった。


「今の戦い…。運も良かった。でも…他の戦法でも倒せたと思う」

「だが、最小の動きで最大の利益は得れたんじゃないか?」

「確かにね…。でも、それで満足しちゃいけないと思うんだ」

「どういうことじゃ?」

「運や偶然に左右されないように、色んなパターンの戦法を作るべきかなって思ったんだ」

「つまり、連携パターンを増やして突発的なことにも対応が利くようになりたいと言うことか?」

「そう言うことだね」

「ふむ。確かに今のところは同種族だけで現れおるが、多種族で現れる可能性も考慮すべきじゃろう」

「じゃあ、新たなモンスターが現れる前に幾つかパターンを考えておこうか」

「そうだな」

「それが良いじゃろう」


 この日、連携パターンを確認しつつモンスターを狩り続け、気づけば当初の予定の20体を超えたのだった。

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