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ミッドナイトブルーの白い夜  作者: よがふ
第1章
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第1話

第1話




僕の名前はエルス、ケルミナの村で冒険者をやっている

冒険者といってもゴブリンの森に入り危険がないか確認、またゴブリンの巣を発見し本部に報告するのが仕事だ。




このような命がけの生活を強いられてしまった原因が、この少し青っぽい黒髪だ。

僕達人類は皆髪の毛が黒い、そしてその黒が濃ければ濃いほど良いとされている。つまり僕のような黒が薄い子供はあまり喜ばれない、ていうか正直なところ喜ばれないどころか普通に捨てられる。なんと平均して3人に1人が捨てられている。言うまでもないが僕も捨てられた。

しかし多くのこの様な捨て子達が飢え死にするようなことはほとんどないから、驚きだ。

これには人類の歴史に大いに関係がある。


人類はとても弱い、今はいくつかの小さな村に2つの街、そして人類の最も繁栄している都があるが、200年ほど前まではファミール湖の西側、現在では都と呼ばれているが、そこでしか生活することができなかった。当然のように食料不足が続きその当時の都では厳しい日々が続いていたらしい。

都は完全に山々に囲まれ、新たな土地を求めるにはファミール湖を越えるしかなかった、そこで多くの冒険者達が王に雇われ命掛けでファミール湖を渡り周辺を探索した。

その結果、ファミール湖東にどの種族の領域でもない領域を発見したそうだ。

すぐさま多くの兵士と移民希望者を送り人間の土地としようとしたが、失敗。ある種族の領域ではないといえ、多くの他種族の生物達が生活しており、か弱い人間では太刀打ちができなかったそうだ。

そこで王は多くの孤児達に目をつけた。

溢れかえっていた孤児達を一時的に保護し、また都の人々へは多くの子供を産むように働きかけた。

そして数年後に大量の孤児達をファミール湖東の地に送り、数でその土地を強引に手に入れた。当然多くの死者が出たが元々食料不足だった都の人々からしたらむしろありがたいことであったらしい。

ファミール湖東の地はハニバルの地と呼ばれ今では大農作地帯となり、多くの孤児達が働いている。


次に王が目を着けたのがファミール湖南の大森林地帯、つまり今僕が住んでいるケルミナの村がある土地だ。

ここには大量の貴重な鉱石が眠っており人類としてはなんとしても手に入れたかったが、この辺りは知性の高いゴブリンを中心に多くのゴブリンが生活しており簡単には手を出せなかったそうだ。そこで王はハニバルの地に兵士育成施設を建設、一部孤児達を本格的に兵士として育てることにした。ちなみに僕も、相棒のキーロもその施設の出身だ。


そして12年前、念入りに練られた計画により人類はゴブリンの領域に攻め込んだ。突然攻め込まれたゴブリン達は混乱し、人類は大きな損害もなく一気にゴブリンの領域の約半分を手に入れることができたらしい。

僕たちが施設で習った歴史はここまで、人類はゴブリンの領域を

半分手に入れ港町ポークルクの街とゴブリンの領域に最も近いケルミナの村を作り上げ今に至ると言う。




「全く、王様もプライドが高いよなぁ」


僕とキーロは服を濡らし、泥だらけのまま冒険者本部に報告にきていた。


「12年前の戦争は人類の大勝利とか言われてるが、そんなん嘘嘘、大ウソだ」

「ケビンさんってゴブリンの巣を見つける度にその話をしますよね」

「そりゃ冒険者どもにもっと危険意識を持ってもらうための必要儀式だからな」


ケビンさん、僕達冒険者のボスであり、冒険者本部の最高責任者である。

ちなみに髪の毛は綺麗な黒である。


「でーも、そのケビンさんの言うゴブリンキングの存在ってなんか信じれないんすよねー」

「まぁあの怪物を見て生き残ったのは本当に数えるほどしかいないしなかなか信じてもらえないのは仕方ないと思うけどな、あのバケモンは必ず存在しているし、絶対また帰ってくる」

「うーん、ゴブリンキングかぁ。もし本当に存在しているならなんでこの村を襲いに来ないんですかね?」

「彼らは賢い、きっと機会を伺っているんだろう。あとゴブリムの傷が癒えるのを待っているのかもな」


ゴブリンキングとゴブリム、破竹の勢いでゴブリンの領域を攻め続けた人間をたった5匹で蹴散らしたらしい。

ゴブリンキングとはゴブリンよりも遥かに大きいゴブリンのことであり、ケビンさん曰く最低でも4匹は存在しているという。そしてそのゴブリンキングを従えているのがゴブリムだという。


「まぁたった5匹のゴブリンに数千の命が奪われたとか公表したら大変なことになるのは分かっているが、何も人類の大勝利!ゴブリンは人類の敵ではない!、なんてそこまで言わなくても…」

「僕たちもその言葉を聞いてこの村に配属希望したのでなんとも言えませんが…」

「だからこうして私はゴブリンとの闘いの前にこうやってこの話をするのだ、12年前の悲劇を繰り返す必要はないからな」

「でももし、俺たち新米冒険者がゴブリンキングに遭遇したらどうすればいいんすか?到底逃げられないような気がするんすけど……」

「まぁ気付かれてしまったらまず逃げれないだろうな、あの戦闘力に加えゴブリンを統率する能力も半端ない。まぁつまり無茶はするなってことだ、奥地にさえいかなければ遭遇することもまぁないだろう」

「この話を聞くたびに俺、3日はゴブリンの森に行きたくなくなるんすけど……」

「安心しろ、お前らが見つけたゴブリンの巣の討伐作戦は4日後だ。今回はお前達にも作戦に参加してもらうつもりだから3日間は自由に過ごすといい」

「えっ!討伐作戦に参加させてもらえるんですか!?」

「あくまでサポートだがな、今回は人手不足で都からかなりの腕利きの兵士数人を支援に呼ぶことにしたからお前達がいてもさして問題がないであろうとの判断だ、そろそろ戦闘経験も積んでもらわないと困る」

「僕たちまだ知性がほとんどないはぐれゴブリンを2人でやっと倒せるくらいですよ……?大丈夫なんですか?」

「おいおい!エルス!なんでそんな弱気なんだよ!せっかくの手柄たてるチャンスだぞ!」

「あくまでサポートだ、荷物持ちだ。戦闘に参加してもらうつもりもないし、手柄をたてるチャンスがあれば私がもらう」

「ちぇー、つまんないの」

「いや、でもまぁ安心しました。まだ知性のあるゴブリンとまともに闘える自信無かったんで……」

「とりあえずこれからの3日間で武器防具の準備と心の準備でもしておけ」

「うす!巣を見つけた報酬金でパーっとやるかエルス!」

「僕の奢りなんでしょ…?」

「当然だろアホ!じゃあケビンさん失礼します!」





「あ、キーロ。さっきから気になってたんだがお前は頭にケツの穴でもできたのか?」




キーロは爆弾に火をつけてケビンさんに投げつけた


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