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プロローグ

 世の中には様々な娯楽というものがあって、それはインドアだったりアウトドアだったり、好みによって人は各々の趣味を作ってそれに多かれ少なかれ没頭する。パチンコにはまって人生崩壊したり、釣りで偶然大物を釣り上げたり、いやまあそんな前置きはどうでもいい話か。


 オレ、西条透ももちろん趣味をもっているが、オンラインゲームというものにはまっている。高校二年生という身分ではあまりよろしくない趣味であるのは重々承知の上だが、こればかりは仕方がない。

 

それでオレがやっているゲームがどんなものかというと、”ネクストファンタジア”――通称NF。いわゆるオープンワールド系のものだ。一つの町からクエストを受けてフィールドへ、というのではなく、広大なマップを駆けまわり、山やら海やら砂漠やらを渡って、遺跡や洞窟を探索して、レアアイテムを見つけたりボスと対決する。

 

ちょっと前までならこういうゲームはキャラメイクや装備がいまいちだったり操作性が悪かったり、無料ではそんなウィークポイントだらけなゲームだったが、NFは日本向けに全てが改良されている。リアルとアニメチックがほどよく融合したキャラ、美麗なグラフィック、手ごたえのある戦闘。

そういうわけで、日本のみならず海外でも爆発的なヒットとなった。


 そんなゲームをオレはβ版の時からやっており、ちょっとばかり課金もしちゃっているわけで、人気が落ち着いてきた今ではトップランカーに名を連ねるレベルになっていた。


 …別に友達がいないわけではない。これは強がりではなく、本当のことだ。……しかし、NFによって、完全にオレのなかでやりたいことランキングの1位が不動のものになってしまっただけだ。ただ、分かっていても後悔が微塵もでない程度にはオレも落ちぶれちゃっている。


 とにかく、操作キャラがマックスレベルの299に至り、本気でゲームをやっている層には知らない者はいない(だろう)ほどの実力者になったころ、あるアップデートに目がとまった。


新種族デービス誕生!


 人間と悪魔のハーフ。ヒューマンとほぼ同じ見た目に悪魔の角が生えた容姿で、攻撃力、魔力は高いが耐久値、体力が少ない。レベル20で必殺技悪魔召喚または暗黒武装を覚える。


 …なかなかロマンを感じる設定である。

 レアアイテムもだいぶそろえてやっていることが作業っぽくなってきている今、気分転換にサブキャラをつくってもいいかもしれない。

レベル1スタートにはなるが、同じアカウントならアイテムも共有されるし、高レベルキャラ保持者には有利なスキルをつけられる特典もあるから割りと楽に進められるだろう。


 オレはゲームを起動し、新規作成というボタンを押した。画面上にアバターが出現する。

 ヒューマン、エルフ、ドワーフ、フェアリーなどの種族をスクロールして飛ばし、一番下。オレはデービスを選択する。画面上のアバターもそれにあわせて、角の生えた優男風イケメンに変わった。


 さらに容姿を決めていこうとしたところで、性別、という項目を見て手がとまる。

 オレのメインキャラは同い年くらいの年齢の、黒髪赤眼のこれまたイケメンな男である。気分転換なんだから、別に男にこだわる必要もないだろう。ネカマとかいわれるのは癪だが。


 きれいな碧眼に腰まである銀髪、頭の左の方で一房髪をまとめた髪型。右側に小さな角が一つ。見た目もあえてロリにしてみる。

 それからそれからで設定していった結果、なかなか力作の美少女が生まれた。なんだかんだで一時間くらいたってるが、これも醍醐味だろう。


 続いて、役職。メインは大剣士だからなあ。かといって遠距離系は性に合わないし、ここは魔装士にしとくか。

 ちなみに、魔装士とは魔法と格闘が使えるジョブである。前から派手な戦闘でいいと思ってたんだ。


 そして高レベルキャラ保持者の特権、スキル付与。レベルに応じて、最大3個の様々なスキルを身につけられる。もちろんオレは3個。


 散々悩んだ結果、選んだスキルはハイジャンプ、フリーズ、フェイク。ハイジャンプは名の通り高く飛ぶ、フリーズは敵を数秒動けなくする、フェイクは一定時間に一回だけ数メートル離れたところに瞬間移動して、攻撃を確実に避けられたりする。これ決めるのにもだいぶかかってしまった。


よし、設定完了だ。これから新たな伝説を作ってやろうじゃないか。現実に戻るのはいつになるやらとかそんなことは置いといて。最後に作成完了ボタンを押し―――――――










目の前が真っ白に染まった。

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