初雪
12月、寒い時期がやってきた。
初雪は降らない。
まだまだ降らない。
寒い夜。
一人寂しい夜。
窓を眺めている。
「あぁ、寒いなあ。」
布団にくるまり、空を見てはため息をつく。
「はあ、寒いなあ。」
窓を開けて、空を見る。
白い息が空へとあがる。
寒い寒い夜。
しばらく、こくり、眠っていると、
ふわり、ふわり。
白い綿が落ちてきた。
私は思わず手をのばす。
「ああ、なんてはかない。」
綿がどんどん降ってくる。
たくさんの綿、降り積もれ!
コンコンコン。
あれ?
誰かな?
こんな時間に。
ドアを開けると若い男性。
私は聞いた。
「あなたはだあれ?」
男性は笑う。
「雪男です。迎えに来ました。」
不思議な男性。
素敵な男性。
私は真っ赤な手を差し出す。
雪男は手を握る。
どこへ行くの?
何をするの?
恐れることは何もない。
嬉しさと幸福で寒さなんて感じない
ああ。
初雪だ。
ふわりふわりと降っては溶ける。
そんな初雪私の心。
雪男に連れられて。
初雪の国へ行ってきます。
幸せの国へ行ってきます!