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【ガチャ】で記憶を失った俺、7年後に再会した親友が「お前が憎い」と復讐者になっていた  作者:
第二章「修羅の修行」

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第二十三話「血と誓い」

静寂が森に戻ってきた。


俺はその場に立ち尽くしていた。


手に残る、グレンの胸を突き刺した短剣の生々しい感触。

鼻腔にこびりつく血の匂い。

そしてガチャスクリーンに映し出される二つの金色の光。


(SR【鋼鉄の皮膚アイアンスキン】)

(SR【捕縛のチェーン・バインド】)


課題は、クリアした。

だが俺の心には、達成感など一欠片もなかった。


「――どうやら、貴様は最初の『宿題』の答えを見つけられたようだな」


不意に背後から、低い声がした。

振り返るといつの間にか、そこにボールスさんが立っていた。


彼は俺の隣に立つと、倒れているグレンの亡骸を静かに一瞥した。

そして、俺の血に濡れた顔と、ガチャの結果が表示されたスクリーンを見比べる。


その瞳に称賛の色はなかった。

ただ、深い、深い憐れみのような色が浮かんでいた。


「おめでとう、アーサー・ベル」


彼は静かに言った。


「今日、貴様はやっと、あのモードレッドの背中が見える場所までたどり着いた」


「え……?」俺はか細い声で聞き返した。「人を殺した、この俺が、か?」


「そうだ。だからこそだ」


ボールスさんは俺から目を逸らさない。


「悔しいか、アーサー」


「……当たり前だ」


俺の目から、堪えていたはずの熱いものがこぼれ落ちた。


「俺は、誰も殺したくなんてなかった! だけど、殺さなければ俺が殺されていた! こんなのが、俺の目指すべき強さだなんて、絶対に認めねえ!」


魂の叫びだった。


俺のその叫びを聞いたボールスさんは、初めて静かに頷いた。

そして、スクリーンに浮かぶ漆黒の鎖を指差した。


「その鎖を見ろ。それは、貴様の血塗られた魂の叫びに、スキルが応えた結果だ。

それは、貴様が心の底から『殺したくない』と願った、何よりの証拠でもある」


「……!」


「いいか、小僧。お前のその甘ったれた理想を本当に実現させたいのなら、今のお前では力が圧倒的に足りん」


俺は手のひらの上に、(SR【捕縛の鎖】)を具現化させた。


闇そのものを練り上げたかのような、禍々しいほどに美しい漆黒の鎖。

鎖の一つ一つには古代のルーン文字のようなものが刻まれ、それはまるで罪人の魂を縛るかのように、静かに冷たい光を放っていた。


ずしりと、重い。

それは、ガチャの対価となった命の重さだった。


俺はその血塗られた鎖を、強く、強く握りしめた。

そして師の前で、新たな誓いを立てる。


「俺は、もう誰も殺さない」

「この力を使って、必ず殺さずに勝って見せる」


その血に濡れた誓いを聞いたボールスさんは、初めて満足げな笑みを浮かべた。


「よろしい。ならば、修行の第二段階だ」


彼はその場でゆっくりと拳を構えた。


「今から俺がお前の修行相手になる」


「……え」


「その鎖、使ってみろ。そして、この俺を捕縛してみせろ」


次の瞬間。

ボールスさんの拳が、俺の腹部にめり込んでいた。


「ぐ、はっ……!」


息ができない。

俺の体はまるで木の葉のように、数メートル吹き飛ばされた。


「修行はもう始まってるぞ」


ボールスさんは一切手加減する気はないようだった。

彼は倒れた俺に容赦なく近づいてくる。


俺は必死に鎖を振るい応戦する。

だが俺の素人同然の鎖の動きなど、この生ける伝説に通用するはずがなかった。


鎖は軽くいなされ、いとも簡単に懐に入られる。

そして殴られ、蹴られ、投げ飛ばされ、俺は何度も地面に叩きつけられた。


「目に頼るな!」


朦朧とする意識の中、ボールスの怒声が響く。


「相手の息遣いを、筋肉の動きを、闘気の流れを、その全身で感じろ! そして、次に何をしようとしているのか、考えろ!」


痛みで意識が遠のきそうになる。

だが俺は、倒れても、倒れても、立ち上がった。


そしてただひたすらに、鎖を振り続けた。


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