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【ガチャ】で記憶を失った俺、7年後に再会した親友が「お前が憎い」と復讐者になっていた  作者:
第一章 古代遺跡編

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第十二話「新たな決意」

「ぼーっとしている場合か!」

「遺跡が崩れるぞ!」

「急げ、撤退だ!」

ボールスさんの怒号が、崩落の轟音を切り裂いて響き渡る。


俺は、呆然とした意識を引き戻され、何とか立ち上がった。

周囲では、天井や壁が巨大な岩塊となって、次々と降り注いでいる。

世界が終わる、というのは、きっとこういう光景なんだろう。


「ケイ! エレイン! しっかりしろ!」

俺は、意識が朦朧としているエレインを背負い、ケイは砕けた盾を手に、ふらつきながらも立ち上がった。

だが、出口へと続く通路は、既に巨大な瓦礫で塞がれている。


「クソッ、逃げ道がねえ!」

「案ずるな!」

俺たちの前に立ちはだかったボールスさんが、叫んだ。


彼の全身から、先ほどとは違う、静かだが力強い闘気が立ち上る。

ユニークスキル【獅子奮迅】の効果時間の3分間は、もう尽きたはずだ。

だというのに、この人の力は、まだ底が見えない。


「道は、俺が開く!」

ボールスさんは、その巨腕に【轟雷の篭手】を再び装着すると、崩れ落ちてくる巨大な岩塊に向かって、真正面からそれを叩きつけた。

ゴウッ!と、雷鳴が落ちたかのような轟音が響き、岩塊が、まるで小石のように粉々に砕け散る。


「行くぞ! 俺から離れるな!」

ボールスさんが、文字通り、道を切り開きながら突き進んでいく。

俺はエレインを背負い、ケイは砕けた盾を手に、必死にその後を追った。


背後で、研究所だった場所が、完全に崩落していく音が聞こえる。

「あそこだ! 飛び込め!」

ボールスさんが指差したのは、さっき俺たちが通ってきた、祭壇のある遺跡の中枢ドームへと続く通路だった。


俺たちは、なだれ込むようにして、その通路へと転がり込む。

その直後、俺たちの背後で、通路そのものが完全に崩落し、入り口を塞いだ。

俺たちは、間一髪で、遺跡の中枢ドームへとたどり着いた。


遺跡の中枢ドームは、不思議なほど静かだった。

外で研究所が崩落していく轟音が、まるで嘘のように、分厚い壁に遮断されている。


俺たちは、ようやく訪れた安息に、へたり込むようにして座り込んだ。

「二人とも、大丈夫か」

俺の問いに、ケイは、砕けた盾の残骸を抱えたまま、力なく頷いた。

その腕に残るモードレッドに受けた傷は深く、出血は止まっていない。

エレインは、魔力が尽きかけているにも関わらず、最後の力を振り絞り、ケイの傷に治癒の光を当てていた。

ボールスさんもまた、【獅子奮迅】の凄まじい消耗を隠すように、目を閉じて瞑想している。


俺は、自分の体を見下ろした。

多少の切り傷や打撲はある。

だが、動けないほどの深手ではない。

この場で、一番動けるのは、皮肉にも、一番無力だった俺自身だった。


俺は、震える足で立ち上がり、瞑想しているボールスさんの前に、膝をついた。

「ボールスさん」

俺の声に、獅子はゆっくりと目を開ける。

「俺を・・俺を、強くしてください」

俺の声は、震えていた。


悔しさと、不甲斐なさと、そして、未来への渇望で。


「俺は、何も分かっていませんでした。」

「自分の力が、どれだけ未熟で、中途半端なものだったのかを」

「あの男に勝つために、そして、俺の大切なものを、今度こそ守り抜くために」

「俺に、本当の戦い方を教えてください」


俺の言葉に、彼は何も答えなかった。

ただ、その鋭い瞳で、俺の覚悟を値踏みするように、じっと見つめている。


沈黙が、落ちる。

一秒が、永遠のように長い。


やがて、彼は重々しく口を開いた。

「貴様には、才能がない」

それは、あまりにも無慈悲な、事実の宣告だった。




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