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「20年歩んだ道」

 約20年間生きてきた。その間には様々な選択肢があったはずだ。その中でどれだけ後悔の無い選択をしてこれただろう。

 そもそも、後悔の無い選択とは何なのだろうか。その選択をしたことによって成功した。これはそうであろう。

 ただ、このように後悔の無い選択を定義すると、世の中で成功者と謳われる人々のみが後悔していない。すなわち、世界中のほとんどの人々が自分が歩んできた選択を後悔していることになってしまう。これは一理あるのかもしれないが、人々が心の中に持っている「価値」は多種多様なはずだ。それを考慮すると、上記の定義は狭すぎるように感じられる。

 それを言うのであれば、成功とは何なのかという話にもなってしまう。ここで出てきた成功者とは世間一般的に言うお金持ちのことを指しているつもりだ。勿論、彼らは選んだ道に存在した様々な障害をなぎ倒し、己の力で掴んで得た地位のはずなので尊敬の念を抱いている。もし、その地位を正攻法で得ていなかったり、その地位を用いて自由気ままに他者を攻撃したり、自分を上級国民だと勘違いするような輩にはリスペクトを感じるまでもないのだが。

 成功を世で言うプロや職人という言葉で表したとしても、それの行き着く先は他者よりも圧倒的に高い評価。それを表すのがお金であろう。

 なので、成功というものを考えたときに、ある道のトップに立つことがそれであるとしたとしても、巡り巡って金の多さというものに行き着くのではないかと感じる。世の中、金がなければしたいこともできないのだから、すべての評価の先に金があるのは仕方のないことかもしれない。しかし、両目が円になっているような人間にはなりたくないとは心の底から思う。


 色々と思うところはあるのだが、ここでは後悔の無い選択を、その選択をしたことで成功したと自身が感じたというように定義しよう。これにより、曖昧ではあるがその道のトップにならずとも、自身が満足いく結果が得られたという人々の選択を無下にはしていないことになるはずだ。

 

 選択肢に対する評価基準が定まったところで、自身のまだ短い約20年という中で起きた選択について振り返ってみよう。

 幼少期から振り返ってみるとまず大きな選択というのが、サッカーを習い事として始めるということだ。これは地域のサッカー少年団というような団体に属するようになったという意味である。これは当時の幼稚園の友達に誘われて、なんとなくで入ったものだ。

 これに関しては、サッカーを始めたことは後悔はしていない。しかし、辞めたタイミングは後悔をしている。小学校1年生から始めたが、最初はお遊びのようなものだった。その中でも礼儀や社会のルールを指導してくれた当時のコーチにはとても感謝している。そのお遊びの中では、上手いとか下手という概念は無かった。ただ、純粋にサッカーを楽しむだけ。だから僕らのチームはなかなか強くなっていかなかったのかもしれないが、その時期は心の底からサッカーを楽しんでいたはずだ。けれども、スポーツをやっている以上勝敗は付いて回るもので、才能の無い僕が戦犯になることも多くなった。その現状を嫌い、反骨心で努力もした。それでも、才能の無い者が中途半端な努力をしたところで本物には勝つことはできなかった。その状況に子供ながらに心が折れた。

 それでも辞めなかったのには理由がある。ある日、父が言った言葉がある。

「諦めるな。何が何でも最後までやり切れ。」

 一言一句合っているかは定かではない。しかし、このような内容のことをよく言っていた。父の中にこのような信念があったのかもしれないし、これで強く生きてきたのかもしれない。もし、この声をかけるのが僕でなければ、この言葉はプラスになっていたであろう。ただ、当時の僕にとってこの言葉が重しになっていた。

 この言葉が理由で辞める相談をすることができなかったのも事実である。ただ、少年団にいる仲間も皆いい奴だった。だから、そいつらの中に居たかった。

 けれども、その気持ちも僕を傷つける。本当はずっと笑いあっていたい、馬鹿なことしていたい仲間だった。けれど、僕がみんなの足を引っ張るせいで、彼らは試合中、僕に罵声を浴びせさせることになってしまった。それはスポーツに対して本気でやっているから仕方のないことだ。けれど、素敵な彼らの顔を怒らせてしまっているのが自分であるという状況に胸が痛んだ。

 最終的には、けがの原因となるものを除去するために手術をすることになり、それのため長期的にサッカーができなくなるため、少年団を辞めることになった。

 皆いい奴だから、感謝の言葉と「頑張れよ」という言葉を送ってくれた。これらの思い出は、皆の記憶から消えようと、今でも僕の心の中には大切にしまってある。

 だから、結果的には笑顔で送り出してくれたということもあって良かったのかもしれない。けれども、あのときの自分の心を素直に誰かに相談できることができていたのなら、今のような自分ではないのかもしれない。

 手術という丁度良い口述ができたため退団するような行動したことを悔やんでいる。それは仕方の無かったことにしろ、自分で決断していないのだから。

 この経験は、後の自分の決断方法にも響いていった。


 中学生になった。当時は全校生徒が部活に属さなければならないという校則のため、部活探しに難航した。本当なら卓球とか違うスポーツに挑戦したかった。

 けれども、少年団当時の友人にサッカー部に入らないかという誘われたため、なあなあで入ってしまった。本当は自分で選択するべきだった。そう思うが意外とこの選択は間違っていなかったのかもしれない。

 本当に、出会う人には恵まれて素晴らしい仲間とまた出会えた。サッカー自体は言うまでもないが。けれども、自分の実力が客観的に理解していたため、どれだけ批判されたり、馬鹿にされても苦しくなかった。それが自分なのだと自分も認めていたのだから。

 今回は、途中で辞めることなく中体連まで続けることができた。ただ、本当にサッカーに真剣に向き合えていたかというとそうでもなかったのかもしれない。

 確実に無駄な時間だったとは言うことはできない。しかし、他者の言葉に影響されて、そのときの自分に正直になれなかったことは後悔している。


 ここまででは生まれてきてから15年間のことしか振り返っていないが、成功体験は少なかったのかもしれないが、ここにも出てきてはいないが素晴らしい人たちと出会えたのだなと感じる。彼らが僕のことを忘れようと、僕は彼らと過ごしてきた思い出を忘れないようにしたい。

 けれども、過去を振り返るというのは成功体験の少ない自分にとっては苦痛を付きまとうもので、これ以上はよしておこうと思う。

 

 他者から見れば無駄のような15年間だったのかもしれない。実際そうなのかもしれない。けれども、もっとミクロで振り返ってみれば、濃密な時間を過ごせていたのだと思うし、そう思いたい。

 今までの約20年間を無かったことにすることはできない。だからこそ、他者と「比較」して今現在不利な部分だったり、有利なところもあるのかもしれない。けれども、今回この文章を書き殴ってみて思ったのはそんなことではない。

 人はいろんな選択肢を乗り越えなければならないし、できることなら成功できる道を選びたい。もしくは楽な道を。そのためなら、人や物を頼り、安直な考えで選択してしまうのかもしれない。

 けれども、本来であれば他人がどうこう言おうと自分の道は自分で選ぶものだ。そんな綺麗ごとのようにも思える言葉を、これからの限りある人生の中で少しでも実行できればと思う。


 いつも悪であると思っていた「自己嫌悪」。それは時として、自分を客観的に見させてくれるのかもしれない。今回感じた前向きな思考がいつまで続くことだろうか。

 これからの人生がどう転ぼうと、天寿を全うするその時まで良くも悪くも自分らしくいたい。


 

 ちなみにこの文章を執筆している日に眼科に行ったのだが、薬を2個ももらう羽目になってしまった。目薬なのだが。精神科・心療内科にも通院しているため、薬が計4個になってしまった。目薬と錠剤を一緒に数えるのはいかがなものかと思うのだが。

 天から選択を与えられる前に、健康面で倒れることがないようにしないと。

 まあ、自分の体に気になったことがあったら病院に相談するのが一番いいと心から思えた日だった。本文とは関係ないかもしれなかったが。

 今日も生きられた。

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