第81話
前話と前々話をちょっと修正しました
本筋は変わってないので読み返さなくても大丈夫です
「さーて、それじゃあ闘技大会に向けて準備していこうか……」
といってもできることそんなに無いんだけども。薬使えないしね……今できるのはlv上げと経験を積む作業だね。
ちなみに本日は月曜日だけど学校は無い。土日文化祭だったからね、月火は休みになった。そして今日の午前はアップデートもあり……オシャレ着も実装された。
「早速、どんなのがあるか見てみよう」
確かストレージにカタログが届いてたはず……このカタログはそのプレイヤーのパートナーが着れる服しか載っていないから便利。それでもかなり分厚いけど。
「ライムとルベリーはどの服が良い?」
「メキュ?」
「ノロォ?」
私はカタログをライムたちに見せた。結構色々あって面白いんだよね……そして私はオシャレは得意ではない。だからライムたちに選んでもらおうと思ってね。
(こういうのはチェリーの方が得意だろしね……チェリーのパートナー全員服着れそうに無いけど)
インディーたちも進化を重ねたら人っぽくなるのかな?想像つかないけども……民族衣装が似合いそうとは思うけども、インディアン系のやつが特に。
「メキュ」
「ノロォ」
「おっ、決まった?」
私はライムが指差しているところを見た……そして一瞬固まった。えっ、その服……
「メイド服だけど……それで良いの?」
「メキュ」
「ノロォ」
ライムとルベリーが指差していたのはメイド服。ただタイプが違うね、ライムはオーソドックスなヴィクトリア風ってやつ。ルベリーはゴスロリ……いや、地雷系って感じのメイド服を選んでる。個性はあるけど結局はメイド服なんだよなぁ……
(にしてもなんでこれ……って、多分あれの影響か)
あれっていうのは私がライムたちの暇つぶし用に用意した本。あれの中に確かメイドの立身出世物語があったんだよね……そしてそれがライムたちの1番人気。絵本系が好きかな?って思ってたレモンやアセロラもガッツリ読んでたんだよね。あー、納得。
「まぁ、選んだなら何も言うことはないね……うっ、高い」
全員分用意したら貯蓄の7割が消し飛ぶ。しかし普段頑張ってもらっているライムたちにご褒美をあげる絶好の機会……貯蓄なんて知ったことか!
(普段から貯蓄は消し飛んでるんじゃい!)
私はポチとカタログを操作して購入した。お金がチャリン♪チャリン♪とお金が減っていく音がなった……誰だこんな効果音を付けたやつ。
「買ったものはステータスから着せられるみたいだね。ほい」
私はライムとルベリーに服を着せた。うん、可愛い。よく似合ってる。
「メキュ♪」
「ノロォ♪」
ライムたちも大満足な模様で……次はスチンとこ行くか。なーんか流れ的にメイド服になりそうだけども。
そんな私の考えは的中した。残りの皆もメイド服だった……各々個性を出してきたけどね。表にしてみるとこんな感じ。
ーーーーーー
ライム ヴィクトリア風
レモン アキバ風(黄)
スチン 水着風(青)
アセロラ チャイナ風(赤)
プルーン 騎士風(水色)
ルベリー 地雷風(紫)
メロン 和服風(緑)
ーーーーーー
見事にバラバラ……スチンのは本当にそれで良いのか聞いたよね。水属性の子だから?
「まぁ、下は普通のスカートだったから安心……上はビキニだけど」
私に似てる容姿だから割と複雑な気分……あっ、レンシアとチェリモは今のままだと服が着れないので、今はホワイトブリムのカチューシャを付けてる。この子たちはあの本読んでないから周りに合わせたかな?
あとメイド服はカラー変更できたので、変更した。ライムは……白にすると微妙だったので普通のまま。代わりにルベリーが紫に変更した……ルベリーも黒より紫の方で満足してる。
「ふぅ……また金策しよ」
レンシアのlv上げのついでにね。今日は新しい場所に行こうかな……色彩の迷宮は今行く理由が攻略する以外に無い。素材も充分どころか腐るほどある。
「メロンの時に集め過ぎた……」
あとあそこモンスターの強さが丁度良いからさ。レンシアとチェリモがあと1回進化して、攻撃能力が増えたら試すがてら攻略しようと思ってる……決して飽きたから行かないわけじゃない。飽きかけてはいるけども。
「雷鳴の小砂漠と旧ノーステルマもまだ良いし……」
レンシアの相性が良さそうな場所が良いよね……なら西のフィールドに行ってみようか。新しい町へ進むためのフィールドに。確か名前は……
「惑わしの大砂丘だったかな?」
◇
惑わしの大砂丘。ウエストリアンとその先の町の間に広がる広大な砂丘地帯。日中は遮るものの無い陽の光により身体が燃え上がりそうなほど暑く。夜は逆に身体が凍りつき凍死する程に寒くなる。また広大な砂漠は高熱により蜃気楼が発生、方向感覚を狂わせ知らないうちに遭難させる。
更に出現するモンスターも遭難させてくるような能力を持っているため油断ができないマップとなっている。
「装備強化の暑さ対策も貫通してきてるね……」
それにしても広い砂漠だね。東西南北の各町から次の町へ行くフィールドは、これまでのフィールドに比べて広大……簡単には攻略することはできない。そのためかフィールドのあちこちには安全地帯的なエリアがあり、モンスターから襲われずログアウト可能、一方通行ではあるが町へ帰れるポータルがある。
(ここの攻略は骨が折れそうだね……)
とりあえず今日は何処かの安全地帯へ辿り着くことを目標にしよう。私はサクサクという足音を鳴らして陽炎揺らめく砂漠に踏み出していった。
今回のメンバーはライム、レモン、プルーン、ルベリー、レンシア。プルーンのおかげで装備の耐性を貫通してきた暑さもだいぶマシになってる。
「生き物の姿が見えないね……隠れてる感じか」
レンシアの種族的に土属性の中でも砂はステルスに長けてるタイプなのかな……でもそろそろ何かしら出てくるかな。私がそう思ったのがトリガーになったのか、地面が静かに揺れ始めた。揺れは次第に大きくなり砂埃が出てきて、私たちの3m先から砂を吹き飛ばしながら何かが飛び出してきた。
「ピルルルルル!」
地面から現れたのは丸太ほどの太さのミミズ。全身を菱形の鱗のようなもので覆っており、丸い口には無数の歯が見えている……一発目がキモい寄りかよ。てかミミズを久しぶりに見たな。進化する前のレモンが良く倒してた……懐かしいな。
「ピルルルルル!」
ミミズが頭をボゴォと膨らませる。そして口から大量の砂の弾幕を放ってくる。
「ヒヤァ」
砂の弾幕をプルーンが氷の盾で防ぐ。弾幕は威力はそこまで無かったためプルーンの守りを破ることはできなかった。
「ノロォ!」
「ピ、ピルルルル……!」
プルーンが防いでいる隙に、ルベリーが《吸命呪鎖の呪い》でミミズの動きを縛った。ミミズは身を捩り呪いの鎖から抜け出そうとする。そんな隙を逃さずにプルーンとレモンが攻撃を放つ。
「ヒヤァ」
「ビリリリ!」
プルーンが投げた氷の槍がミミズの鱗を貫き、氷の槍を伝ってレモンの電撃が体内を焼き焦がす。ナイスコンビネーション。
「ピルルル……」
「うわ、まだ生きてる。結構しぶといな」
ミミズはプスプスと身体から煙を出しても倒れなかった。呪いの鎖も効果時間が切れて消失していきミミズは自由になった。
「ピルルルルル!」
自由になったミミズは地面へ潜ってしまった。うわ、面倒な……ただ振動は感じるし砂埃で何処にいるかは分かる。
「ピルルルルル!」
あちこち移動していた土埃がボワ!っと大きくなると、そこからミミズが大きく口を開けて向かってきた。だけど場所が分かって入れば回避は可能。全員回避しレモンとプルーンは更に攻撃を食らわせる。
「ノロォ!」
MPを回復させたルベリーが再びミミズの動きを縛る。また潜られると厄介だから動きを縛っているうちに総攻撃!
「ピルルルル……」
総攻撃でHPを削り切られミミズは遂に倒れた。呪いの鎖が消えかけてたからギリギリだったね……
「スケイルアーマー・サンドワームっていうのか……素材は特に面白いものはないかな」
強いていうなら硬砂結晶ってアイテムかな。スケイルアーマー・サンドワームの体内で生成された砂の結晶。砂が固まった物体ではなく特殊な体液により変質し、水に強く鉄よりも硬くなっている。とはいえ砂の塊であることには変わりは無く、薬や武器に使うのは難しいかな……
「スナァ」
「ん?レンシアこれ欲しい?」
私が硬砂結晶をストレージから出して見ているとレンシアが興味を示した。んー、この感じは多分食べたいんだろうけど……あいつの体内にあったものなんだよね。
「一応……ライム、これ浄化して」
「メキュ」
浄化液で綺麗にしてからレンシアに渡す。レンシアの身体にズズズと硬砂結晶が飲みこまれていく……流砂に吸い込まれるみたいに消えていったね。
「数集めなきゃか……もっと効率的に倒せるようにならないとだなぁ……」
こういうところを最適化させていくのが面白いんだよね……スライムは頭使わないと戦う時間が伸びがち。
(対人戦に向けて戦闘のカンってやつを研いでおこう)
あと今度こそ面白い素材が手に入りますように……収穫無しは厳しいので。




