第74話
本日、進化回
『個体名:ルベリーのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』
素材集めすること1時間。それなりのlvかつ量のモンスターたちと戦って経験値を稼ぎまくったからか遂にルベリーの進化がやってきた。ルベリーは結構連れ歩いていたからね……さて進化先はどんなのかな?
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進化先
▶︎アヴェンジャー・スライム
復讐心の塊。攻撃してきた敵の息の根を止めるまで執着し追い詰める
複数の呪いを操り敵をジワジワと弱らせ苦しめる戦い方を得意とし、自身が受けた攻撃分の痛みを敵へと返す
スライムの中でも危険なスライムであり、発見され次第に警戒対象として監視される
▶︎デスペリア・スライムヒューマ
人に近づきたい、人になりたいと願った闇属性のスライムの進化先
主人に愛され、主人を深く信頼していないと進化先に現れない
人に近くなったことでより繊細な呪いのコントロールが可能となり、愚かな敵に絶望を与える
人とモンスター。その境目に至る可能性をもつ
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上の進化先の説明怖すぎ……監視だけで討伐については無記載ってことは戦闘を仕掛けるのもアウトってことだろうからね。出会いたくないな……スライムヒューマの方は上に比べればそんなに怖くないね。
早速進化……は危ないので一旦トンネルへと避難してから進化させた。
「ノロォ♪」
進化したルベリーの見た目はいつも通り私似。ただ身長がかなり小さい……レモンやアセロラよりも頭1つ分くらい低い。そして今は私にガシッとハグしてきている。苦しくないけど動きにくい……まぁ、いいや。とりあえずステータスを見よう。
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ルベリーlv1/60
種族:デスペリア・スライムヒューマ
(第3進化)
HP:150/150
MP:230/230
スキル
《悪食》《打撃耐性・Ⅱ》《呪い無効》
《吸命呪鎖の呪い》
敵の動きを縛り、生命力を吸収する呪いの鎖を発生させる呪い
奪ったHPで自身のHPを回復することができる
《堕落呪歌の呪い》
聞いた者の力を削ぎ、気力を失わせる呪いの歌
歌い続けることで効果は続き、対象は自由に選択できる
《怨念昇華》
周囲の怨みや恐怖などの負のエネルギーを吸収
自身のMPに変換することができる
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………………強くね?スキル数は他の子たちと比較して少ないけど。1つ1つがヤバいんだけど……
(スキルだけ見たらうちの子の中じゃトップだね……)
とはいえ何かしらデメリットはあるだろうね。ただ強いスキルとかあるはず無いし……ということで狩りを再開し、ルベリーの能力を確認することにした。
「ノロォ!」
モンスターたちに向けルベリーが手を振ると地面に黒い渦がモンスターの数と同じだけ出現。そこから黒い鎖がジャラジャラと伸びてモンスターたちを拘束していった。
拘束されたモンスターたちは抜け出そうと暴れるが、鎖に体力を吸われているからか拘束が緩むことはなかった。
「拘束力ヤバ……ってMPの消費重!?」
ルベリーのステータスを見れば8割近くのMPが無くなっていた。やっぱりデメリットがあったか……物凄く燃費が悪いっていう。
「とりあえずこれ飲んでおいて……」
「ノロォ!」
アセロラとプルーンが動けないモンスターたちをボコボコにしている隙に、私はルベリーにMP回復丸薬を飲ませておく。これ普段は売る用を多めに作ってて、自分たち用に溜め込んで無かったんだよね……ルベリーの消費が重いし自分たち用の生産数も増やすか。
「次は歌の方をお願い」
「ノロォ!」
MPが回復したら《堕落呪歌の呪い》を使ってもらった。ルベリーは気合を入れると歌い始める。
「ノロォ〜♪」
ルベリーの歌は可愛らしくも何処か怖さを感じさせる音程とリズムだった。モンスターたちの身体には薄らと黒いモヤが纏わりつき、モンスターたちの動きが鈍くなっている。こっちはそこまでMPの消費は多くないね。ただ……
「ノロォ〜♪」
「これ歌い続けないとダメなのか……」
そして歌い続けている間もMPは消費し続ける……それ考えると消費重いな。
(随分と癖のある進化したなぁ……)
《怨念昇華》があるからなのかな?こっちはパッシブみたいで勝手に発動している。戦闘中は相手が負のエネルギーを出してるのか地味に回復できている。あとこれ面白いのが呪われている相手が多いと回復量が増えるんだよね……多分呪いでマイナスエネルギーが増幅されてる。それでも消費をカバーし切るのは無理だけど。
(沢山呪ってマイナスエネルギーを増やす……酷いマッチポンプだ)
こうしてルベリーは対集団特化のデバッファーになった。メロンの誘引と合わせるとまるで食中植物のように敵を捕獲できる……これレベリングにおいて最強コンボでは?
「この調子ならメロンも進化させられそうだしね……本当に凄い寄ってくるよ」
今後レベリングするなら虫系モンスターが居るところじゃないと満足できなさそう……ライムたちが進化を重ねてサクサク倒せるようになってから戦闘が楽しくなってきた。
(まっ、明日は時間無くて戦闘できないんだけど……)
平日は殆ど生産に回すだろうからね……こっちの方が性に合ってるし好きだから良いんだけど。
「石化は特に面白そうだからね……期待を膨らませてくれてるんだから素材沢山落としてね?」
「「「キチチチチ!?」」」
私がニッコリと笑顔を向けたらペトリファイ・シカルゴラーヴァたちがビビるような声を漏らした気がする。えっ?もしかしてドン引きされた?
「ムカつくから燃やせ」
「メラ」
私は無慈悲に焼却処分を命じた。お前らは黙って素材になれ!
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『個体名:メロンのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』
「プラァ……」
ルベリーを進化させてから更に時間が経ちそろそろ帰るか考え始めた頃、メロンも進化できるようになった。経験値がっつり稼いだからね……さぁ、メロンの進化先は一体どうなったかな?
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進化先
▶︎ユーフォリア・スライム
自らは動かず周囲を誘惑し陶酔させ、自らの忠実な手駒へと変えてしまうスライム
発生させる匂いに多量の誘惑成分が含まれており、耐性が無いものが吸引すると誘惑される
一応植物属性のスライムではあるが、植物関係のスキルは消失してしまっている
なお、野生で発見されると優先討伐対象となる
▶︎フローラル・スライムヒューマ
人に近づきたい、人になりたいと願った植物属性のスライムの進化先
主人に愛され、主人を深く信頼していないと進化先に現れない
人に近くなったことで香りを細かくコントロールでき、広範囲の敵を誘惑し苦しめる
人とモンスター。その境目に至る可能性をもつ
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おい、香りに特化したら植物要素消えるんかい!うちの農業要員が居なくなるわ!最近軌道に乗ってきてるのに!
「フローラル・スライムヒューマも植物についての記載無いけど……こっちも消えてたら表記があるでしょ」
少し不安があるけど進化開始した。進化したメロンはライムと同じくらいの身長で、すっごい眠そうな目をしていた。あと頭と髪、下半身のあちこちに桃色と黒色の蕾が付いていた。若干アルラウネを彷彿とさせる見た目だね……効果に関係する花なのか
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メロンlv1/60
種族:フローラル・スライムヒューマ
(第3進化)
HP:200/200
MP:210/210
スキル
《悪食》《打撃耐性・Ⅱ》
《種子作成・Ⅴ》《光合成・Ⅳ》《罠作成・植物》
《酒肉華の香り》
敵に誘惑と酩酊を与える匂いを放つ華を咲かす
効果は長時間嗅ぐほど強力になる
味方には効果は無く発動は任意
《暗黙華の香り》
敵に盲目と沈黙を与える匂いを放つ華を咲かす
効果は長時間嗅ぐほど強力になる
味方には効果は無く発動は任意
《品種改良》
植物の品種改良を効率的に行える
多少無茶な掛け合わせも可能
成功するか失敗するかは結果次第
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品種改良。これは沼だなぁ……植物系素材限定とはいえ結構な種類がある。てか新規スキルに関しても酩酊、盲目、沈黙は何処から?
「《種子作成》用に色々与えてたから?」
市場に出回っているよく分からない種も与えてたからね……王都は色々なものが集まるから仕方無いけど。
「一応、危険なものじゃないってことは検証して与えてたけど……分からん」
育ててから取り込ませれば良かったかな?でもそれだと時間かかっただろうし仕方無いか。とりあえずこれで今日の目標は達成だね。
ちなみに能力チェックに関しては帰り際に行った。《酒肉華の香り》は発動時に身体の桃色の花が開花。《暗黙華の香り》は黒色の花が開花して発動。それぞれ半径25m以内のモンスターに効果があった。《酒肉華の香り》の方は誘惑と酩酊無しの誘引効果はそれ以上ありそうだったけどね。これはルベリーとは違った意味でデバッファーになってくれたから良い進化先だったと思う……強いて1つ欠点があるとするなら。
「プラァ……」
今まで抱えられて移動してたメロンが自分の足?で動かなくてはならなくなり、メロンが沈んでることくらい。今まで楽してたツケが……
(ユーフォリア・スライムが出てきた理由が分かった気がする……)
私はそんなことを思いつつメロンを励ましながら拠点へと帰った。




