第71話
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スライムの神獣***と***が生み出したスライムたちによって命が生きられる環境ができたことで、創造神様は数多の神獣たちを送り込んだ。
神獣たちはスライムが整えた世界に己の姿を投影した生命を作り出す……しかし神獣たちが作った生命には"個性"が無く、また"寿命"が無く、ただ進化する力しか無かった。
個性と終わりの無い、ひたすら進化する生命。その存在が星へ及ぼす影響を危惧した創造神様は***の力を借り解決を図った。
***は自身が持っていた属性を与える"色彩"と星の命すら終わらせる"崩壊"の力を持ったスライムを作り出した。
"色彩"のスライムは個性の無かった生命に属性という色を与え、"崩壊"のスライムは生命に寿命という命が崩れ消えるリミットを持たせた。こうして不完全な生命たちは個性と終わりを手に入れ繁栄と絶滅、進化を重ねていく生態系が出来上がった。
そして時間が経ち世界のバランスが安定した頃、創造神様は人間を作り出し、生命……モンスターをパートナーにする力を授けた。しかし人に"色彩"と"崩壊"の力はあまりにも強大過ぎた。
生命の管理に"色彩"と"崩壊"の力は必要不可欠。またこの世界に未曾有の危機が訪れた際に大きな力となる可能性を秘めていたため、創造神はその力を地の底へと隠し、試練を乗り越えたもののみに"色彩"と"崩壊"の力を扱えるようにしたのだった。
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(情報量が多い……)
聖書の続きを読み終えた私は情報の整理で目尻を抑えた。えっ、何これ?この世界ってスライムが居ないと成り立ってなかったってこと?属性は全てスライム由来?これでなんでスライム弱いモンスター扱いされてんの?
「ちなみにショゴちゃんは崩壊の属性。精神系統の進化だからサポーター寄りで崩壊の力も控えめなのよね」
「ショゴー」
情報を整理しているところに放り込まれる情報……頭がパンクしそう。
(もういいや、一旦情報の整理はやめよう)
少し面倒になった。それに……この後にもっと情報が増えそうな予感がするからね。
「ショゴちゃんが崩壊だと。色彩の子もいるんですか?」
「勿論いるよ。ただ、その子は恥ずかしがり屋な子なの……だから普段は人目に付かないところで過ごしてるわ」
ちなみに他の属性の子も居るには居るらしい……そしてその子たちとは近いうちに会うとか。えっ、なんか嫌な予感がしてきたんだけど?
「それじゃあ試練について教えるから……ちょっと着いてきて」
クティアさんはそう言って立ち上がり部屋を出た。後に着いていくと聖堂、その中でも人の目に付かない角の暗がりって感じの場所に着いた。そこでクティアさんが近くの壁を弄ると壁が動き出し、地下へと降りる隠し通路が現れた。こんな仕掛けがあったとは……
「足滑らせないようにね」
クティアさんは私に一声かけると地下へと降りていった。カツンカツンという足音を響かせながら地下への螺旋階段を降りていく。そしてどれだけ降りたか分からなくなってきたところで大きな扉の前に到着した。クティアさんが扉に手を触れると扉が重い音を出して開いた。
扉の先には緑色の光で照らされた円形の広間があった。広間には円を書くように扉があり、時計で例えると6時の位置に入ってきた扉。1時から5時、7時から11時に赤や青などの色が付いた扉。12時の位置には10個の透明な結晶が付いた大きな扉がある。
(色付きの扉……よく見ると属性の色?)
扉の前の床を見てみると赤い扉の前には炎のようなマーク。青い扉には雫のようなマークが書かれている。色彩と崩壊以外の全てに対応してるのか。
「ここが試練の間。今入ってきた扉と正面の大扉以外の扉の先には試練が待ち受けていて、それを10個全て突破することで大扉の先に行けるようになってるわ」
そして肝心の試練の内容はシンプル。対応する扉と同じ属性のスライムを連れ、各扉で決められた条件を達成すること。戦闘系じゃないのは少しありがたい。
(そうなるとlv80になってからかな……まだ全属性揃ってないし)
風、土、金属……というか同じ属性同士での戦いとか。千日手じゃね?だってお互いに無効系で地獄見そうだし。
(となるとガーディアンとの戦闘は極力避けた方が良さそう……)
ガーディアンの強さにもよるけどね。
「あっ、ちなみにそれぞれの試練にはガーディアンが居るわ。そしてガーディアンは私のパートナーたち……どの子も第4進化は迎えてるわ」
「あっ、さっきの『近いうちに会える』ってそういうことですか」
そして第4進化か。うん、戦闘は無理だね。こっちも第4進化しないと……いやしても無理か。lvどれだけあるか分からないし。
(今すぐやる必要もないし……しっかり用意とか済ませてから挑ませてもらおう)
とりあえず今は装備の強化しに行こう。寒さと暑さに耐性を!試練よりも装備の快適さアップの方に意識が向いていた。試練のガーディアンたち……いつか会おう。
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「何故……何故強化したらよりエロい方にデザインが進むの?」
試練の地下室から出た私はクティアさんから紹介された工房で防具の強化をした。デザインも変化したんだけど……上半身は背中丸出しになって脇も露出増加、それをカバーするように布地が増えたけど、それ透け透けの薄いやつなんだよね。下半身はスカートみたいな布地に深めのスリットが入り、こっちも薄い透け透けの布地も追加された。
他には申し訳程度の布地やシスターベール、黒いニーソにレースが追加され、新たに指抜きの黒い手袋(レース付き)が増えた。可愛い要素を追加しつつなんで露出が増えるのかね?
「効果は強いんだけどね……まぁ、白衣でなんとかカバーできるか。白衣も新調できたし」
この際だから新しく新調した。ちなみにシスター服と白衣の効果は、シスター服はパートナーのスライムの能力50%上昇。仲間にしているパートナーの属性の被ダメージを50%軽減。そして暑さと寒さを軽減する効果と濡れても高速で乾く効果がある。
白衣の方は調合の失敗率を40%減少。毒や麻痺、睡眠の効果を50%減少。おまけの満腹度減少軽減効果が付けられている。
「所持金と溜め込んでた素材を盛大に放出したかいがあったね」
さーて、これで夏休み中にやっておきたかったことは大体終わったね。色彩の迷宮は地道に攻略していくし、実験もその合間にやっていけばいい……試練に向けてlv上げもしなきゃ。あれ?思ったよりやること多くない?
「タスクを片付けるとタスクが増える……」
タスク0になる日は来るのだろうか?私はそんなことを考えながら拠点へと帰った。お金使ったから売る用の薬を作らないと……
その後、残りの夏休みを色彩の迷宮を攻略したり、薬を作ったりして過ごしていった。そして夏休みが終わり学校が始まる9月9日になった……まだ暑いから学校行きたくねー。
これにて第3章メイン部分は終了
残りの夏休みの部分は書くとグダリそうだったからカットです
掲示板は勿論書きますが、第4章の前に閑話書くかは気分次第




