第68話
最近、執筆のモチベが高くて筆がよく進む……
逆にゲームのデイリーを忘れかけてちょっとヤバい
久しぶりにやって来た霜降り草原。相変わらず霜が降りた草と曇天が広がり、冷たい風が吹いている。正直、露出多めの服装で来るような場所じゃないね……そんな格好してるんだけどさ。
「アセロラが周囲に熱を発生させられるようになってて助かった……ちょっと肌寒いけども」
進化したアセロラは元の体温がかなり高く、近くに居るだけでそれなりに温かい。現にアセロラの周囲の霜が溶けていっている。これ逆にプルーンが進化したら周りが涼しくなるのかな?ちょっと進化するのが楽しみだね……ちなみに編成は雷鳴の小砂漠から変更無し。スチンはメロンとまったり植物を育てて過ごしてる……多分、どっちも昼寝してサボってるかもしれないけど。
「メロンのlv上げもしなきゃなんだけど……下手なところに行くと地獄になるんだよね」
骨集めする時に連れていけばいいか。ライジング・ウルフなら良い経験値になるだろうし……
(ここも獣系多そうだから骨には期待)
凝固防止剤は素材を組み換えれば色々種類が作れる。薬によって合う合わないがあるから、凝固防止剤の素材は種類を増やしておきたい。それに調べた感じ骨は粉にすれば薬に使えるみたいだしね。
「チュゥゥゥ!」
「メラ」
進んでいるとお久しぶりのホワイトラットが襲ってきた……が、アセロラが指先から放った細い火炎放射ですぐに消えていった。あぁ、無情……
「この子の素材は売る以外に使い道無いんだよね……」
ハイボルト・ラットと違って・無しだからね。さっさと進んで攻略しよ……午後には湿地帯も攻略したいし。雑魚は蹴散らして進んで行こう。
「チュゥゥゥ!」
「キィィィィ!」
雪原を進んでいくとホワイトラット、耳の先と爪が薄水色のアイスラビット。腹側は白いのに背中側は真っ黒なリバーシファルコン。色々と襲ってきたけれど……
「ビリリ!」
「メララ!」
レモンの電撃の鞭とアセロラの火炎放射が蹴散らしていく。やっぱり第3進化は王都近隣のフィールドだとオーバースペック過ぎるね……
「ただの蹂躙だなぁ……これはもう少し早く来ても良かったね」
攻略がサクサク行くのは別に問題ではない……ただ、弱いものイジメみたいな戦闘は見てて気分が良くないし。何よりライムたちの育成に悪い。弱いものイジメが好きになったりしたら困る。
ライムは割とその辺しっかりしてて、レモンやアセロラがやらかした時に叱る役もやってくれてる。ログアウト中、拠点にいるライムたちは自由に動けるから正直不安なんだけど……ライムが見守ってくれてるから安心できる。
(学校始まったらあんまりログインできなくなるしね……長くログインできるの土日くらい?)
売る薬の補充とか考えると冒険する機会減りそうだしね。夏休み延長されないかな?私は全学生が望むであろうことを思った。
そうこうしていると、周囲の景色が段々変化していった。雪が降り始めて霜だけだった草原は雪で一面真っ白に……草原ではなく雪原になってきていた。
「うぅ……寒くなってきた」
流石にアセロラの放熱ではカバーし切れなくなってきた……でもそろそろボス戦だから頑張ろう。幸い風邪引いたりお腹壊したりはしない……だってゲームだから。
「というか……そろそろあれ見つけなきゃ」
結構目立つ見た目な筈なんだけど……おっ、あれだね。私が見つけたのは草原の一部で白銀に輝く場所、近くまで行くと氷の結晶のような花が幾つも咲いている。これが氷属性強化薬の素材になる雪晶花。採れるだけ取っていこう。
(でもって黒炭の荒野を考えると……やっぱり来たね)
「ギィィィィ!!」
私の視界の先には氷でできた大角を持ったヘラジカが突撃してきていた。最近、こういう有用な素材の近くには強いモンスターが出がちって分かってきた……淘汰の大森林の時はメロンのせいで引き寄せまくってたからアレだったけども。
「ギィィィィィ!!」
「てかヘラジカってそんな扉が軋むような鳴き声なの?」
そもそもヘラジカ……もといシカの鳴き声を知らない。イメージもあんまりできないし……シカの鳴き声ってなんだ?
「変な思考の沼に入りそうだからやめよう。アセロラやっちゃって……雪晶花を燃やさないでよ?」
「メララ!」
汚い鳴き声のヘラジカはアセロラによって焼却されていった。やっぱり第3進化火属性は過剰戦力だったか……
「グレートアイス・ホーンって名前のモンスターだったのね……おっ、骨落ちてる」
骨を落とすなら多めに狩っておきたい……けど、それはまた今度にしよう。今は素材より攻略を終わらせたい。
「雪晶花もここのを採ったらボスまで進もう……すぐそこだろうし」
こんな寒いところでのんびりしていられないからね。私はサクサクと採取を終わらせ、ボスの居るところへ向かった。
霜降り草原のボスエリアは小さな林の中にあった。林に入ってしばらく歩けば……薙ぎ倒された木々の目立つ円形の空間に辿り着く。パワー系のボスが居るのかな?
「グォォォォ!!」
「おぉ……トラのモンスターだ。凄い強そう」
ボスエリアに入った私たちの前に咆哮と共に現れたのは白いトラのモンスター。身体から氷の塊のような棘が生えていて、口からは氷柱のように鋭い長い牙が生えている。サーベルタイガーってやつかな?
「グォォォォ!!」
トラはダッ!!と勢いよく跳び、私たちに鋭い爪と牙を向けてくる……それをレモンの電撃の鞭が叩き地面へ落とした。
「グォォ!?」
「メララ」
地面に転がったトラはビリビリと感電して麻痺ってしまう。そこに無慈悲なアセロラの火炎放射……狙いを絞って出力を上げた炎が襲った。うん、こうなるよね……
「遠距離攻撃なら兎も角、近接はね……」
こっちは範囲攻撃に長けたレモンとアセロラが居るからさ。恐らくは高い身体能力を活かした厄介な相手だったんだろうけど……どんまいトラ。ここからはボコボコに殴るだけだし、可哀想だからさっさと終わらせてあげよう。
「グ、グォォォォ……」
トラは『無念……』みたいな鳴き声と共に消えていった。素材は毛皮とか手に入ってる……骨は無くて良かった。周回しなくて済む。
「さて、それじゃあ町に行って神殿に挨拶したら、蠱惑の湿地帯攻略の準備をしよ」
アルーリング・マンティス対策の誘惑対策をしっかりしないと……あいつ以外はもう雑魚だし。体液も色彩の迷宮で回収するしね……
「ルベリーは次お留守番ね。スチンと交代」
「ノロォ!?」
私は町へ向かって進みながらルベリーに伝えた。ルベリーが『嘘でしょ!?』って感じで驚愕して私に抗議してくるのでそれを宥めながら……




