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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 ゲームスタートと第1回公式イベント編
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第7話


 初日に来て以来の森。プレイヤーの数はまばらで初日の賑わいは薄れてるね……おかげで落ち着いて探索できそう。


「薬草とかも自分で集めなきゃだからね……」


 他にも色々と欲しいものもある。初日に見つけた紫色の葉の見た目をしている毒消し草。黄色の斑点のある葉を持つ麻痺消し草……これらも丸薬の材料に使うから必要。薬草と違ってどっちもほどほどにしか採ってなかったからね。


「ライムは探すの手伝って。レモンは……頑張ってこれ食べててね」


「メキュ!」


「ピキュ!」


 私はレモンに帯電砂利を与えつつ、ライムと採取をしていく。レモンの進化先の変化……どれくらい与えれば変わるんだろうね。


(採取と同時にレモンが戦う相手も探さないとね。一応情報は収集しておいてある)


 流石にオオカミ相手に戦わせるつもりは無い。あれは絶対に無理だし……色々調べた結果1体だけ初期のスライムでもいけそうなモンスターが居たんだよね。あんまり戦いたくないやつなんだけど。


「ピルルルル……」


(早速見つけた……ワーム)


 私は茂みの陰から独特な鳴き声を出す巨大ミミズ……ワームを覗き込んだ。あれが目当てのモンスター……この森で屈指の雑魚モンスターかつ不人気モンスター。


(情報通り気持ち悪い見た目してるね……うへぇ……)


 ミミズって普通のやつでもそこそこ生理的嫌悪を感じさせるのに。デカくなるとより嫌悪感が強まるね……だけどこいつくらいしか勝てそうなのいないんだよね。いやー……世界がスライムに対して厳しい。


「レモン行けそう?」


「ピキュ!」


 私が聞いてみるとレモンはやる気に満ちた動きを見せた。そして茂みから飛び出して行った。ちょっ!?まだ突撃合図してないんだけど!!?


「ピキュゥゥゥ!!」


「ピルルルルル!!」


 茂みから飛び出したレモンは威嚇しながらワームへ体当たりしていく。ポム!って音がしてワームが体勢を崩す。ワームは体勢を立て直すと尻尾の方を振りレモンへ振り下ろし、レモンはペチンと叩かれて地面を転がっていく。


「ピキュ!」


「ピルル!」


 互いに一撃ずつ貰った両者は、また体当たりと叩きつけの応酬をしていく……これ泥試合になるね。幸いなのはレモンの与えるダメージの方が大きくて、ワームの方が先に倒れそうなところかな……


「戦闘終わったらライム、レモンの治療をよろしくね」


「メキュ」


 私とライムはレモンの戦いを見守った。そして5分程経過した頃……レモンの体当たりでワームは倒れ光になって消えていった。モンスターって倒されたらあんな感じになるんだね。


「ピキュ……」


「メキュ!メキュ!」


 HPが減ったからかヘニャ……となってるレモンにライムが近寄っていく。ライムは身体から触手を数本出すとレモンの身体を撫でていく。


「あの触手って治療にも使うのね。薬液貰う時に伸ばしてたから触手のことは知ってたけど」


 ペタペタと撫でられている内にレモンのHPが回復していく。ライムの《医療術》がようやく活躍できるね。


「lvの方は上がってない。まぁ、1体だけだからね……しかも弱いモンスターだし」


 ストレージに自動で送られていた素材の方も肥沃な土だけ。これはいつか薬草とかを自分で栽培するときに使うかな?素材にワームの粘液とか無くて良かった。あったらストレージから速攻捨ててる。


(この土もミミズって部分を考えると……やめておこう)


 土ってちゃんと表記されてるからね。余計なことは考えないようにしよう。


「メキュ!」


「ピキュ♪」


 私が色々確認しているとレモンの治療が終わった。レモンはポヨンポヨンと元気に跳ね回っている。ライムはちょっと疲れてるね……初めての治療で疲れたのかな。あとで回復薬を渡しておこ。


「レモン。次は猪突猛進しちゃダメだからね?勝てたから良かったけど……相手が強かったらレモンが不利になるからね?」


「ピキュ……ピキュ!」


 レモンにちょっと注意をすると、レモンも理解したのか元気よく返事をした。大丈夫かな?と思いつつも、私は新しいワームを探し始めた。探している間にも帯電砂利を与えてちょっとでも経験値を増やしていく。


「グルルル……」


 オオカミなどのワーム以外のモンスターが出てきた時は隠れてやり過ごす。今回は獣避けも使ってるから大丈夫……これは自作のやつで。クイラさんのところで習って作り溜めてある。


(でもこれ材料がなぁ……虫の体液とミントみたいな薬草が必要なんだよね。現状作れない)


 材料自体はこの森にある。虫の体液はワーム以外の虫のモンスターから入手でき、ミントみたいな薬草……刺激草は森の奥に生えている。体液は兎も角、刺激草は気をつけて扱わないと目と鼻にダメージが入る……虫の体液と混ぜると使える程度には刺激が減るから、この獣避けもそこまで目や鼻に刺激は無い。直接かけられたら流石にキツイけど。


「加工前の刺激草は本当にキツイからね……ゲームとはいえあんなの何度も受けたくない」


 思い出すだけで目と鼻が痛くなってきそう……そんな危険物を使った獣避けのおかげか近くに居たオオカミは鼻を鳴らし表情を歪めてどっかに立ち去っていった。


(効き目抜群だね)


 獣系のモンスターにしか効かないのが難点だけども。モンスター全てに効くやつもあるけれど……パートナーのモンスターにも効くからね。この獣避けも獣系のモンスターをパートナーにしてる人は使いにくい。獣系は小動物じゃなければ戦えるから必要無さそうだけどね。


「そういえばスライム避けってどんなのになるんだろう?イメージが湧かない……」


 作り方も素材も知らないんだよね。テイマーギルドの資料室も調薬に関してはそんなに情報無かったし。次の町は最初の町より大きいらしいし、図書館とかあったら情報集めしてみよう。


「ピルルルル!」


「ようやく2匹目発見。レモン行ってらっしゃい」


「ピキュ!」


 私は再びレモンを送り出して茂みから見守った。戦闘が終わったらライムが回復させながら帯電砂利を与えて《食育》で経験値を得させて、ワームを探しつつ素材を集める。これをひたすら繰り返していった。


(ジムのトレーナーかスポーツの指導者になった気分だね)


 まぁ、このゲームの趣旨的に合ってるか。プレイヤーなんてパートナーが居なければ弱い存在だし。手厚く扱うのは当たり前……手荒く扱う気なんてサラサラ無いけど。


「さて、そろそろレモンが勝ちそうだし。帯電砂利と治療の準備しようか」


「メキュ!」


 私とライムはレモンのサポートをレモンが進化するまで続けていった。



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