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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第3章 拠点強化とフィールド攻略編
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第55話





「さーて、新メンバーも増えたし。レベリングだね……この湿地帯で」


 ここが1番経験値稼ぎに良いからなぁ……大森林は色々ガチ過ぎて未進化や第1進化の子を連れていく余裕が無い。せめて第2進化……そこまで上げないと無理。

 この湿地帯は見晴らしがそれなりに良く、倒せる敵が多いからレベリング向きではある。素材がゲキマズなことを除けばね。


(レベリングのためだから虫除けも使えないし……採取はルベリーとメロンが進化したらにしよう)


 メロン。植物属性へと進化させる予定の新メンバー。しっかりとご飯を与えてある……にしても。


「まさか植物属性の進化に必要なもの。それが普通の薬草とかの植物だったとはね」


 クティアさんから教えてもらったもの。それは極々普通の薬草類……より貴重なものや複数種類を混ぜて与えると良いらしい。


(薬草ってライムが最初に食べてたから光属性になると思ってたんだけどね……)


 ただ、ライムって途中からクイラさんの薬だけ食べてたんだよね……もしかしてここがターニングポイントだった?素材そのままは植物属性で、加工した薬は光属性になるとか。


(謎が深まるね。まぁ、そこは別に良いんだよ……そんなに気にしてない。ただ……)


「今回の子は一際癖が強いんだよなぁ……」


「Zzzzz……」


「メキュ」


 私はライムに抱かれているメロンを見た。今回仲間にしたメロン……性格はスチンを超えるマイペース。ほぼ寝てて戦意ゼロ……でも私が用意した多種多様な薬草サラダに反応する子、みんなこんな感じだったんだよね。植物属性の子はのんびり屋気質が多いのか?


(スチンは単純に面倒臭がりだしね。お願いすれば不満そうな反応はしつつもやってくれる)


 十人十色……それが似合うメンバーになりそうだね。元よりメロンは拠点待機メンバーとして考えてたから活動的であることは求めてない……寝てばかりなのはあれだけど。


「ビリリ……」


「レモン、電撃で起こそうとしてるなら怒るからね?」


「ビリ!?」


 私はコソコソとメロンに触手を伸ばしていたレモンに注意する。今回の編成はライム、レモン、プルーン、ルベリー、メロン。

 スチンは今回休ませてる。アセロラに関しては拠点で待つのも悪くないと思ったのか暴れなかった。まぁ、暴れてもスチンなら止められるしね。


(今回はプルーンの防御の検証がしたいからね)


 ブッシュバグの攻撃なら氷の鎧で防げるはず。ウォータージェット・ミリピートのような大質量の攻撃は無理だろうけど……あまり奥に行かなければウォータージェット・ミリピートもそんなに出てこないはず。最悪、水の噴き出るところを凍らせて詰まらせよう。


「キィルルルルル……」


「早速来たね。レモン、プルーンよろしく」


「ビリリ!」


「ヒヤァ」


 遊歩道にブッシュバグが飛び出してきたので、私は軽く指示を出して後ろに下がる。そしてそれを隙と見たのか2匹目のブッシュバグが不意打ちをしようとするけれど……


ガキン!


 氷の装甲を纏ったプルーンが割り込みブロックする。プルーンの防御を間近で見るのは初めてだけど……中々に硬そうだね。


(スチンは衝撃に強いけど、こっちは斬撃や刺突に強そうだね)


 ブッシュバグの攻撃でスチンはダメージを食らってたけどプルーンは無傷。なんならそのままブッシュバグの頭に氷柱を飛ばしてる……すごい綺麗なヘッドショット。


「ビリリリリリ!!」


「キィルルルルル!!?」


 囮役の方もレモンの放電で片付けられていった。こんな感じであっさりと片づけられるブッシュバグだけど、新緑の森のモンスターと比べたら経験値は多いからメロンのlvがポポポポーンと上がっていく。メロン自体は爆睡してるけれども……


「流石に外に居る時は起きてるようにするか……ここまで呑気だとちょっと困るし」


「メ、メキュ……」


 この子、野生の個体だったらすぐにやられそう……野生の植物属性のスライムって存在してるかな?


「ビリリ」


「だから電気は無しって言ってるでしょ……なんで電撃で起こそうとするのかな?」


 私は「では……」って感じで触手を伸ばそうとしたレモンを止め、ペチペチと軽く叩いてメロンを起こした。


「ピュキ……?」


「おはよう。気持ち良く寝てたとこ悪いけど、流石に危ないから起きててね」


「ピュキ……ピュキ……」


 メロンは寝ぼけながらも触手を手のように伸ばして返事した。ついでにご飯もあげておこう……進化に必要な量が分からないから多くあげておきたい。


「ブゥゥゥン!」


「うげぇ、こいつか……まぁ、プルーンがいるから大丈夫かな?」


 羽音のような鳴き声の正体は、人間サイズの蚊という人によっては鳥肌を呼び起こさせるエアリアル・モスキート。飛行するモンスターだから戦いにくく、前回来た時は中々苦労した……今回はプルーンが居るから苦戦はしないはず。


「ブゥゥゥン!」


 エアリアル・モスキートは空中をジグザグの軌道で飛び回り、こっちへと突撃する隙を狙ってきていた。エアリアル・モスキートは遠距離攻撃を持ってないから、空中から延々に撃ち下ろされる心配は無い。こいつは攻撃の威力が高くてHP吸収能力があるくらいだね。


(スチンのHPを一撃でガッツリ持って行かれて驚いたよね……)


 ちなみにその後はルベリーの《束縛の呪い》で動きを止め、レモンが倒した。ルベリーの呪い……命中率100%だからね。

 

「ヒヤァ」


「ブゥゥゥン!」


 プルーンが氷柱を飛ばして撃ち落とそうとするが、エアリアル・モスキートの複雑な飛行に惑わされ中々当たらない。こういう時はアセロラの範囲の広い火炎放射に頼りたいよ……


「中々当たらないね……あんまり時間かけるとプルーンのMP無くなっちゃうし。ルベリーお願い」


「ノロォ!」


「ブゥゥゥン!?」


 ルベリーの呪いを食らいエアリアル・モスキートの動きが止まる。そして地面に落ちると途中でプルーンの氷柱が突き刺さって光へ変わっていった。やっぱり呪い強い……強い分失敗した時の反動が怖いけれども。


(呪いってミスったり解除されたりすると、かけた側がヤバいことが多いからね)


 俗に言う呪い返しってやつ。光属性のモンスターや同じ闇属性のモンスターは呪い返しできそうだから気をつけないと。乱用注意。


「とりあえずエアリアル・モスキートはプルーンの空中の敵を狙う練習させたいから、最初は呪い使わないでね。私が指示を出したら呪ってやって」


「ノロォ」


 そんなこんなで私たちは襲いかかってくるモンスターたちを地道に倒していく。懸念していたウォータージェット・ミリピートは奥に進んでないからか出てこなかった。轢き殺される心配が無くて一安心。そして安定した経験値稼ぎの甲斐もあり……


『個体名:メロンのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』


 メロンのlvが10になり進化可能になった。早速進化先を確認し植物属性の進化先を確認した。


ーーーーーー

進化先

▶︎プラントスライム

体内に葉緑素を持ったスライム

光と水のみでの生存が可能であり、生存能力はスライムの中でも高い

食べた植物の種を生成でき、農園などで重宝される

ーーーーーー


 うん、理想の進化先だね。そして植物属性は生存特化な進化のようだね。進化させてみるとメロンは抹茶カラーのスライムになった。ちょっと濁った感じが渋いね。ステータスは……


▽▽▽▽▽▽

メロンlv1/20

種族:プラントスライム(第1進化)

HP:55/55

MP:40/40

スキル

《悪食》《打撃耐性・Ⅰ》

《種子作成・Ⅱ》

種子を一定量摂取し、その植物の種を生成する

《光合成・Ⅰ》

水と光だけでHPを回復できる

△△△△△△


思っていた以上に戦闘向きじゃないね。これが最初の進化だとしたら詰んでない?


「次の進化に期待しよ」


 ということでレベリング続行。メロンの第2進化まで行くまではメンバーを変えつつレベリング……本格的な攻略の前にメンバーをある程度育成。イベントで割と無双できてたから忘れてたけど……慢心をするのは良くない。


「緩んだリスク管理のネジを締め直さないとね」


 最初期の石橋を叩いていた自分を思い出してね。それに私が安全に採取ができるようにライムたちには強くなってもらおう……


「キィルルルルル!!」


 私たちは次々と襲いかかってくる経験値(モンスター)を倒していった。なお大半が有効活用できないブッシュバグであり、私の実験欲にダメージを受けながらのレベリング……せめて薬に使えるか、高く売れる素材を落とすモンスターが出てきて欲しい。ブッシュバグは素材が二束三文な値段でしか売れないから。


「エアリアル・モスキートもね……血袋くらいしか良い素材がない」


 しかも薬に使うには処理が怠い……分離器で血漿(けっしょう)にしないと薬に使えないからね。分離器、大量生産用じゃなくてもそれなりに高い設備だし……てか血漿


「大量生産のための設備を優先したからね……次は実験のための設備を用意かな?」


 拠点を手に入れてから設備とかにお金が……でも沢山薬を売らないと薄利多売じゃ金策にならない。レベリングと同時進行だとスケジュールがキツ……


(こーれ、夜中に薬を大量に作り溜めないとかな……どのみち夜は外に出ないし)


 ここ。夜になるともっと難易度上がるらしいからさ……ガチ勢でも結構ヤバいらしい。その分実入りは良いらしいけど。


「いつかは夜のここに私も来るのかな……いつになるかは分からないけど」


 少なくとも1週間とかそこらじゃ無理。パーティー6体が全員第3進化じゃないと……あれ?意外といけるか?


「いや第2進化から第3進化まで長いしね……うん、地道に頑張ろう」


 

『個体名:ルベリーのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』


 地道なレベリングを開始していると今度はルベリーのlvが20 に達した。そろそろ町に帰ろうと思っていたから丁度良いタイミング……私はその場で進化をさせず拠点まで帰ってきてから進化させることにした。


(久しぶりに人が居ない道を歩いたね)


 神殿のある地区は誰も居ない。静かで不気味な道へ戻っていた。この地区……地味に孤立してるというか、船使わないと来れないんだよね。意図的なのか分からないけど、他の地区と橋が繋がってたりしないから。


(元々この地区は大体空き家だし……特に困ることとか無いだろうしね)


 そもそもクティアさん以外のNPCを見たことない。別の世界にでも来た感じがするよね……別のゲームというか。


「ま、このくらい静かな方が好きだけど」


 変な視線も感じないしさ。そんなことを思いながらも、私は無事に拠点へ戻ってきた。待っていたアセロラが私の鳩尾に体当たりをしてくるアクシデントがあったりしたけど……全員、何事もなく戻ってこれたね。


「それじゃあ……早速進化と行こうか」


「ノロォ!」


 私はルベリーの進化先を確認する。


ーーーーーー

進化先

・ハイカース・スライム

強力な呪いを内包したスライム

呪いをかけられれば生半可な聖水では解呪不可

一度呪った獲物が死ぬまでしつこく狙い

ジワジワと呪って仕留める

呪い返しされても、呪いへの耐性がとても高いため効果が無い

ーーーーーー


 説明文怖くない?軽く鳥肌立ったんだけど……あと呪い返し無効になるの早いな。そんなことを思いつつ、私は進化を実行させる。

 進化したルベリーの見た目は……そんなに変化は無い。色が濃くはなってるけど……まぁ、スライムの進化はいつ見ても見た目の変化少ないからね。大事なのはステータス。


▽▽▽▽▽▽

ルベリーlv1/40

種族:ハイカース・スライム(第2進化)

HP:55/55

MP:85/85

スキル

《悪食》《打撃耐性・Ⅱ》《呪い無効》

《束縛の呪い・Ⅰ》

相手の動きを縛る呪いを放つ

呪う時ランダムで相手のスキルを1つ封印する

封印は重ねがけしても二重で効果は無い

《吸命の呪い》

《弱体の呪い》

身体能力を下げる呪いをかける

重ねがけすればするほど強力になる

△△△△△△


 なんか《束縛の呪い》が強化されてる。スキル封印とか地味にウザそう……聖水があれば解除できるんだろうけど、それも効果が低ければダメそう。


(てかそろそろ聖水……というよりは呪いに対する薬を作るか)


 ルベリーを見てると呪いのヤバさを感じるからね……そろそろ敵側も使ってきそうだし。てかついでに色々実験でもしよう。ガッツリ生産する日があってもいいだろうし。


「今回の戦果を売ればある程度は設備買えそうだしね……」


 その後、私は手持ちのお金で買える設備から何を買うか、ライムとルベリーと一緒にカタログを眺めながら過ごした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 嫉妬深い女も度々束縛の呪い持ちだったりするよね
[一言] ライムが光の癒しのお姉さんポジっぽいのに対して、ルベリーの闇の気質が……絶対コ○スマンな感じ、嫌いじゃないw どこかの喧嘩っ早い2匹とは違い、性格的(行動的?)には2匹とも落ち着いてそうです…
[気になる点] 》ライムlv1/20 種族:メディカルスライム(第1進化) メロンの成長説明なのに名前と種族がライムになってる [一言] メロンがいるから本格的に薬草園を作って管理させたいな。これは…
感想一覧
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