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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第3章 拠点強化とフィールド攻略編
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第54話




「虫系モンスターが多過ぎる……全然採取に集中できない」


 湿地帯の探索を開始して2時間弱。次々と襲いかかってくるモンスターたちに、私は辟易してきていた。こいつら……ちょっと進んだだけで出現してきて、ちっとも採取できない。


「虫除け作るか……モンスターとの戦闘が減ると経験値が渋くなるから嫌だったけど。流石に採取ができないのは辛い」


 リアルの虫はハッカ……ミントの匂いが苦手。刺激草ベースにミント系の植物を混ぜ込むか……ミントは料理向けに売られてたはず。


「キィルルルル!」


「またお前か……お前とは戦いたくないんだよ。経験値以外美味しくないし」


 私は虫除けを作りに来た道を戻ろうとするとブッシュバグが飛び出してくる……お前は素材の使い道が無い癖に出過ぎ!戦った比率50%超えてるんだよ!


「潰せ。隠れてるやつも」


「メキュ……」


「ビリリ……」


「ドロォ……」


「ノロォ……」


 私以外もウンザリしてきているから、ブッシュバグは不意打ちしようとしていた奴含めてあっさりと片付けられた。お前らは私に有益な素材を引っ提げてから出直して来い。


『個体名:ライムのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』


 私が心の中でブッシュバグに厳しい評価を叩きつけていると、久しぶりのライムの進化のアナウンスが聞こえた。遂にライムが第3進化か……どうなるんだろう?早速確認しよ。


ーーーーーー

進化先

▶︎ハイピュリファイ・スライム

より純度の高い聖水に近い体組織のスライム

回復能力よりも浄化能力が強化されており

猛毒や強力な呪いを分解し無害化できる

一部の国では神の使いと呼ばれることもある


▶︎ホーリー・スライムヒューマ

人に近づきたい、人になりたいと願った光属性のスライムの進化先

主人に愛され、主人を深く信頼していないと進化先に現れない

人に近くなったことで治療効果と浄化効果のある液体の扱いが器用になり、より複雑な作業が行える

人とモンスター。その境目に至る可能性をもつ

ーーーーーー


 ……なんか異彩を放つ進化先があるんだけど。ピュリファイスライムの時も結構驚いてたけど。今回のはそれを凌駕してきた。


(人に近くなる……ライムが喋り出す可能性が?)


 それなんか嫌だなぁ……何言われるか分からないし。もっと待遇良くしろとか言われたら凹む……結構良くしているつもりなんだけども。


(ただ、この下の進化がライムの意志の表れだろうし……変なことに怯えてないで進化させよう)


 ハイピュリファイ・スライムの方は浄化能力以外変化しなさそうだしね。正直、浄化能力より薬の素材になる治療薬が伸びてほしい。そんなことを思いつつも、私はホーリー・スライムヒューマを選択した。

 ライムがいつもの進化の光に包まれる。しかしいつもと違ってシルエットがかなり変化……具体的には上にグニャグニャと伸びていっている。そして伸びた部分が人のように変形していった。そして光が強くフラッシュし……


「メキュゥゥゥ♪」


 進化したライムの姿が露わになった。上半身は髪も肌も真っ白な人間……目も白だけど、薄ら灰色っぽくなってて瞳孔とかは分かる。腰から下は溶けたアイスのような感じになっていて、言い方悪いけどナメクジっぽい。


(よく見たら髪の部分も……毛じゃなくて、髪みたいな形をしているだけだね)


 ファンタジーお馴染みの亜人ってやつよりは、人の形をとりあえず作った感じだね。てか……なんか私に似てない?身長も同じくらいだし。


「メキュ♪」


「わっ!?」


 私がジー……と観察しているとライムが抱きついてきた。うーん、しっとりしてる。あとなんか癒される……


(一先ずステータス確認しよ)


▽▽▽▽▽▽

ライムlv1/60

種族:ホーリー・スライムヒューマ(第3進化)

HP:120/120

MP:220/220

スキル

《悪食》《打撃耐性・Ⅲ》

《治療液作成・Ⅳ》

様々な回復効果を促進する液体を作り出す

直接かけることでもHP回復効果を発揮する

粘度を上げられるようになり、持続的に効果を発揮させられる

《浄化液作成・Ⅳ》

汚れや呪いを浄化する液体を作り出す

粘度を上げられるようになり、持続的に効果を発揮させられる

《医療術・Ⅳ》

回復効果が2倍

治療行為で経験値を得られるようになる

《奉仕》

家事や生産が行えるようになる

ただし、知識が無いと上手くいかない

△△△△△△


 ステータス、一気に上がり過ぎじゃない?てか《奉仕》って……確かにライムは割と世話好きな子だったしね。


(いや、でも拠点を構えたから掃除とかは必要か……拠点待機中は自由行動させるだろうし)


 趣味があることは大事だしね。生産に関しても手伝いの幅が広がるだろうし……強いていうなら料理ができないけれど。うち、食事に関しては終わってるし……(私は最近は飴だけ、他は素材そのまま)。


「とりあえず……帰ったら家事の本とか探してみようか」


「メキュ?」


 私はポンポンとライムを撫でた。そして帰り道を再び進もうとして……進化したライムの弱点が判明した。


「メ、メキュ?」


 進化した弱点。それは移動速度の低下……跳ねて移動してたのが、ナメクジのような滑るような横移動になった。物凄く遅いわけではないんだけど……それでもピョンピョン跳ねてた頃よりは遅くなった。


(少し移動ペースを落とすか。別に攻略に支障は無いしね)


 広いフィールドだと休憩地点とか用意されてるしね。そういうところでログアウトとかできるだろうから……攻略のタイムアタックとかするなら別だけど私はそういうの向いてない。


「のんびり帰ろうか……虫は潰せばいいし」


「メキュ!」


 私たちはいつもよりスローペースで帰路に着いた。なお、カマドウマへのヘイトは着実に溜まった。あいつ本当に嫌い……



「メキュ♪」


「凄いご機嫌だね……そんなにその本気に入った?」


 湿地帯から戻ってきた私は、帰ってくる途中で買った家事の本を読むライムを眺めていた。字が読めるのか?って懸念もあったけど、ゲームだからか大丈夫だったみたい。


(帰ってきた時にアセロラとプルーンが驚いてたのは笑ったね……)


 アセロラは兎も角、プルーンが驚くのはレアな光景だったからね……まぁ、それよりも。


「ヒヤァ……」


「プルーンも本に興味を示すとは……今度色々買ってみるか」


 インテリア的に本棚は欲しいしね。古本屋で色々買ってこよう。それはさておき……


「植物属性のスライムどうしよう……」


 良い餌が思いつかない。先に虫除けの開発から始めれば良かったかな?


(別の属性になりそうな素材しかない……本当にどうしよう)


 そうして私が頭を抱えて唸っている時だった。カラーンと来客を知らせる鐘が鳴った。この家に誰か来るのは初めてだね。誰だろう?私は玄関を出て確認しに向かった。


「あっ、クティアさん」


「こんにちわ。ちょっと今時間あるかしら?」


 尋ねてきたのはクティアさん。ショゴちゃんは居ないみたい……留守番かな?私はクティアさんを応接室まで案内した。


「あら、スライムヒューマ。白い子ってことはホーリー・スライムヒューマね……ふふ、信頼されてるのね」


「そう言われるとなんか恥ずかしいですね」


 私はクティアさんにお茶を出す。紅茶じゃなくて薬草茶だけど……紅茶高いんだよね。この薬草茶は自作できるからさ。味も別に悪くは無いし。


「ところで今日はなんでうちに?最近神殿人が多くて忙しいんじゃ?」


 最近、スライムの神殿は何故か人が多い。鐘を鳴らさなきゃ船が居ない船着場に船がいつもあるぐらいには人が訪れている。私も何度か神殿には顔を出そうと思ったんだけど……なんか怖い雰囲気があって入れなかった。

 

「あー、あの人たちはいいのよ。祈るわけでも無い上に私にポーズを取れって命令してくる人たちは……さっきショゴちゃんがキレてみんな失神させてたし」


「それ無事なんですか?失神した人たち」


 まぁ自業自得か……ショゴちゃん、見た目は典型的なスライムだから一見弱そうだけど。今の私でも推し量れないほどの強さだろうから。見ただけで息が止まりそうになったし。てかなんて子を怒らせてるのさ……私にとばっちりが来たら恨むからね!


「正直、最初は人が来てくれて嬉しかったんだけど……中央神殿に行って許可が無いと入れないようにしましょう。氷海商会にも一先ず私とココロちゃん以外はここに来れないように伝えましょうかね……このお茶美味しいわね」


 私がショゴちゃんに心の中でビビりまくっている中、クティアさんは呑気な感じでお茶を飲んでいた。

 この人は相変わらず緩いな……そう思いながらクティアさんの顔を見ると、目の端がちょっとピクピクしていた。


(これ内心キレてるな……そっとしとこ)


「ノロォ?」


 破裂しかけている風船を針で突くような行為を進んでする趣味は無いからね。私は冷や汗をかきそうになるのを、近くにいたルベリーを抱えて誤魔化していく。


「と、私のことはいいのよ。ここに来たのはココロちゃんに昇級試験のことを伝えに来たの」


「昇級試験ですか?」


 昇級試験。一般神官から一般侍祭になるためのもので中々に難しいものらしい……


「でも私、神官になって1週間も経過してないんですけど?早くないですか?」


「んー、それはそうだけど……内容的に先に話した方がいいのよね」


 一般侍祭になる試験。それはシンフォニアの東西南北の都市にある中央神殿の支部の2ヶ所に自分の足で訪れること。東の都市はファストロンじゃなくて、大森林の先にあるイスティリアになる。他の方角も2つのフィールドを超えた先にある町だから中々に厳しい。てか……


「難易度高過ぎませんか?かなりパートナーが強くないと」


「侍祭って教会の運営にも携わるからね……有事の際は前線で戦わないといけないから仕方ないのよ」


 いざという時に逃げ出す責任者なんて要らないでしょ?クティアさんの表情を見た私は言葉に出されてないのに、その言葉を理解させられた。怖い……なんか実感が篭ってる感じが尚更怖い。


「そういうことで時間がかかる試験だから地道に頑張るといいわよ。制限時間も無いし、ココロちゃんならその辺の有象むぞ……一般神官たちみたいに諦めないでしょ?」


「まぁ、気長に頑張らせてもらいます」


 今、有象無象って言いかけたね……神殿に押しかけたプレイヤーたちのせいでストレス溜まってるのかな?

 その後、時折クティアさんの闇が垣間見えながらも色々話をした。今の私には少しでもクティアさんのストレスが発散できるように尽力するしかない。


「あっ、そういえば今植物属性のスライムを仲間にしようと思ってるんですけど……与えるご飯に悩んでるんですよね」


「植物属性?それなら……」


 私はクティアさんから植物属性のスライムへと進化させられるご飯を教えてもらった。それは確かに植物属性って感じのもので、目から鱗なものだった。


「えっ、それでいいんですか?」


「そうなのよ。私も昔、ココロちゃんと同じ反応したわ……スライムって不思議よね?」


 それからしばらくして、世間話などが一段落してクティアさんは神殿へ帰った。私は軽く生産して商品を補充し、モンスターショップに新しい仲間となるスライムを購入しに向かったのだった。

 新しい子を連れて帰ってきた時、船着場に大きい船が居て、手に縄をつけられたプレイヤーたちがドナドナされていた。


(私も自分の行動に気をつけよう)


 ゲームだからといって迷惑な行為は厳禁。あのプレイヤーたちも身をもって理解しただろう……反省していることを心から願っておく。


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― 新着の感想 ―
ショゴたん、虹色と名前の時点でヤベエと気付いて警戒する人と、スライムだからと侮る人の両極端いそうですねえ。
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