閑話2
閑話その2で短めです
加筆するかも……
閑話2
今回も三人称です
悪魔との決戦が終わり、プレイヤーたちが立ち去った無人島……悪魔が齎した嵐と戦闘の余波で木々は薙ぎ倒され、中央の神殿は完全に崩れ去って更地となっている。ダンジョンの入り口は瓦礫で塞がれ入ることはできない……
そんな無人島。その一角で何かが集まっていた。それは丸くてスベスベプニプニの青い饅頭……スライムだった。
「(おー、みんな来たー)」
「(やっほー。お待たせー)」
「(お腹空いたー)」
スライムたちはのほほんとした空気を出しながら次々と集まってくる。その数は100は超えており……今もどんどん増えている。
このスライムたち……彼ら?彼女ら?は元は襲撃で来ていた黒いスライムたち。悪魔の僕として操られていたが、スライムの神との繋がりを持っていたココロと出会い、悪魔の呪縛から解放され自由意思を手に入れた。
更には操られている同族を自由にできるようになり、今の今まで操られた同族を助けながら海の中や岩の隙間、普通の生き物じゃ入れないような場所に隠れ潜んでいた。ついでに悪魔が死んだことで普通のスライムになっている。知能は……特に変化は無い。
「(なんか静かになったねー。あとボロボロー)」
「(敵いなーい。ご飯いっぱーい!)」
「(食べよー!食べよー!お腹空いたー!)」
嵐や悪魔との戦闘の余波で島のモンスターはスライムを除いてほぼ壊滅状態……ダンジョンも入り口が潰れているためモンスターが出てくることは無い。ここにスライムの楽園が誕生したのだった……
ムシャムシャムシャムシャ……
「(草うまー♪)」
「(石うまー♪)」
「(土うまー♪)」
島のあちこちから散らばったスライム達が色んなものを食べる音が聞こえてくる。食べるものは各々が好きなものを好きなだけ食べていく。また中には……
「(灰うまー♪)」
「(骨うまー♪)」
「(ゴミうまー♪)」
プレイヤーたちが残していったものを食べていくスライムも居た。流石この世界を作り上げた神を祖とするモンスター……見事な食べっぷりを見せていた。
「(この建物どうするー?食べちゃうー?)」
「(残しとこー。寝床に丁度良いしー)」
「(りょうかーい)」
スライムたちは意外と考えて食べていた。一応、知能はゴブリンよりはある……ゴブリンが直結思考過ぎるというのもあるが。
何せゴブリンたちは、食べれそうなものを発見→即パクリ……毒があるかもとは一切考えない。進化すれば多少はマシにはなるが……それでも落ちてるものを拾い食いはするが。
「(食べ放題サイコー♪)」
「(貪り尽くせー♪)」
スライムたちの宴は誰にも止められることなく続いていった。
◇
あれから何ヶ月か経過した無人島。中央の遺跡を除けば殆ど元通りになり、荒れ果てた惨状は見る影もなかった。スライムたちは相変わらずのんびりと暮らしている。
「(おー、進化したんだー)」
「(そうなのー。ちょっと強くなったー)」
飽食の限りを尽くしたスライムたちは《食育》の効果により進化し、中には生き残りジワジワと勢力を取り戻してきた他のモンスターたち、他の陸地から渡ってきた飛行系のモンスターたちと縄張り争いで更なる進化を遂げた個体も居た。
食物連鎖の底辺に居たスライムが今では中層……いや、上に近いところまで登り詰めている。なお、戦い方は数のゴリ押しではあったが……
「(南の海岸に漂流物が流れてきたってー。見に行こー)」
「(行く行くー。美味しいものあるといいなー)」
そんなこんなでスライムたちは自由に暮らしていく……後にこの無人島を訪れた人々はこの島をスライムの楽園と呼ぶのだが、それはもっと後の話。




