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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第2章 神官と第2回公式イベント編
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閑話1

どうもお久しぶりです

本編はまだ全然書き溜められていないので更新できないのですが

読者の方を待たせるのはマズいと閑話を用意致しました


初めての三人称故、温かい目で見てください



三人称視点です


これはとあるスライムがあるプレイヤーと出会うまでの物語。



「(お腹空いた……)」


 とある無人島に空腹に悩みながら森を彷徨う1匹のスライムがいた。このスライムは無人島の中央にある1番難易度の低いダンジョンから出てきた変わり者。ダンジョンの中で暮らすのに飽き、生まれ故郷を捨て外で暮らすことを選んだ異端なスライムだった。


「(最近は変な黒いのが居て物騒……あいつら私を見るなり襲ってきて落ち着けやしない)」


 この無人島では少し前から真っ黒な見た目のモンスターたちが出現するようになっていた。凶暴でモンスターすらも襲う怪物……それが悪魔の手先であることは知らずとも、嫌な予感を感じて島のモンスターたちは黒いモンスターを避けていた。しかしこのスライムは異端故か、少し違う感情を抱いていた。

 

「(あの黒いの……美味しそうなんだけどね。でも襲われたら負けちゃう)」


 存在するものならなんでも食える……スライムの性質故か、それとも異端故に頭のネジが飛んでいるのか。自分の力量を弁えているスライムは危険で無謀なことは理解しつつも、黒いモンスターへの食欲が高まっていくのを感じていた……と、その時。


ガサガサガサ


 スライムの近くで草を掻き分けるような音が聞こえてきた。この島においてカースト最底辺のスライムはすぐに身を潜めた。しかし音の正体が気になったスライムはコソコソと静かに音の方へと近づいていく。


「なぁ、この呪いの欠片ってアイテムゴミじゃね?呪いとか危ねぇし」


「そうだな。売るにしてもギルドで引き取ってくれるか……逆に処分するのに金取られるかもしれないな」


 音を立てていたのは人間……イベントでこの無人島へと漂着したプレイヤーだった。プレイヤーの周りには強そうなモンスター……パートナーたちがいた。スライムは見つからないように身を縮こませた。


「なんかストレージに入れとくのも嫌なんだよな……捨てちまうか。後で必要になっても襲撃を潰せば稼げるし」


「そうだな。俺も捨てるか……俺のパートナーは鉱石食がいるから、間違って食われたら面倒だ」


 スライムが必死に隠れ潜んでいるとプレイヤーたちが手を動かす。すると宙から黒い結晶……呪いの欠片がガラガラガラ!と地面へと落ちていく。プレイヤーたちは呪いの欠片を捨てると何処かへ立ち去っていった。


「(どっか行った……なんか置いてった。何これ?)」


 プレイヤーが立ち去り隠れるのをやめたスライムは、プレイヤーたちが捨てていった呪いの欠片へ近づく。呪いの欠片からは黒いモンスターたちと同じ匂いがしており……スライムの食欲が段々沸いてくる。


「(じゅるり……)」


 食べたいと思っていた黒いモンスターたちと同じ匂いがする結晶……我慢できるはずも無く、スライムはパクッと1つ食べる。


「(ウマー!)」


 黒い欠片から言葉にできない旨みを感じ、スライムはパクパクと呪いの欠片を食べていく……時折、呪いの欠片から黒い滲みのようなものがスライムの身体を蝕もうとする。しかしあらゆる物を分解するスライムの性質により、その滲みがスライムに影響することはなかった。


「(満足♪何処かにまた落ちてないかな?)」


 プレイヤーたちが捨てていった呪いの欠片を全て食べ終えたスライムはご機嫌な様子で去っていった。



「(今日も黒いやついっぱい落ちてた♪大満足♪)」


 イベント3日目。プレイヤーたちが捨てた呪いの欠片を平らげたスライムはルンルンで森を進んでいた。

 用途不明の呪いの欠片を森に捨てるプレイヤーは多く、それをあちこちで食べまくっていたスライムは《食育》の効果もあり、進化をしてカーススライムへと進化を遂げ、多少は知性も上がっていた。

 

「(今日はもう帰ろう……でもあそこ最近黒いやつらが居て危ないんだよね)」


 スライムはピョンピョンと跳ねながら森を進み、植物に覆われた遺跡へと入っていく。ここはスライムの寝床……かつて住んでいたダンジョンと似ており、静かな場所でお気に入りの場所だった。しかし最近は黒いモンスターたちが入り込み、危ない場所となっていた。


「(隅でコソコソしてれば気づかれないけど……そろそろ寝床を変えたほうがいいのかな?)」


 そんなことを思いつつ、スライムはコソコソと暗い遺跡の中へと入っていく。黒いモンスターたちと通路ですれ違うが、この暗い通路で真っ黒なスライム。しかも足元を這っているため見つかることはなく、スライムは何事もなく寝床にしている瓦礫の角に収まった。

 この部屋は瓦礫が多くて身を隠しやすく、なんかよく分からない絵があることを除けばお気に入りの場所だった。


「(ふわぁぁ……)」


 グニョーンと横に身体を伸ばしたスライムは丸くなって眠りについた。暗く静かな遺跡、そんな寝るのに最適な環境で、スライムはどんどん眠りの波に漂い始め…………


バリバリバリ!


「ゴブゥゥゥゥ!!?」


「(……ん、何?)」


 スライムに届くのは電撃が炸裂する音とゴブリンの悲鳴……暗く静かな遺跡は一気に騒々しくなってきた。その後もモンスターたちの悲鳴と戦闘音が続き、スライムの眠気は消えてしまった。


「(うるさい……ちょっと様子見てこよう)」


 スライムは瓦礫の隙間から出ようとしたが、通路の奥から炎の灯りが見えたため瓦礫に隠れ直した。


「おっ、続きの壁画見っけ。今度の絵は白いモンスターと黒いモンスターの戦争の様子かな?」


 通路の奥から現れたのは黒いボディスーツのような服に白衣を着たプレイヤー。近くにはカラフルな同族……自分よりも強いスライムたちが居た。


「(なんだ……あの人間?)」


 スライムは瓦礫の影に隠れながら、そのプレイヤーをジッと見ていた。何かあの人間に惹かれる……理由は分からないがスライムはそのプレイヤーから目を離せずに居た。


「遺跡はまだ続いてるね……松明が燃え尽きる前に出られるかな?」


 人間は同族を連れて更に奥へ向かっていった。スライムは灯りがある程度離れると瓦礫の陰から出て後を着いて行く。


「(何故だか分からないけど……あの人間の後を追いかけたい)」


 見つからないように瓦礫に隠れ、スライムはプレイヤーを追いかけていく。プレイヤーは黒いモンスターたちを倒しながら壁の絵を見て回っている。そして最後の部屋まで来ると元の道を帰っていき……そのまま遺跡の外へ出ていった。


「(何処に行くんだろう?とりあえず着いて行こう!)」


 追いかけていく内にプレイヤーへの興味が強くなったスライムは、危険を覚悟で遺跡を飛び出しプレイヤーを追いかけていった。

 プレイヤーを追いかけていると丸太の塀で囲まれた場所に辿り着く。プレイヤーたちが沢山居て、とても騒がしい……


「(あっ、ここから入れそう)」


 流石に正面からは入れないと理解したスライムは丸太の塀に開いていた隙間から侵入。建物の陰に隠れながら目当てのプレイヤーを探していった。


「(うーん、見つからない……何処に行ったんだろう?)」


 スライムは頑張って探していたが、遺跡からずっと追いかけてきていて疲れてしまった。丁度近くに扉の開いていた小屋があったため、スライムはその中で休憩することにした。


「(あっ、ここ丁度良さそう)」


 スライムは机の下の暗がりへと入り込むとヘニャ……と身体を伸ばして休んだ。休んだらあの人間探しを始めよう。スライムがそう思っていると、スライムが居る小屋に誰かが近づいてきた。


「さーて、実験頑張りますか」


「メキュ」


「ビリリ!」


「ドロォ……」


「メララ!」


「ヒヤァ……」


 なんと小屋に入ってきたのは何の偶然か、スライムが探しているプレイヤーだった。スライムは伸ばしていた身体を丸くするとバレないように静かにした。飛び出したいけれど攻撃されたら怖い……スライムは隠れてやり過ごすことにした。


「実験ついでに呪いの欠片を霊結晶に変換しておこうかな………………あっ」


 スライムが頑張って息を潜めていると、コン!と音を立てて何かがスライムの前に落ちてきた。それはスライムの大好物だった呪いの欠片だった……大好物を前にスライムの理性が緩む。


「(いただきまーす!)」


 スライムは触手を伸ばして呪いの欠片をパクりと食べた。そして案の定、スライムはプレイヤーに見つかった。


「あなた……何処の子?」


「(あっ、バレた)」


 こうしてスライムはあっさりと捕獲された。その後、スライムはこのプレイヤーと一緒に行動し……ルベリーという名前を付けられるのだった。




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― 新着の感想 ―
イベントフィールドとはいえ、野良のモンスターがこんだけ自由に動いて、プレイヤーの行動で勝手に進化までするとかモンスターの自由度バカ高いな。 通常フィールドでも無駄にレベル高いモブモンスターとか自然発生…
[一言] ルベリー君は異能者だから(笑)置いといて、 例の「コウゲキしちゃダメ」黒スラたちの゙、明日はドッチだ!
[一言] 呪い喰らうとかやっぱりネジ飛んでないとできないんだ…
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