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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 ゲームスタートと第1回公式イベント編
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第6話

コポコポ……プシュー!


「よし、一先ず完成。ライムもお疲れ」


「メキュ♪」


 鍋の液体から蒸気が出たのを確認し、私は大きめの容器に粘度のある薬を入れる。私は額を拭いながらライムを労った。

 薬の作り方を習い始めて更に3日経過。今作っていたのはライムの薬液を素材に使った回復薬。もう少し冷えたら小さく丸めて丸薬にすればOK。


(ライムとの薬は全部丸薬になるんだよね……液体よりも軽いのに単価が高いのは嬉しい)


 ライムの出す薬液……これには加熱していくと水分が一気に抜ける特徴がある。さっきの蒸気の吹き出しがそう。そして冷えると同時に粘度が増して乾くと綺麗に固まる。効果の方は……


ーーーーーー

回復丸薬(5個入り)

効果

1粒でHPを15回復する

ーーーーーー


 回復量実質75。ビー玉サイズの丸薬で噛み砕いて飲めるから使いやすくもある。欠点は苦味が濃くて一気に飲み込もうとすると水分が欲しくなるところだね。


「ライムはHP回復、毒消し、麻痺消し……3種類の薬液が出せて3種類の丸薬が作れるから本当に助かるね」


 特に毒消しは割と高く買ってもらえる。なんでも次の町のエリアに毒を使うモンスターが出てきていて、品質の良い毒消しの需要が高いんだって……つまり今は絶好の稼ぎ時!

 その稼ぎでテイマーギルドでのランクが上がってEランクになれた。私のlvは1のままなのに……


「って、私に言ったのにクイラさんは何もしないんですか?」


「前にも言ったけど別にお金に困ってないからね。それに君らが苦戦しているところの毒に効く薬なんて作っても面白くないし」


 クイラさんは長椅子に寝そべりながら余裕の笑みを浮かべていた。実験に飽きたからってダラダラしてる……これが懐に余裕がある人か。私もこうなりたい。

 まぁ、今横になってるのは腰を痛めてるからなんだけど。瓶の容器が入った箱を1人で持ち上げようとしてグキッ!とね。今はライムの薬液による治療でだいぶ治ってはいる。それでもまだ痛いらしいけど。


「ところで……今所持金どんくらいになった?」


「今ですか?えーと、今日の分を納品したら4000Gですかね?」


 丸薬作り始めてからは目に見えて貯金できるようになったからね。食費(クイラさんの分も)以外は特に消費すること無かったし。


「成程ね……なら今日で指導は終わりとしよう。独り立ちだね」


「えっ、急ですね……」


「メキュ」


 指導を受けてまだ1週間くらいしか経ってないんだけど……うち3日くらいは草毟りだし。


「4000Gあれば初期費用としては充分だからね。それにもう教えることないんだよね……パートナーとの薬作りとか正直専門外だし。あと異邦人なんだから色々冒険してきなよ。そのためにこの世界に来たんでしょ?」


 冒険ではなく癒しを求めてです。だけどそうか……最近薬作りが楽しくて忘れてたけど、私はまったり冒険したりしてストレスを発散させたくて始めたんだった。


(根本的なところを忘れたね……)


「あと1回町を出て休暇がてら腰の湯治に行こうかな?って考えててね……しばらく町から離れるんだよね。だから戸締りしなくちゃで」


「もしやそっちがメインの理由では?」


「あっ、バレた?」


 私の感動を返して欲しい。まぁ、温泉行くから指導終了っていうのはクイラさんらしいけども……


「温泉云々はさておき、今までご指導ありがとうございました」


「そんな堅苦しいのやんなくて良いから。偶に遊びに来ていいからさ……そして溜まった薬草を持っていって。1人じゃ溜まっていく一方だからさ」


「それはいい加減定期購入を切ってください」


「メキュ……」


 こうして唐突ではあるけれど私の薬作りの指導は終わった。締まりが悪かったけども……楽しく学べた。



「さて……久しぶりに町の外行くけど、その前に新しい子を仲間にしようか」


「メキュ」


 クイラさんの家を出て、テイマーギルドで作った薬を売却した私は森へ行く前に新しいパートナーを増やすことを考えていた。ちゃんと戦闘できる子を育成しておきたいからね。

 クイラさんはもう温泉へと出発した。いつの間に頼んだのかテイマーギルドのドラゴンに運ばれていったね。ドラゴン……見た際に絶対勝てないと思ったね。ドラゴンとかスライムで勝つにはどうすれば良いんだろう?


(自分の変化としては見習い調薬士が駆け出し調薬士に変化。調薬に対する効果が上がったからそっちを試したいけど……今は戦闘面をどうにかしたいかな)


 ちなみに変化した称号の効果はこんな感じ。


ーーーーーー

駆け出し調薬士

▷効果

調薬での失敗率が10%減少

調薬設備のある建物を借りやすくなる

▷取得条件

指導者から独り立ちを認められる

ーーーーーー


 まさかの賃貸割引効果付き。多分、見習いから脱却したら自分の作業場を借りてコツコツ頑張っていくのが、運営が考えたルートなんだろうね。生憎、私はそういうの考えてなかったけど。


「借りるにしても色んな町を渡り歩いてから決めたいし……そもそもこの町で借りてもテイマーギルドに卸すしかないよね」


 もっとプレイヤーが集まる町とかで店を開きたい。店を開くつもりは今のところは無いけど。

 そんなことを考えつつも、私は新しいパートナーを仲間にするため、テイマーギルドの横にあるモンスターショップへと移動した。このゲームでパートナーを増やすにはモンスターショップで購入しなくちゃいけない。野生のモンスターは仲間にできない。モンスターショップで買えるのも未進化のモンスターばかり。


(コンセプトが育成して進化を重ねるだからね……0から育成していく感じなんだよね)


 ちなみに私が買うのは勿論スライム。ライムの進化先を見たときにスライムの可能性の広さを感じたからね……本当に進化の幅が広い。ニートスライムなんてものも出てくるんだから。


「他にどういう進化をするのか……気になってしょうがない」


 ということで2体目のスライムを購入。名前は……レモンにしよ。由来はライムと同じ柑橘類のレモンから。柑橘類と言えばレモンかミカンだよね。だけどミカンよりはレモンの方が刺激が強いから強そう。


「これからよろしくね」


「メキュ!」


「ピュキ!」


 ちなみにレモンのステータスは初期のライムと変化無し。やっぱり《食育》をベースに進化させた方がいいかもね。戦闘で得られる経験値もパートナーが増えると戦闘の貢献度で分割されるから、戦闘してなくてもある程度の経験値は貰えるけどね。


「ここ色々餌があるから良さげなの買っていこうかな。調薬キットや容器代の必要な分は残して全部餌にしてもいい」


 ライムのご飯は私が作れるからレモンの分があれば良い。買うのは……レモンが興味を示したものにしようかな。《悪食》で食べるものに制限無いし、好きなものなら進んで食べてくれるはず。

 私は頭の上にライムを乗せ、レモンを抱えて餌売り場を物色していった。そしてレモンが興味を示したのは……


「帯電砂利……随分と変わったものを」


 帯電砂利は青白い見た目の砂利でスプライトっていう精霊系モンスターが好む餌。帯電って名前に付いているように触るとパチパチと静電気が発生する。落雷が多発している地域でよく取れ、砂利は餌ぐらいにしか使い道が無いから安め。


「餌としてはそこそこの値段するけど先行投資ってことで……」


 私は1袋800Gの帯電砂利を3袋買った。これ袋がスーパーのお米の袋サイズだから、スライムなら1袋でそこそこの量を与えられるかな?


「ピュキ!」


「モサモサ食べるね……取り込まれた砂利がどんどん溶けてく」


 固形物は酸に溶けるかのように泡を出しながら吸収していくんだね。私はレモンにそんなことを思いながら次は道具屋へと向かう。調薬キットとか諸々を買わないと金策できないからね。


「買ったら森に行って素材集めかつ、新しい町へ進むための準備かな……」


 2日くらいで次の町まで行けると良いんだけど。私は色々予定を立てつつ道具屋へ向かった。

 

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