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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第2章 神官と第2回公式イベント編
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第51話


「「「「かんぱ〜い!」」」」


 最終日の夜。崩壊した迷宮跡地で私たちはキャンプファイヤーを焚き、全プレイヤーで大宴会をしていた。拠点じゃないのは、拠点だと全プレイヤーが入り切るのは難しいから……この中央は悪魔のおかげで綺麗に更地になって都合が良かった。あとは地面が石レンガでドロドロじゃなかったしね。


(よくあんなに騒げるね……雰囲気?)


 私はワイワイ楽しんでいるプレイヤーたちを隅っこのほうで見ていた。ライムたちにもお疲れ様の意味合いを込めてご飯を多めに用意してある。黒スラの分もね……


「大人連中は酔っ払ってんな……あれ提供したの私だけど」


 ドランク・アニマプラントのアルコールと適当な果物で作った果実酒もどき……薬としての効果は何にも無いけど、酒代わりには丁度良いらしい。度数高めで潰れる人バンバン出てきているけれども……甘くて飲みやすいって言ってたからガパガパ飲んでるしね。


(まぁ、酔っ払いが潰れることはさして問題では無いね……馬鹿や悪酔いしてるやつから潰れてるし)


 ついでに言うと、あの酒は酔い覚ましは効かない……要するに飲んだ分、二日酔いに苦しめという悪魔の酒だね。私は酔っ払いの多いキャンプファイヤーを眺めつつ、モグモグと焼肉を食べる。私が提供したニトロハニーが使われたタレ美味……料理人に渡して正解だったね。


(まぁ、イベント終わったら満腹度回復は飴だけどね……あれが1番効率良いし)


 作業しながら満腹度回復できるのが大きいからね……そんなことを思いつつ焼肉を食べていると誰かが近づいてくる気配を感じた。


「お〜、やっぱりこんなところに居たね」


「ココロさん。ボス戦お疲れ様でした」


 近づいてきたのはチェリーとミリアちゃん。2人とも料理を持っていた……チェリーは山盛りのスイーツでミリアちゃんは野菜ばっかりだったけど。


「チェリーの病的な甘党は知ってたから驚かないけど……ミリアちゃんはお肉要らないの?」


「お肉の脂があんまり好きじゃないんです……鶏肉なら大丈夫なんですが」


 あー、そういうことね。確かに今焼かれてるのはイノシシの肉メインで脂凄いもんね。てか若者で脂が苦手って……中々珍しいね。

 人の嗜好にケチつけたりしないけどね……だって。


「甘〜♪美味〜♪」


 そこにいる甘党は暴力的な甘さのものをパクパク食べるヤバい奴だからね。見てるだけで糖尿病になりそうな物体を……


(なんで太らないのか……これが分からない)


 裏で努力してるんだろうけどさ。ちなみに甘いものをバクバク食べるせいで、割とチェリーに対するクラスの女子のヘイトは高め。ダイエットしてる子とかは殺意が出てる時あるし。


「そういえば2人はイベント終わったらどうするの?私は相変わらず薬作りだけども」


「ん〜?イベント終わったらとりあえず王都に向かおうと思うよ〜。ミリアちゃんと一緒に〜」


「あぁ、正式にパーティー組むのね」


「はい。チェリーさんとはこのイベントでコンビネーションができてますし。2人なら変な人が寄ってきにくいとチェリーさんが」


 チェリー……お前ミリアちゃんを使ってナンパ回避しようとしてるな?言わないでおくけどナンパするやつは2人だろうが、近くに男が居ようがするからね?私はフルーツジュース(ベリー味)を飲みつつ思っていた。ここで言うと折角の楽しい雰囲気台無しだから言わないでおく……チェリーには後でメッセージ送っておこう。


「そういえばさ〜。その子どうするの〜?」


「そうですね。イベントが終わればお別れしてしまいますし」


「ん?あぁ、黒スラね……」


「ノロォ?」


 私はヒョイっと黒スラを抱えあげた。なんやかんや正式に仲間にしないで居たからね……私の中じゃもう仲間の1人だったんだけども。


「ねぇ、あなたはどうしたい?ここでお別れする?それとも私たちと一緒に来る?」


「ノロォ……ノロォ……」


 私が問いかけると黒スラは悩むような素振りを見せる。しかしすぐに答えは出たようで……


『カーススライムが仲間になりたがっています。仲間にする場合は名前を付けてください』


(あぁ、野生の子との契約も名付けなのね)


 特に気にしてなかったけど……名前を付けるという行為が結構重要そうな気がしてきたね。契約という部分において……そして黒スラの名前はもう予め決めてあった。


「ルベリー。それがあなたの名前ね」


「ノロォ♪」


 名前の由来はマルベリー。桑の実っていえば日本人には馴染みがあるかな?いや、桑の実を知ってる人ってそんな居ないか……私は祖父母の家に桑の木が生えていたから知ってるけど。


『連れ歩けるモンスターの数が6体を超えました。拠点登録がされていないためテイマーギルドに転送……イベント中のため転送できませんでした。個体名ルベリーの経験値取得不可処理にて一時的に連れ歩けるパートナー数を増加します』


 イベント中だからか何やら特殊な処理が行われたみたい。経験値所得不可処理は文字通り経験値が入らなくなるもの。あとイベントが終わる前にテイマーギルドに誰を送るか選ぶ必要があった。誰送ろう?ルベリーはイヤイヤって身体揺らしてる。レモンとアセロラは目を離したら怖いから無理だし……


「ヒヤァ」


「あっ、プルーン行ってくれる?」


 うちの常識枠が立候補してくれた。スチンも立候補しかけたけど……スチンが居なくなるのは守りが薄くなるんで勘弁してほしい。

 

「ルベリーか〜。良い名前だけどモチーフ何〜?」


「他の子が果物の名前ですし……ブルーベリーとかですか?」

 

「ミリアちゃん惜しいね」


 その後、私はチェリーとミリアちゃんと星空の下で料理を食べながら語り合った。大人たちは私の酒もどきで潰れて地面で爆睡し、沢山転がっていく……私たちはちゃんとテントで寝たよ。割と徹夜しちゃったけど。


(明日からは金策頑張ろう……拠点を買うためにね)


 誰かをテイマーギルドで留守番させたくないし。私はそんなことを思いながら眠りについた……そして夜が明け、第2回イベントは終了した。

 起きて身構えているといつもの転移が起き、最初にキャラを作った空間に似た部屋に立っていた。


『イベントお疲れ様でした。リザルトを表示します』


ーーーーーーー

▶︎第7サーバー貢献度

ココロ:9位 総獲得貢献度:24785ポイント


▶︎全サーバー発展度

第7サーバー:1位

ーーーーーーーー


 貢献度が思ったより高くてビックリした。100位ぐらいだと思ってたからね。あとサーバーの発展度1位だ。他のサーバーはそこまで発展しなかったのかな……まぁ、ゲンさんたちが本職なのを活かして建物建ててたしね。


「えーと、報酬は……あっ、自分で選べるんだね」


 どうも貢献度のポイントに応じてアイテムを交換する形式みたい。あとサーバーの発展度ボーナスで1万ポイント加算されてる。

 交換できるものは装備にアイテム、素材など多彩だね……3万ちょっとあるし色々交換できそう。


(まぁ、装備やアイテムはそこまで興味無し。素材はポイントが余ればそれを回せばいい……)


 そんなことを思いつつ、私は交換できるものを探していった……そしてあるもののところで指を止めた。それは……


「拠点交換券……」


 拠点の購入する時に使うとタダになる、私にとって喉から手が出るほど欲しいものだった。ただし交換するのに2万ポイントもかかるけど……全然問題無し!むしろここで交換しなきゃ絶対後悔する!


(というか……金策しなくて済むのが良い)


 金策よりは新天地に行って素材を集めて実験したい。私は迷わず拠点交換券を選んだ。残りのポイントは良さげなものを交換するのに使い切った。

 交換し終え、早速交換券を使いに行きたいけれど……生憎、時間加速を使ったから今日はログインできない。明日の楽しみにしておこう……私はログアウトした。



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― 新着の感想 ―
仲間になったのはスライム神官の能力やね、稀にって書いてるけどモンスター自身が望めば確定入手ってことか。 正直貢献度9位ってかなり低いような。敵の呪技ほぼ防いで対策のアイテムと他のプレイヤーが作れない…
[気になる点] 第6話で「このゲームでは野生のモンスターは仲間にできない」風のセリフがあったような? ノロォっ子は、異能者(笑)なんでしょうか。
[一言] システムの仕様とはいえ、今まで一緒に旅してた仲間が1匹連れていけないのはなんだか悲しいね
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